広尾学園があるのは、東京メトロ日比谷線、広尾駅の目の前、まさに都心にある学校です。
都内はもちろん、神奈川、千葉、埼玉等、首都圏のどこからでもアクセスの良い立地です。実際、その利便性から、広尾学園の生徒は、非常に広い範囲から通学しています。
世田谷区・大田区・目黒区・品川区・目黒区から4割以上の生徒が通っていますが、横浜市・川崎市からの通学する生徒も多く、2割近くになり、近年、千葉県、埼玉県在住の生徒も増えてきています。
共学化以来、早いスピードで変革を遂げ、次々に繰り出される斬新な取り組みが注目される広尾学園。新校舎建設も順調に進み、すでに在校生は全員、新校舎で学園生活を送っています。
現在、第三期工事が進行していますが、来年2012年の9月には完成予定。広尾の街にふさわしいスタイリッシュなコンセプトが感じられるこの施設で、広尾学園はどのような教育を目指すのでしょうか。広尾学園の先生方に直接お話を聞いてみました。
広報部長の金子暁先生は学園生活についてこう言います。
「新校舎というだけでなく、そこでの学園生活の質がとても高いということが最も重要な点になると思っています。」
「学校にとって最も大事なことは、教員研修やP.L.Tプログラム、学内留学、キャリア教育など、教職員全体の取り組みを見てもらえることだと思います。
今年の学園生活のトピックとしてiPad2を150台導入しました。もともとインターナショナルクラスの生徒は中学1年の時から自分専用のMacBookを使いこなしているのですが、今年から高校で始まった医進・サイエンスコースの生徒全員がiPad2を持つようになりました。
彼らはデジタルネイティブ世代です。私はこの環境が生徒たちの学園生活のクオリティそのものを変えてしまう可能性が高いとみています。」
次に広尾学園のインターナショナルコースについてインターナショナルコースマネージャの植松久恵先生に伺いました。
「インターナショナルコースの最大のポイントはそれぞれの専門分野で優れた指導力を持つ専任外国人スタッフの存在だと思います。現在は13名の専任外国人スタッフがいますが、教える事への情熱や研究熱心さはもちろん、それぞれの高い専門性をいかした指導を行っています。」と植松先生。
インターナショナルコースの中でもグループ分けが行われているそうですが。
「はい。現在、中学のインターナショナルコースでは、帰国子女やインターナショナルスクール生などすでに高い英語力を持った生徒たちのアドバンストグループ(以下AG)と、入学時の英語の力がたとえゼロであってもインターナショナコースという恵まれた環境を最大限に生かして英語力を高めようというスタンダードグループ(以下SG)の2つのグループで構成されています。」
2つのグループの教育内容の違いを教えていただけますか。
「AGは授業での英語力は英検準1級レベル以上を想定しています。もともと持っている英語力を維持するだけでなく、英検1級を取れるレベルを目指しています。
授業は国語や社会の一部など日本語での理解が重要な科目以外は、すべて英語で行っています。それに対して、SGはAGの英語の授業に参加できる英語力まで高めようという目標を持っています。
英語以外の授業は本科の生徒と同じ内容を勉強しています。SGの生徒たちは、まず外国人の先生方の授業や日常生活での会話やディスカッションを通じて英語に耳を慣らしていますので、英語の理解と定着はとても早いスピードになります。その辺を外国人の先生たちと日本人の先生たちが情報を共有しながら進めていますので、英語力の伸びを実感できます。」
新校舎の最上階がインターナショナルストリートと呼ばれているとの事ですが、本科の生徒とインターナショナルコース生徒の関係はどのような感じなのでしょうか。
「インターナショナルのクラスはそれぞれの学年の1クラスとして位置づけられていますので、実技系の授業や部活動、行事、キャリア教育、図書館やカフェレストランなどの施設利用も本科、インターナショナルの別なく行われています。そういった意味では、学内ではとてもインターナショナルな空気が融合していると思います。」
受験生や保護者の間でも理系の学科やコースの人気が高まっていますが、今年スタートした高校の医進・サイエンスコースの教育について医進・サイエンスコースマネージャーの木村健太先生に聞きました。
「医進・サイエンスコースは今年スタートしたばかりの医療関係や研究者を目指すコースです。ただ単に医学部や理系学部を目指すのではなく、研究するという充実感やまだ誰も知らない分野にチャレンジするという経験を通じて、将来それぞれの分野で存分に活躍できるマインドを育てようという考えで運営されています。大きな特色は何と言っても研究活動ですね。
生徒405名でグループを作り、生物、化学、物理、数学といった理系教員が指導教官となって研究活動を行っています。」
大学の研究室のようですが、研究内容はどのようなものになっていますか。
「今年に関して言えば、幹細胞、遺伝子機能解析、光触媒や現象数理など10の専門分野に分かれて活動しています。研究活動は通常の勉強以外の活動なのですが、まだ答えが見つかっていないテーマにチャレンジしようというコンセプトで、英語の学術論文をリサーチしながら、研究活動の進捗状況を毎週全員で共有しています。生徒たちは英語論文を共同で翻訳したり、大学の研究室を訪問したり、意欲はとても高いです。
この医進・サイエンスコースの活動が始まってから、学内にアカデミックな空気が流れるようになったという声も聞かれるようになりました。」
研究施設も充実していると伺っていますが。
「新校舎6階はサイエンスストリートと呼ばれているのですが、生物・物理・化学それぞれの専用のラボが並んでいます。実験では一人一台の本格的な顕微鏡が利用できますし、細胞培養やDNA操作が出来る最新の実験設備が整っています。
ですので、大学の先生や研究活動を行っている皆さんと一緒に、ふつうの中学や高校ではなかなか出来ない高度な実験講座を行ったり、先日は、インターナショナルコースで研究経験のある外国人の先生方とオールイングリッシュの実験講座を行う事が出来ました。私たち理科の教員も世界の研究がどこまで進んでいるのか常にチェックするようにしています。」
国際的な雰囲気とアカデミックな空気。さらに、広尾学園は徹底した学習プログラムと教員の努力、何より生徒達自身の頑張りによって、大学合格実績は飛躍的に伸びています(平成23年、国公立、早慶上理、GMARCH合格者100名以上)。
本科クラスでは、中学2年間で中学主要科目内容を修了し、中学3年~高校2年のできるだけ早い段階で高校内容の修了を目指します。単なる詰め込み学習ではなく、将来の夢を実現させるためのステップとして大学進学を考え、将来にわたって高いモチベーションと問題発見・解決能力を発揮できる人材の育成を目標としています。
進化を続ける広尾学園はますます注目されていきそうです。