聖徳学園は平成4年の中学開設以来の大きな変革を遂げる。
平成23年春、高校で難関大学チャレンジクラス(難関大CC)を新設。5科オール5の生徒多数を含む優秀な36名が入学した。さらに来年からは中学で難関大学チャレンジコースを開設。入試で4科目75%以上、2科目80%以上の成績をあげた生徒を対象に中1から難関大学チャレンジクラスを編成する。
また、これまで中学校の英語と数学は、中学2年間で修了してきた。しかし、来年からは新学習指導要領施行に伴う学習内容の拡大に対応するため、修了期限を中3夏に延長。一人ひとりの理解を徹底してから高校課程に進む方針に転換する。それと同時に、難関大CCの学習意欲の高い生徒には進度も深度も早め深め、さらにその学習意欲を満足させていくこととした。この変革を通して、聖徳学園は生徒一人ひとりに応じた学習を推し進めようとしている。
大きな変革を行っていく中で変わらないものもある。それは聖徳学園の「面倒見の良さ」だ。その最大のポイントは、専任教員の数の多さにある。
専任教員一人あたりの生徒数は14.8人と極めて少ない。授業時間が終われば帰ってしまう非常勤講師を多数雇う学校もある中、聖徳学園の姿勢は異色にさえ映る。しかし、専任教員の数が多ければこそできることがある。
たとえば中1・2では二人担任制をとり、毎朝・毎昼・毎夕2人の担任がホームルームで生徒の様子を見守っている。中学生が担任と一緒に昼食をとるのも、見慣れた光景だ。学校になじみ大人へと一皮剥けて行くこの時期を、数多くの専任教員が生徒に寄り添って共に歩んでいく。それが聖徳学園の変わらぬ姿勢だ。
「前後期制にして考査の数を減らし授業時間を確保する」というのは良く聞く声だ。しかし、聖徳学園はここでも逆を歩む。定期考査を学習診断テストと呼び、前期3回、後期3回の計6回行う。きめ細かく生徒の学力定着を診断し、一人ひとりの生徒にふさわしい対策を考えるためだ。
診断テストの後には必ず担任による生徒面談が行われ、十分な理解度に達していなかった生徒には補習が課される。また、年2回の保護者面談と年3回の保護者会は、家庭とのきめ細かいコミュニケーションを図るもので、「中高6年間を家庭と学校が力を合わせて育て上げる」という考えの実践に他ならない。
全学年の英語と数学の授業は、習熟度別に分割した形で行っている。ホームルームクラスよりも少ない人数で行われるこの形は、30年ほど前にまだ中高一貫校でなかった頃から導入され継続されてきた方針だ。それぞれの生徒の理解度に合わせてクラスを分割して丁寧な授業を行う。
高校の授業では、高3の理社でも分割授業が行われ、選択者がたとえ数名でも実施されている。このような分割授業に対応するため、聖徳学園ではセミナールームと呼ばれる小教室が5つ用意されている。
聖徳学園の全校生徒数は900名弱。にもかかわらず、クラブ数は運動系18、文化系18で合わせて36にものぼる。中には試合に出場できる人数に達していないクラブや、5名に達していないクラブもある。しかし、全てのクラブに専任教員の顧問がつき、指導に当たっている。それはクラブ活動が、学年を越えて先輩や後輩と交流する場であり、それぞれの個性を伸ばす場であると同時に、学校の中での一人ひとりの生徒の居場所にもなっているからである。
聖徳学園の行事は入学直後の新潟県奧阿賀での農家民泊・田植えに始まる。6月の体育祭、夏休みにはイングリッシュシャワーキャンプや博物館巡り、10月には文化祭、1月にはスキー教室、2月には合唱祭や百人一首大会と休む間もないほどだ。
中3のオーストラリア・ニュージーランド・アメリカユタ州でのホームステイ、高2ではチェコ・オーストリア、イギリス・フランスでの研修を通して本物のヨーロッパ文化に出会う旅。教員たちの目の行き届いた手作り感あふれるこうした多彩な体験プログラムを通して子供たちは大人になり、自分を発見していく。面倒見の良い、生徒に寄り添うアットホームな校風の中で一人ひとりの未来を育む、それが聖徳学園の不動の教育だ。