-はじめに-
子どもたちを取り巻く環境が変化し、中学校で行う教育のあり方は大きな変化の時期を迎えています。教育指導要領の改定によって導入された「ゆとり教育」が数年で見直しを迫られるなど、方向性がはっきりしない状況に、今まで以上に学校選びは難しくなっています。
こうした状況での志望校選びは、時代の変化に対応した教育を行っている学校を見つけ出すことでもあります。今回、こうした取り組みを実践し、英語教育で高い成果を上げている学校の校長先生からお話を伺いました。
エデュ :2002年に「聖学院教育憲章」を発表されましたが、具体的な内容についてお聞かせください。
−2000年、ミレニアムの年に次の1000年を見据えた教育方針−
学校法人聖学院は幼稚園から大学、大学院まで10の学校を有しております。この10校はルーツを辿れば沿革が同じですが、各学校が独自性を生かしながら歩んでおり教育理念は統一したものがありませんでした。そこで全教職員が協議に参加して、統一した教育理念を定めることを目的とした教育会議を2000年から定期的に開催しました。
その前段階として、英語、数学、生活指導、キリスト教など分野ごとの部会を開催し、聖学院の10校が共通の教育方針を持つための協議を行いました。また、この協議を行う上で我々の基本理念は何であるのかを再確認する必要がありました。さらに、時代にそぐわないとして非難されていた教育基本法を振り返ってみて、教育基本法の理念をどれだけ理解し実行してきたのか。本当に時代にそぐわないものになってしまっているのか、検証しました。
結果、教育基本法の理念がいまだに我々にとっては大切な理念として受け入れなければならないものであると再認識しました。こうした協議と検証を踏まえ、教育会議を行った総括として2002年11月に、前文、根本目的、教育理念、教職員の自己革新の項目からなる「聖学院教育憲章」を発表しました。幼稚園から大学院まで、全教職員が一堂に会し会議をするということは前例の無いことですが、やり遂げられたことを誇りに思っています。
−オンリーワン教育−
聖学院の基本理念は、「神を仰ぎ、人に使える」というキリスト教の精神から、上を仰ぎ横の仲間を支えて生きるということが根本にあります。その理念を基に本校ではナンバーワン教育ではなくオンリーワン教育を掲げています。Only One for Others(他者のために生きる自分)の教育です。教育会議でオンリーワン教育を聖学院全体の教育理念とすることが決まりました。
−教職員の自己革新−
一段高いところから生徒を導くという理念も大切ですが、自分たちが仕えて支えていくという「サーバント」としての役割を自覚する必要があります。
聖学院設立から約100年、設立当時の建学の精神を再確認し現代流にアレンジする、そうした役割を聖学院教育憲章は果たしています。
エデュ :
「21世紀の人材育成」ということを掲げていますが、御校が考える21世紀の人材についてお聞かせください。
−目指すは世界で通用する人材−
今日、技術革新により、世界はどんどん近くなっており、国際的な視野なくして生きていけなくなっています。産業、経済、文化、思想、すべての面で他者との違いを理解し、時には一体とならなければいけません。島国である日本の社会だけに目を向けて人材を育成するのでは、世界では通用しないということになりかねません。日本の大学に進学することだけで終わりではなくその先を見据えて、世界に通用する広い視野を持った人材を育成することが本校の使命だと考えます。そのためにはコミュニケーションのツールとして英語教育に力を入れるということは当然のことです。
また、英語は大半の生徒が中学から勉強を始めます。学力に差のないうちに集中的に学習することで本校の生徒の英語のレベルは飛躍的に上昇しています。そして、英語なら他の学校の生徒に負けないという自信になり、他の教科の学習意欲が湧いてきます。
−21世紀の教育について−
中学入学以前に英語学習の経験がある生徒と、そうではない生徒とを分けて英語の授業を行うようになり3年目を迎えました。これは英語をある程度学んでいて力のある生徒をより伸ばすためのものですが、英語未経験の生徒へいい刺激を与えています。あの子のように英語を話せるようになりたいという目標が出来たことで、意欲的に勉強に取り組んでいます。今後は成果を挙げている英語教育と共に、数学教育にも力を入れていきます。
本校の特色であるキリスト教教育については、聖書、礼拝の時間を取り入れています。生徒の多くは中学で初めてキリスト教に触れます。こうしたキリスト教教育は、知育とは異なり心の教育です。国際人としての世界共通のものである聖書に触れることで、異文化理解に役立てます。キリスト教をベースとする諸外国の文化を理解するには、その背景にあるキリスト教の理解が不可欠だからです。
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