自由の森学園は、1985年に開校しました。
人を点数によって選別したり順番をつけて競わせたり、そうした教育のしかたとは別の「学ぶ場」をつくり出したいと強く願ってできた学校です。
これまでに5000人以上の人たちが卒業していきました。
いまは中高あわせておよそ700人の生徒たちが自由の森学園で日常をつくっています。
大切なことは、たくさんの人やもの、できごとに出会うこと。
学校にはそのためのたくさんの入り口があります。
自分とは異なる考えを持つ人に出会ったり、授業を通してそれまで知らなかったことがだんだんと自分のものになっていったり、たくさんの経験をする場所でもあります。
感覚の違いやとらえ方の斬新さ、自由さに、衝撃を受けることもあります。
あるいは、「学び」の世界の広さや深さに自分自身の価値観の狭さが問われることもあるかもしれません。
そして、「出会う」「学ぶ」という行為からどんな自分をつくっていくのか。
3年間あるいは6年間の比較的長い時間やたくさんの経験を通してだんだんと形づくられていく自分の姿を、想像してみてください。
人が、人として育っていくには、本当に時間がかかるものです。
時間をかけてよいとまずは実感することが、自分自身を解き放つためのはじめの一歩になるのだと考えています。
「自立する」ということは、うまくやる方法や手っ取り早い方法を見つければそうなるというものではありません。
同じように、「自由」は、多くの困難を経なければ、自分のものになりません。
他と比べて自由だなという感覚は、大抵は不自由な世界にいる証拠です。
それを取り巻く比較的狭い価値観の中での、限定的な自由ですから。
もっと自由に。
だけど、自由を得るためには、たくさんの不自由を経験します。
たくさんの価値観が混ざり合うなかで、自分自身の姿を見る目、そしてみんなが生きていくために必要な「自信」を、いっしょにつくっていきたいと願っています。