日本で初めての近代的な大学として設立された東京大学。同大の出身者は、なぜ同大を志し、大学で何を学んだのか。
同大出身で、オンライン証券の草分け的存在であるマネックス証券株式会社代表取締役社長CEOの松本大氏に話をうかがった。
エデュ:そして無事に合格されたわけですが、大学時代はどのようにすごされていたのですか。
松本氏:まず、父親との約束がありまして、高校を卒業したら、現役だろうが、浪人だろうが、国公立大に行こうが、私立大に行こうが1年につき100万円を4年間、合計400万円を学費として渡すと言われたんです。それで、大学生になって遊んでいたら、1年生の7月にあっという間に最初の1年分を使い果たしてしまって。親に援助を頼みましたが、当然断られました。アルバイトで学費を稼ぎ、大学の授業は、中学・高校生のころと変わらず、先生に怒られてばかりでした(笑)。
エデュ:進学してよかった点はありますか。
松本氏:試験を受けるだけでは単位が取れないので、試験勉強をしたことです。単位を取れるだけの点数を取るためには、きちんと科目の中身を理解しないと問題も解けませんから。また、大学に入るにしても東大は入試科目が多いので、たくさんの科目を勉強しなければいけない。そうなると、苦手な科目も学習しなくてはならなくなるわけです。社会に出れば苦手なことだらけですから苦手なときにどう対応したらいいか、その対応力が身についたと思います。
エデュ:開成・東大ともに優秀な人材が多い学校ですが、今でも同級生との付き合いやつながりは強いですか。
松本氏:もちろん今でも付き合いはあります。東大では、50人弱のクラスだったのですが、今でも毎年忘年会を開いていて、昨年末には20人強が集まりました。忘年会では、これからの日本をどうしていこうかといった真剣な議論をすることもあります。
開成時代の同級生は、もう35年の付き合い。マネックスを創業するときに関わってもらったり、飲みに行ったり。当時から変わらずの付き合いですね。
エデュ:学生時代に培った友情は、松本さんにとって大きな影響を及ぼしているのですか。
松本氏:開成で過ごした6年間を通じて、本当に信じられる他人をつくることができたことが、私のその後の人間関係の構築に大きく影響していると思います。いざとなったときに背中を見せられる、困ったときに頼むことができる友人がいて、友人が困っていればできることをできる範囲でやってくれる。そして友人が困っていたら、自分もできることをやる。そのような友人を得ることができたことはとても大きな財産になっています。また、先生の存在も大きいです。なかでも、物事の本質を教えてくれたのが中高6年間学年主任を務めてくれた先生でした。その当時の教えが、時間を経て、さまざまな意味や重さを伴って思い出されます。開成は、どんなに凸凹したみかんでも入るみかんの網の袋のように、どんな生徒でも許容してくれるところが良いところだと思います。
取材協力:Z会東大マスターコース
Copyright (c) inter-edu.com, Inc.