日本で初めての近代的な大学として設立された東京大学。同大の出身者は、なぜ同大を志し、大学で何を学んだのか。
同大出身で、オンライン証券の草分け的存在であるマネックス証券株式会社代表取締役社長CEOの松本大氏に話をうかがった。
エデュ:続いてここからは、現在の日本の教育についてお伺いしたいと思います。マネックス証券株式会社の代表取締役社長CEOとして、国内外でご活躍されている松本さんは、これからの日本の教育制度についてどのようにお考えでしょうか。
松本氏:これからは知識を詰め込むのではなく、好奇心をのばすような教育を進めてほしいと考えています。そのためには、教育が「供給」の側の論理でデザインされたものであってはならないと思います。
「需要」サイドで教育を受けることができるようにするために、バウチャー制を導入するのも1つの考えだと思います。教育を受ける側にどういった教育を、どの学校や先生から受けるのかを吟味し、選択することができるようにする。そうすることで、教育を供給する側の意識の変化や内容・質の向上にもつながっていくのではないかと思います。
エデュ:
これから大学を目指そうとしている中学生・高校生にメッセージをお願いします。
松本氏:
受験勉強に没頭していると忘れてしまいがちですが、勉強は本来、社会に出てからの知識・知恵の習得が目的であり、受験のためにするものではないということを、心にしっかり留めていて欲しいと思います。
例えば、世界史で得る知識は、他者とコミュニケートするうえで欠かせざる前提とでも云うべきものなのです。たとえ日本の中で生きていくのであっても、世界との繋がりを抜きに日本を語ることはできません。
勉強は、それにより得たことを利用するためにあります。勉強で身に着けたことを利用し、何がしかの事を成していくことを意識しながら、受験にも勉強にも向き合っていってください。
エデュ: 中学生・高校生のお子さまをもつご両親に向けても、メッセージをいただけますか。
松本氏:
勉強は学校や塾が教えてくれるものではなく、自分でするものだと思います。
国のためになりたいとか、科学者として新しい発見をしたいとか、自らの能力を高めて出世したりお金を稼ぎたいとか、そういった目標があれば、学校がダメでも先生がダメでも子供たちは勝手に教材を探して勉強するでしょう。
ですから、私たち大人は、教育システムのことを杞憂すべきではなく、子供たちにしっかりとした将来像を提示して目標が持てるようにする責任がある。子どもたちの勉強の成果を活かす、器をつくっていく使命があるのだと思います。
エデュ:ありがとうございました。
取材協力:Z会東大マスターコース
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