一 文学的文章:倉本 聴『ニングルの森』約2500字、二 説明的文章:吉田夏彦『なぜと問うのはなぜだろう』約2200字、三 知識問題:熟語。文学的文章と説明的文章の長文2題に、言葉遣いに関する問題という3題構成。設問の約半分を記述問題が占めるが、今年の問題は受験生のレベルから見て標準的な難度か。定番であった「詩」の出題が絶えて久しく、今年はこれもおなじみの短文作りが無くなるなど、「一目見れば雙葉とわかる」という個性が薄れ、一般的な入試問題に近づきつつある。とはいえ、正しい国語表現にこだわる女子校らしい姿勢は、指示語・接続詞・語彙の問題などに健在で、イメージの表現力を問われる記述問題と合わせ、40分の試験時間で解ききるのは力量を要する。日頃の勉強ですぐ書き直しをするなど、密度の高い復習で鍛える必要がある。
大問は[1]から[5]までの5題、総設問数は10問。[1]は4問の小問で、あまりの出る割り算、縮尺の問題、濃度、逆算となっており、至極基本的な問題。[2]は30個の点を結んでできる正方形の個数とその面積を求める問題で、これもすばやく処理しておきたいところである。[3]は電車の故障による遅れを、駅の停車時間の短縮により取りもどすのを、周期を利用して考えさせる問題で、解法の糸口を誤ると苦戦するかもしれない。[4]は仕事算ですが、計算の処理がやや複雑になってしまうためていねいに考える必要がある。[5]はお年玉に毎月2回ずつもらうお小遣い。それを毎日130円ずつ貯金していき、しかも、5月5日に8000円使うと・・・といった感じで、今年の一番の難所といえるかもしれない。きちんと状況を線分図で整理しながらていねいに考えることが大切になってくる。全体としてはさほど難易度の高い問題はないが、限られた時間内でかなりの計算量があるので、7割取れれば上々かと考えられる。したがって普段から早く正確に計算する能力を磨き、ケアレスミスを絶対しないことが必要になってくる。
例年、大問で4題、B4の用紙4枚分を25分で解かなければならないスピードが要求される(次年度から30分)。問題が易しいため、毎年高得点勝負になっていることは間違いない。今年の問題は、[1]が人の体(消化)の問題。だ液によってデンプンがどのように変化していくか、ヨウ素液とベネジクト液を使って調べる問題。[2]は光の色の問題。多くの色を混ぜると、光は白くなり、絵の具は黒くなることを知っていると解きやすかったであろう。[3]は水溶液の性質(pH)の問題。最近、このような問題をよく見かけるが、pH0の塩酸を10倍にうすめるとpH1の塩酸になるところまで踏み込んだ問題はまだ少ない。あまり見慣れない理科的なことを、問題文で説明して解かせるのが出題の特徴である。[4]は月の満ち欠けの問題。月から見た地球や明けの明星の位置を答えさせる問題。
今年は、歴史部分が大問2つにわけられ、地理1問、公民1問の合計大問4題という出題だった。例年の出題傾向で、「歴史」の質問がやや難しく、それも問題の最初のほうに集中して難しめの問題が出ている。最初で動揺せず、また落ち込まずに最後までしっかりやることで、合格ラインを超える得点を確保できるようになる。特に「正しいものをすべて選べ」というパターンの問題は後回しにするべきであろう。来年から理科・社会は25分から30分になるので、さらにややこしい問題が出るかもしれない。過去問をしっかり練習して、できるものから解くコツを会得してから受験に望んでほしい。