八王子学園 八王子中学校・高等学校>連載コンテンツ>校長先生&教頭先生インタビュー
2012年度に中学校が新設された八王子学園 八王子中学校・高等学校。1期生は中学2年生となり、2期生を新入生として迎えた今年、学校はどんな様子でどんな発見があったのか。校長先生と教頭先生にお話をうかがいました。
― 校長先生が感じられている、今の八王子学園についてお聞かせください。
校長先生:本学園のモットーは「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」。つまりは『人間教育』を基本に置いています。中学校を新設する際も、このモットーを進化させる意味を持っていました。中学生も本質を理解できるよう、学園創設者の著書を冊子にわかりやすくまとめて、道徳の授業で使用しています。
『人間教育』は非常に大切です。今年の高校卒業生に東大合格者が出ましたが、彼は学力のみならず、人間性の豊かな生徒でした。また、本校にはドイツに姉妹校があり、その生徒たちは東日本大震災の義援金を集めてくれました。これは、第二次世界大戦末期から戦後にかけて、ドイツで多くの命を救った日本人医師への恩返しだと言います。豊かな人間性が、こうしたエピソードを生み出すのです。
私は教員に、時間内にしっかり仕事を終わらせプライベートを充実させるよう伝えています。人間としても教員としても幅が広がるからです。そういう教員こそ、『人間教育』が実現できると考えています。生徒も教員も、豊かな人生を送ってほしいですね。
― 2年生となった1期生はどんな様子ですか?
教頭先生:「僕たちが1期生だからしっかりしなくちゃ」と言って、生徒たちも意気込んで学校生活を送っています。教員も、良くできていることに対してはしっかり評価をし、できていないことに対しては「これはダメ」と、その場で解決していますね。生徒たちは素直だから、褒めることも注意することも「その場で」行うことが大事なのです。
― 入学して数週間の2期生はいかがですか?
教頭先生:やるべきことをきちんとさせる教育をめざし、入学直後からオリエンテーション合宿で集団行動や学校のモットーを、マナー研修で「語先後礼」を学ばせました。その後の授業は、大きな声で「よろしくお願いします!」と挨拶のあとにお辞儀をし、授業中もまったく私語がありません。中学1年生という早期の教育は大変な効果を生みますね。
― この1年、学習面の取り組みはいかがですか?
教頭先生:職員室前のホワイトボードや相談スペースは、かなり利用されています。これは学習の効果のみならず、生徒と教員の良いコミュニケーションにもなっていますね。先取り学習をしていくにも、基礎固めがとても大切。理解度の個人差に対応するよう、『CRP(チェック・リピート・プログラム)』という補習の機会を設けたり、自習室にチューター(八王子高等学校の卒業生)が常駐したり、学習理解向上のチャンスを与えています。
― 部活動はどうですか?
教頭先生:高校生の先輩の面倒見が良く、中学生も部活動を通して時間管理や健康管理、礼儀を学んでいるようです。全国レベルの部もありますから、そこに中学1年次から混ざれる経験は貴重です。しっかりした先輩を見て、憧れの未来を描けているようですね。
― 行事はどのように展開されますか?
教頭先生:本校の行事の特徴は、数が多いだけでなく、準備も含め一貫性を持たせていることです。一つひとつの行事を、点でなく線で結びます。例えば百人一首大会に向けて絵札を描く授業を行い、さらにそこで学び得た伝統文化を、海外語学研修時に英語で伝える…というように。行事で得た知識と教養を社会に活かせるよう工夫をしているのです。
― 保護者の反応はいかがでしょう?
教頭先生:保護者会の参加率はほぼ100%。「娘が『学校が楽しい』と言って、まったく寝坊をしなくなりました」という声をいただくなど、うれしいやり取りがあります。教員と生徒の関係がうまくいっていると、教員と保護者の関係も良くなる傾向にありますね。双方の信頼が成り立っていると実感しています。
― 今後生徒に期待することはどんなことですか?
教頭先生:生徒たちは学校を「楽しい!」と言っていますが、今後は「苦しいけど楽しい!」と言える生徒に成長させたいです。学校の勉強もこれから難しくなっていくし、社会に出てからも苦しいことはたくさんあります。それを楽しみながら乗り越えられる力を身につけてほしいですね。
― ありがとうございました!
インタビューの間、ずっと笑顔で話してくださった教頭先生。中学校新設という過渡期の中、まさに先生ご自身が「苦しいけど楽しい」の見本になっていると感じました。きっと生徒にも伝わっていることでしょう。