インターエデュ掲載期間 2006年6月12日〜2006年7月14日

Discover21 21st Anniversary

親子で受かる!中学受験 勉強時間の有効活用法と、子どもの「やる気」の育て方

話題の「中学受験手帳」「中学受験まいにち目標達成ノート」著者 田中貴先生に聞く「子どもをやる気にさせる、とっておきのヒント」

2006年の私立中学受験者数は首都圏で約4万6千人、受験率は16%を越えた。それぞれ過去最高で、来年もさらなる増加が予想されている。大学全入や高校全入の時代にあって、受験者の約20%が結局私学に入れない状況だ。修学社(学習指導会)の社長を経て、現在は進学学習コミュニティー「エルフィー」代表として中学受験の現場に立ち、優秀な子どもたちを育て続けている「ゴリラ先生」こと田中貴先生に、昨今の中学受験事情や、子どもをいかにやる気にさせるか、親は何をすべきかといったことなどをお聞きした。

座談会参加者:
Tさん(ご子息の中学受験を来年に控えるお父さん)
干場弓子(司会・株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長 今春、長男が中学受験を終えたばかり。)


「やらなくてもいいこと」を見つけよう 子どものモチベーションをどう上げるか 挫折しないために、日々計画を立て直そう
 

田中貴先生プロフィール
1958年福岡県生まれ。東京教育大付属駒場中学・高校を経て、83年慶應義塾大学経済学部卒業。同年、修学社(学習指導会)に入社。94年同社社長に就任、99年まで務める。2001年1月同社を退社。04年(株)エデュース代表取締役社長、05年進学学習コミュニティー「エルフィー」代表。家族は妻と一男一女。

「中学受験WEB tanakatakashi.net」こちら

「進学学習コミュニティーエルフィー」はこちら

 
書籍紹介

親子で受かる!中学受験手帳

親子で受かる![中学受験]
まいにち目標達成ノート

(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン

 

「やらなくてもいいこと」を見つけよう

首都圏や都市部を中心に、中学受験の熱が高まっていると言われています。
田中: 私学受験者数が2006年に過去最高を記録し、さらに増えていく傾向にあります。そうした流れで中学受験の厳しさばかりが強調された結果、「勉強をどんどんやらせなきゃだめだ」という意識がご父兄の間で強まっているのが現状です。それが中学受験の過熱化に結びついているというわけです。
過熱化によって今起こっている問題は、親がわが子に“やらせすぎ”てしまうことです。塾の先生に「4年生から毎日このぐらいやらなきゃ受かりませんよ」と言われたら、お母さんは当然、「もっと頑張らなきゃいけないのか」と思います。だけど子どもにしてみれば、学校の勉強にクラブ活動、友達との遊びもあるわけで、とてもじゃないがこなしきれない。そうしているうちに、「一生懸命やってるのにどうしてこうなるんだろう」「自分は勉強ができないんだ」なんていう苦手意識がついてしまったら、これはまずいですよね。
確かに、それは問題ですね。
田中: やらせすぎで失敗しないためには、「やらなくちゃいけないと思っていること」を、実際に手帳やノートに書き出してみるといいです。すると、よくわかります。「終わらないじゃないか、どう考えても」と(笑)。この塾でやっている分量は、絶対出来ないよねというのがはっきりします。
中学受験勉強をしていくうえでの最大のポイントをお教えしましょう。それは、「やらなくてもいいことをいかに見つけるか」ということです。そのためには、どうするか。まず、書き出した「やらなくちゃいけないこと」に優先順位をつけていきます。そして優先順位をつけたら、それをいつやるか、お子さんと一緒に考えてみるんです。過去問は木曜の夜にやろうとか、苦手な算数の問題集は土曜の午後に時間をとろうというように。
こうしたひと続きの作業の中で、得られることが大きく2つあります。まず、時間を効率よく使えるようになるということ。つまり、優先順位の低いことに、無駄に時間を費やすことがなくなるわけです。
そして第二に、達成感です。立てた計画が予定どおりできたら、私の塾ではごほうびのスタンプを押してあげます。スタンプが1200個たまったら、ディスニーランドのパスポートです。物で釣るようですが(笑)、子どもたちにしてみれば、これがすごく楽しい。そしてそれは、モチベーションにつながっていくわけです。

子どものモチベーションをどう上げるか

モチベーションという言葉が出ましたが、中学受験に際して、子どもはなかなかやる気にならないという問題がありますよね。それについてはいかがですか?
Tさん: うちの子も受験まではまだ半年以上あるせいか、どうしても切実感がないのが悩みの種です。モチベーションをどうやって上げていくのか、ぜひお聞きしたいです。
田中: ポイントは2つあります。第一に、子どもからすると学校があって、その後に塾がある。いってみれば、塾の勉強というのは残業なんです。だから、それを続けるためには、楽しい、面白いという要素がないとだめ。
第二に、私学に行くっていうのは、実はとっても素敵なことなんだということを理解させることです。わかりやすいところから言えば、「私立は休みの日数が多いぞー」とか。
Tさん: なるほど(笑)
田中: それと大事なのが、「子どもが何を好きなのか」ということ。例えば、「野球が好き」と言う子は、野球部に入りたいし、サッカー好きな子は、サッカー部に入りたい。サッカーの強い学校と、親御さんが入れたい学校は得てして違うわけですが、でもサッカーを一生懸命やっている学校というのは、子どもたちにとってひとつの魅力になります。そういったイメージがあって、「楽しそう」と「入りたい」が具体的に一致したときに、はじめて子どもたちは「よし、頑張ろう!」というふうに思えるわけです。
そう思えるのはいつ頃なんでしょう?
田中: だいたい6年生の夏休みですよ。それまではどちらかというと「やらされてる」が7割。やれと言われるからやっている。
Tさん: もうひとつ先生にお聞きしたいのですが、志望校はどのように決めていけばいいのでしょうか?
田中: まずひととおり勉強して、成績をだして、それから行けそうな学校を考えるという決め方があります。今の塾にありがちな流れです。それはそれでいいのですが、私が提唱しているのは、そうではなくて、まず目標の学校を決めましょう、ということです。この学校に入りたい!と狙いを決めて、それに対して必要な勉強は何かを洗い出していくと、いらないものもいっぱいありますよね。たとえば文学史とか。
たとえば慶應だったら植物の名前をたくさん覚えなくちゃいけないけど、麻布にはその知識はいらないですよね(笑)
田中: そう。そうやって目標の学校に「挑戦」する一方で、がっとレベルを落として、確実に受かるであろう学校を併願することをお勧めします。対策を立てる必要がないくらい、今の子どもの成績で充分入れる学校をおさえておけば、自分の行きたい学校のことだけに集中できますよね。やっぱり、「どこどこに行ってこんなことをやりたい」というイメージを膨らませていくことが、子どもたちを突き動かす一番のモチベーションになります。
なるほど、ここでも「やるべきこと」「やらなくてもいいこと」をはっきりさせていくことが 大切になってくるわけですね。

挫折しないために、日々計画を立て直そう

最後になりましたが、田中先生はこのたび『親子で受かる!中学受験手帳』『親子で受かる!中学受験まいにち目標達成ノート』という2冊の新刊を上梓されました。これについてお聞かせください。
田中: 「もっと頑張らなきゃ」「あれもこれもやらないと」といった漠然とした不安を持つお母さんに、情報を整理しながら、能率よく計画的に学習を進めていくためのツールを提供したいという願いから生まれたのが、『中学受験手帳』です。この手帳のミソは、お母さんの予定と子どもの予定を両方書き込めるところにあります。これを毎日きちんとつけていれば、働くお母さんでも、「今この時間、うちの子は何をやってるんだっけ?」ということを常に把握できる。つまり、この手帳と携帯電話があれば、働きながらでも子どもをある程度コントロールできるわけです。「今、○○してるはずよねえ」って。
なるほど(笑)
田中: いや、今の子たちは幼いですから、それくらいでいいんです。それに、これをやっているうちに、子どもたちもだんだんわかってきます。これだけやれば文句言われないね、後の時間は自由に遊んでいいんだねって。そういうふうにして、時間の使い方も身につけていくわけです。
もう一冊の『中学受験まいにち目標達成ノート』は、子ども自身が書き込むノートサイズの計画帳です。実際に私の塾で使っているワークシートがたくさん入っています。ごほうびスタンプシートもあります(笑)。お母さん向けの『中学受験手帳』と連動させて使っていただければ、より効果が出るものと思います。
私の子どもの受験の時はまだこの手帳がなかったので、自分で似たようなものを作って使っていました。計画を立てて達成していくのは楽しいし、充実感もあるんですが、結局一週間たつとやり残しがいくつもでてくる。またそれで新たにやり直す、という繰り返しだったのですが、それはどうすればいいのでしょう?
田中: いや、それでいいんです。ビジネスマンだって、誰でも同じですよね。こういう予定を立てていたけど、ここに会議が入ってきた、ここで来客があるから予定を変更する必要がある、ということの繰り返しです。
計画ってのは一枚あればいいわけではないんです。ありがちなのは、一枚だけ計画表を作って、それを机の前にべたっと貼って、この通りやろうねって。そんなの、できっこないですよね。だから、次の週に修正を加えるわけです。先週はここまでしかできなかったから、今週は何ページやることにしよう。そういう修正が必要だから、こういう手帳やノートがいるわけです。
変更していくからこそ、スケジューリングが大切になるんですね。
田中: そう、とにかく優先順位はいつでも変わってくるし、子どもの得意不得意によっても力を入れる場所は変わってきます。塾の先生は言うんです。これとこれとこれはやらなきゃいけません!って。でも、たいていの子どもにはそこまで時間がありませんから、結局それらも全部はやりきれないんです。
それよりも、やれることを絞り込んで、時間を上手に使って、例えばここからここまでは野球やろうね、ピアノの練習もしようね、そういうことを習慣づけていくほうがずっと大事なんです。
(ディスカヴァー・トゥエンティワン本社にて)

 

書籍紹介

親子で受かる!中学受験手帳 親子で受かる!中学受験手帳 著者:田中貴(著)
価格:1,575円(本体価格:1,500円)
発行日:2006年4月5日
ISBN:4-88759-458-5
本のサイズ:四六判変型ビニールカバー
書籍内容 『ゴリラ先生の合格手帳』(朝日小学生新聞連載)でおなじみ「ゴリラ先生」が受験生を持つお母さんに贈る、とっておきのアドバイス。 学習計画の立て方から、教科別勉強法、学校選び、スランプ脱出法、子どもとの付き合い方まで、あらゆる親の悩みと不安に応える、頼りになる一冊です。

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親子で受かる![中学受験]まいにち目標達成ノート 親子で受かる![中学受験]まいにち目標達成ノート 著者:田中貴(著)
価格:1,512円(本体価格:1,440円)
発行日:2006年4月5日
ISBN:4-88759-459-3
本のサイズ:B5判ソフトカバー
書籍内容 学校、クラブ活動、友達づきあい…子どもだって忙しい! 自分で計画を立てて、効率的に勉強を進めるためのノートがいよいよ登場です。 中学受験指導の第一人者「ゴリラ先生」が教える、試験本番までの学習計画の立て方と勉強法。 夏休みの勉強や苦手教科克服も、この一冊でバッチリうまくいく!

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