ラクロスというスポーツをご存じだろうか?クロスと呼ばれる先に網の付いたスティックを用いてボールを奪い合い、相手陣のゴールに入れることで得点を競うスポーツだ。
近年、大学生を中心に競技者人口は急増し、最近では、AKB48が主演したドラマの中で、多くのメンバーがラクロス部員として登場して話題を集めた。小学生の間でもソフトラクロスは広まりつつあり、その人気はさらに拡大中である。
日本大学高等学校・中学校女子ラクロス部は創部5年の新しいチームであるが、飛躍的に力を伸ばしてきている。今回は、その活躍が期待される女子ラクロス部「AQUA」を取材させていただいた。
2011年4月10日、駒沢第二球技場で、Teen’s Cup 2011が開幕した。 久しぶりの公式戦の緊張の中、みんなで気持ちを合わせて試合が始まる。 後半は、巧みなパスワークを見せる「Smash Stars」の攻撃に、一時同点に追いつかれる場面もあったが、チームワークの良さとパワー、走力を生かした攻撃で連続得点するなど、相手を引き離し、8-5で試合終了。 最後まで気力を保ち、初戦を見事な勝利で飾った。チームメイトみんなでクロスを上げ、互いに合わせて喜び合う。最高の笑顔の瞬間だ。 本試合は予選ブロック1試合目。 |
ラクロスは、1チーム12人(フィールダー11人とゴールを守るゴーリー)で、約110m×60mという広い競技フィールドで行われる。
ミニスカートや巻きスカートが主体のユニフォームのかわいい印象に反し、ハードなスポーツだ。
女子ラクロス部「AQUA」もそんなハードなスポーツに日々真剣に取り組み、練習を重ねていく中でも、多くの部員がラクロスの面白さ、チームプレイの楽しさを生き生きと語ってくれた。
「ほとんどが初心者だから、みんな同じペースで進んでいけるので、チームワークが良い」
「普段の練習の中でやってきたこと、身につけた技術を試合で出せた時はうれしい!」と
話してくれたのは、入部2年目に入る中学2年生の部員達。
初心者が多く、同じスタートラインから始めるラクロスは、技術の進歩やつまずきを共有しながら、一緒に進んでいけるだけに、部員同士の結びつきが深まるという面もあるようだ。
部員数は現在38名。
この春で引退となる高校3年生は「大人数をまとめていくのは大変」と話す一方で、「みんなラクロスが大好きで、真剣に取り組んでいるのでチームワークも良く、中学生も高校生も一緒に仲良くやっている」と部活動の様子を語ってくれた。
ラクロスを通しての他校の部員との交流も楽しみのひとつだという。
この春の新入生も、中・高ともにラクロス部の注目度は抜群に高く、連日入部希望の見学が数多く訪れている。
また、顧問の先生方について尋ねると、「技術、戦略面だけでなく、メンタル面も重視し、荷物の整理整頓など身の回りのこと、礼儀なども指導してくれる」「部員ひとりひとりに目を向けてくれ、ケガのケアなどにも細やかな配慮してくれる」など、先生方が心を配ってくださることで、部の活動が成り立っていると感謝の気持ちを口にする。
彼女達の試合を観戦し、話を聞くほどに、学校HPのクラブ活動紹介に記されている
「Let’s make friends through lacrosse! It’s a lot of fun!!」が、ラクロス部「AQUA」の活動そのものであると感じた。厳しい練習を重ねながらラクロスを楽しみ、友情を深めている姿が清々しい。
中学生と高校生が一緒に活動する部活という点でのメリットもある。
「上級生になるにつれて、チームプレイを考えて行動するようになり、精神的にも成長した」と話すのは試合の応援に来ていた高校2年生部員の保護者。学年の壁を越えて一緒に練習し、プレイすることで、彼女達が得るものは大きい。
「明るく楽しい学校」とみんなが口をそろえる日本大学高等学校・中学校での学校生活。
彼女達が部活動だけでなく、学校生活全般を楽しんでいることがうかがえる。
「部活の先輩と仲が良い」「男女の仲が良い」「先生と生徒も良い関係」と学内の人間関係の良好さが多くの生徒から語られる。
保護者からは「男女共学で、楽しく学校生活を送っている様子だ」「男女が普通に一緒にいて、協力しあえる自然な環境」という声が聞こえ、共学校のメリットも感じているようだ。
中高一貫校ならではの良さもある。「高校生とも毎日触れあえて、様々な先輩から刺激を受けることができる」と中学2年生。中高の枠を超えて、互いに情報交換したり、刺激し合いながら、学校生活を幾重にも楽しみ、成長しているように思う。
高校からの入学生もそんな仲の良い雰囲気にすぐに溶け込み、一体感のあるチームとなっている。
また、大学付属校のアドバンテージとして、現役大学進学率は93.2%と非常に高く、勉強だけでなく部活にも打ち込める環境が整っている。大学生との合同練習など交流も行われており、大学生の生の声を聞けることが進路選択の一助にもなっているようだ。
特別進学クラスに所属している部員もおり、希望の進路を叶えるために練習後に夜遅くまで勉強に励む高校3年生もいる。
そのことを語る彼女たちの言葉や表情には、部活と勉強の両立の厳しさよりも、両立させている日々の充実感があふれていた。
日本大学の付属校という安心感もありながら、自分自身で進路をしっかり選んでいける柔軟性もまた、この学校の魅力のひとつと言えよう。