個性尊重、自主自立、自由平等を建学の理念とし、主体的な学びを通して人間性を形成する姿勢を貫く明星学園。今回は明星学園中学校、河住貴夫教頭先生に、教育理念や特色ある教育活動についてお話をうかがった。 これからの時代に求められる本当の意味での「学力」とは何か? 明星学園の教育の中に、そのひとつの答えがあった。
「自由」の持つ厳しさを認識し、社会的存在としてお互い認め合う「個性尊重」が、明星学園の姿勢である。
そのためには、教養、社会性、自己表現が大事になってくると考えている。
自分の考えを持ち、互いに聴き合って議論し課題を解決する学習スタイル
教養とは、自分の世界観を形成するために必要なものである。
同校では、学問の本質・体系性も大事にしながら、生徒の活動や主体性を大事にした、課題解決学習という学習スタイルをとっている。
みんなで討論して乗り越えていく課題もあれば、練習しながら乗り越えていく課題もあるという。
受け身ではなく、自分の考えを持ち、聴き合って議論をしていく、みんなで真理を探求していくというスタイルの授業で教養を養っている。
とことん話ができる雰囲気の中、子ども達の葛藤も成長のチャンスに!
明星学園の特徴のひとつに、休み時間はいつも多くの生徒が集まる開放的な職員室がある。
授業の質問に来る生徒もいれば、たわいのない話をしている生徒もいる。保護者の方々も気軽に学校に足を運び、困ったこと悩んでいることを相談しやすい雰囲気だ。
コミュニケーションを大事にし、先生と保護者の両者で、生徒の成長をしっかりとサポートしている。
一人ひとりの自己表現を大切にする教育
自分を表現する方法は様々で、言葉を発して表現する生徒もいれば、文章に書くことで表現する生徒もいる。色や音、身体を使って表現する生徒もいる。生徒が自分を表現できる場を多く持たせたいという考えから、美術、音楽、工芸、体育等の科目に多くの時間数をとっている。
同校は、活発な生徒が多い印象を持たれがちだが、おとなしい生徒も多いという。討論の授業などでは、話している生徒が目立つが、聴いている生徒の方もしっかり考えている。相手の話をよく聴いた上で、言葉にしたり文章にしたりして表現できることが大切だと、理解させている。
さまざまな個性を持った生徒に目が行き届き、表現の場がある学校だ。
中学3年間のまとめとして取り組む卒業研究論文は、広い意味での進路指導のひとつである。自らテーマを決めて深く学び、論文を書いていく過程で、生徒達は自分の好きな方向や興味・関心を見つけていく。
卒業研究が将来の夢や進路につながった生徒も少なくない。実際に、卒業研究の論文を発展させ、推薦入試に活用して希望の大学に進学した生徒もいるという。このようにどの大学に進学するかというような狭義の進路指導ではなく、常に夢や目標を問う姿勢で生徒に接している。そのため進路は、文系、理系、実技系と3分の1くらいずつに分かれていくという。
可能性を大事に伸ばしていく学校ならではの、多岐にわたる進路も特徴と言えるだろう。
民泊体験通じて大人の中に入って直接、歴史や文化、どう生きてきたかに触れる機会を持つ。
職場体験も1週間じっくり時間をかける。様々な人を招いて講演会も行う。仕事に打ち込んでいる人の姿やものの考え方に触れる。
取材を終えて
受験勉強一辺倒では得られない、自ら将来を切り開いていく力を、確かな信念とカリキュラムのもとで育んでいく教育に魅力を感じる。
また、生徒の自然な成長を大切にし、じっくりとコミュニケーションをとりながら個性を伸ばしていく明星学園の温かさが伝わってきた。6年間を通して、先生一人ひとりが生徒全員と真剣に向き合い、豊かな人間性を育んでいるのを強く感じた取材であった。
入試問題に関しても話を聞くことができる。公立中高一貫校の入試に準じた適性検査型入試もあるので、併願を考えている方も含めて、ぜひ参加していただればと思う。