中目黒駅から徒歩5分、目黒川沿いの落ち着いた地に同校は、1940年、東京機械工科学校として創立された。以来、70年にわたり男子校として、学業だけではなく、ラグビーなどのスポーツや芸術など多岐にわたり教育活動を行ってきた。
数年前からは、生徒自身の人生を描く「キャリアデザイン」の重要性に注目。大学だけではなく将来の視野をしっかりと見据えながら、自らの可能性を探り、進むべき道を生徒自身に見つけてもらえるよう、大学受験に直接関係のない、技能教科もしっかりと指導を行ってきた。その結果、医歯薬学部や芸術学部などの進学者も輩出している。
「学歴だけではない。音楽や美術などの違った才能もある。自分の人生をどう描いていくのかを考えていくことは男女関係なく大切なこと」と松本氏。学園創立70周年、中高一貫教育創設15周年の節目に、女子生徒を受け入れられることになったのは、これまでの教育活動を考えれば自然な流れであるのかもしれない。
女子も安心して学べる教育体制、また、男子にとってはこれまでと変わらない学園を約束すべく、万全なる整備を進め、10月25日、共学化の正式認可を受けた。「男女一緒に学ぶことで建学精神がさらに深まっていくのではないかと思う」(松本氏)
「大学進学を目指したい」「部活動と学業を両立しながら進学を目指したい」など生徒自身の目的に応じたコースを選べることも同校の特徴の一つだ。特進コースには、プレミアム、アドバンス、スタンダードの3コースが用意されている。
通常の授業に加え、同校では、「総合的な学習の時間」の枠組みを利用し、2006年から「キャリアデザイン」という3年間を通じた体系的なキャリア教育体制を確立している。この活動は、同校の教育目標の一つでもある「自分の意見を表明する」ことにも通じている。時代の変化を冷静に読み取る判断力、他者への配慮しながらも自己認識を踏まえて、自らの生き方の指針そのものを見つける力を養っていく。
具体的には、「自分さがしワークシート」を使った自己理解活動、教材を使った進路ノートの作成、新聞コラムを使った朝学習などが挙げられる。また、2年次には「キャリアゼミ」を受講する。学問・研究だけではなく、地域交流やボランティアなどの講座もある(2010年度)。こうした学習・体験を通じて、自分のキャリアを考え、将来への道筋を見つけ出すことを目指している。
同校では、1995年より中高一貫コースもスタートさせている。中高6か年の一貫教育を通し、「知育・徳育・体育」を三位一体とした調和のとれた教育を行っていく。
中高一貫生と高校入学生は、両者の特性をいかすため、別の教員が指導を行う。それぞれの専門性を高めるために専任・常勤の教員で両方を兼任する教員は、校長を含め数人にとどまっている。教科会議も別々に行われている。ただし、生徒会活動、図書委員会、高等学校の部活動、梧林祭(文化祭)、バスケットボール大会などは合同で行い交流を図っている。
生徒は、入学前にクラス分けテストを実施。中学1年から1クラスを選抜クラスとして設置する。高校に進学後は、選抜クラスのカリキュラムを国公立対応とする。また、今後は、キャリアゼミを中高一貫コースでも対応していく予定だ。
中学校の入試日程は、第1回から5回まであり、試験科目も回によって異なる。また、第5回入学試験は、2科目受験と4科目受験に加え、特別募集として「英語入試」「数学入試」「適性検査入試(都立一貫校との併願を視野に入れた入試)」も同時に実施する。試験回によって日程、出願期間が決められているので注意が必要だ。