「通学圏外だけど、入れたい学校がある」
「寮での集団生活を体験させたい」
「子どもの自主性を育てたい」
など、さまざまな理由から
「寮のある学校に進学させるのも、いいかもしれない」
と考える親御さんは、決して少なくありません。しかし、大学生ならともかく、中学生・高校生のお子さまに、親元を離れた場所で学生生活を過ごさせるとなると、親としては、寮生活への憧れよりも、むしろ不安を多く感じるのではないでしょうか。もちろん「寮」と一口に言っても、学校によってその考え方、質はそれぞれ。インターエデュ内の掲示板でも、寮のある学校のスレッドでは、寮関連の話題はいつも賑わっています。
しかし、特定の学校の寮に関する話題ではなく、
「そもそも中高生の寮生活って?」
ということが知りたい親御さんも多いと思われるなか、実は、掲示板では「中高生の寮生活」そのものに言及しているスレッドが、意外と少ない様子。そこで、今回は各スレッドから、特定の学校の寮に関してではなく「中高生の寮生活全般について」参考になる書き込みをピックアップしてみました。いずれも、中学校・高校での寮生活に不安を感じる保護者の方々に、今まさに寮生活を送っている中高生のお子さまがいらっしゃる方や、過去に同様の経験をされた方が、その実体験をもとにアドバイスを書き込んでくれたもの。そこから見えてくる親としての本音とははたしてどんなものなんでしょうか?


本人の希望で娘が寮生活をしていますが、娘に合っていても他のお嬢様に合うかは全く分かりません。良いことも悪いこともそれなりに色々あります。一般論では答えにくいと思います。
**さんも候補の学校はいくつかに絞られていると思います。まずは学校に連絡して、お嬢様と一緒に学校や寮・下宿の見学をしてみて下さい。
(中略)
そして、**さんもご心配されているとおり、成長期の多感な時期を親と離れて過ごすことになります。
自分の意志で決めたんだ、という思いがなければくじけてしまうと思います。
親元を離れての場合、寮・下宿生活がうまくいかなければ学校も辞めなければならなくなりますので、自分の目で確かめるという作業は省かないで下さい。
(後略)

こちらの方の場合、娘さんご本人の希望で寮生活を送っていらっしゃるようですが、「自分の意志で決めたんだという思いがなければくじけてしまう」、という言葉には、重い実感がこめられているように見受けられます。寮のある学校は特に最近注目を集め、教育雑誌などで取り上げられることも多いため、親の希望として「寮に入れたい」とお考えの方も増えています。しかし、当たり前のようですが、なによりもお子さまの意思が大切。親の希望を押し付けるだけではせっかくの寮生活の利点も活かすことができません。また、「自分の目で確かめるという作業は省かないで下さい」という一言は、お子さまを寮に入れたいとお考えの方には、ぜひとも忘れないでいただきたいですね。

私どもも,息子を寮にあずけることになって始めて自覚できたことですが,
1.大勢の友人ができて,毎日が修学旅行のように楽しく過ごしている.
2.通学時間がないので,部活にも,勉強にもしっかりと打ち込める.
3.けじめをつけた規則正しい生活が送れる.
4.学習だけでなく,自由時間に読書をする習慣もついた.
5.毎日コツコツと学習する.(休暇中家庭でも)
6.手紙でやりとりする機会も増え,逆に子どもとのコミュニケーションはよくとれている.
等の,よく言われる良い面が身に付いて,今はとても満足しており,無事卒業し,大学入試で良い結果が待つだけです.

 でも,12〜13歳の子どもを寮に預ければ,少なからずホームシックと闘うことなります.病気や怪我を患っても,直ちに学校(寮)に出かけることはできず,寮母さんや舎監さんに気をもみながらまかせるしかありません.特にインフルエンザに罹ったりすると,隔離する場もないので強制的に自宅に帰されたりするようです.(他の寮生への感染を防ぐ意味ではやむを得ない措置でしょうが)また寮生間のトラブルの際も,加害者になろうが,被害者になろうが,やはり遠 方から見守るしかありません.


寮生活の良い面だけでなく、悪かった面にも触れてあり、まさに実体験された方ならではの本音ではないでしょうか。特に「やはり遠方から見守るしかありません」という一言には、親としての覚悟が大切であると実感されたことがうかがえます。この方の書き込みの通り、ホームシック、病気、学生同士のトラブルなど、寮生活にはさまざまな問題が起こる可能性があります。それらの問題を乗り越え、寮生活がお子さまにとってプラスに転じるかどうかは、お子さまの性格だけでなく、親御さんの考え方、心構えもまた、大変重要であるということでしょうか。

(前略)
☆良かったこと
・身の回りの事ができる様になってきた。
・自立心が芽生えた。
・協調性が身に付いてきた。
・自己管理(健康)自分で通院している様子。
・お互い(親子間)を気遣うようになった。
・帰省しても彼に寛容でいられる。
★困ったこと・現在困っていること
・入学後1・2ヶ月 ホームシックがあった。
・衣類をはじめよく物が無くなる 紛失。
・盗難もあるらしい。
・成長も早いので定期的に衣類交換(小さくなった服)処分に出向く必要あり。昨年サボったら現在ロッカーぱんぱん。
(中略)
親離れ以上に 子離れが求められますねーー
でも、我が家は寮生活は大正解でした!!
成績がいまひとつ・・・自宅へ帰るようなことだけは無いように祈っています!!


こちらの方はお子さまの自立性に成長を感じられているご様子で、「寮生活は大正解」と締めくくられていますが、決して良いことだけでなく、悪いこと、不安なことも多いようです。
また、特徴的なのはお子さまだけでなく、親御さんの「子離れ」にもよい影響が出ていると感じていらっしゃる点。いわゆる「子離れ」は多くの親御さんにとって、とても気になる問題ですが、お子さまの寮生活が、「子離れ」によい影響を与えるという視点は、実際に経験された方でないとなかなか気がつかないかもしれませんね。

高校は寮のある学校、大学入学当初もその大学の寮に
子供を入れたことのあるものです。
子供(男子)なかなか自室で計画的に勉強するのは大変だったといってました。
個室でもプライバシーはナイに等しいと。ドアをトントンとノックされたら
出ない訳に行かない、部屋に上げてついつい遅くまで話し込んだり…
でも寮長さんがいて、朝は放送で起こされますし、食事も全員しっかりとります。
掃除も分担が決まっていたり、それなりに濃い人間関係もあります。
最初は大変だけど仲間が出来て楽しかったし、卒業した今は懐かしいようです。
(後略)


中高生の多感な時期のお子さまにとって、プライバシーの問題は非常にデリケートなもの。寮生活は多かれ少なかれ、お子さまに「プライバシーのない生活」を過ごさせることになりますから、親御さんとしては不安になる一方、「卒業した今は懐かしいようです」とおっしゃるこの方の意見に納得される方も多いのでは? お子さまの性格によるところがあるとはいえ、プライバシーのない環境は一概に悪いとは言い切れず、多くの友人を作るきっかけにもなります。また、このスレッドでは「学生寮」と「学生会館」の対比も興味深いので、ご興味ある方はぜひご参考ください。

いかがでしたでしょうか?
今回は特に、中高生の寮生活に対して「保護者の視点から」「よい点・悪い点の双方に触れてある」書き込みを中心にピックアップしてみました。他にも掲示板 にはさまざまな書き込みがありますので、他のご意見に興味がある方はぜひ一度、掲示板を覗いてみてください。また、特定の希望校が決まっている方は、その学校のスレッドでも活発な意見交換がされていますので、そちらが参考になるかと思います。

では逆に、学校側の本音はどうなのでしょうか。「寮」についてどのように考えているのか。今回は新たに学生寮を新設された早稲田摂陵中学校・高等学校さまに、お話を伺ってきました。



「寮生」に対して学校側としてまず考えるのは、親御さんの大切なお子さまを数年間、公私にわたって文字通り「お預かり」するわけですから、学習面だけでなく生活面においても、学校として責任ある接し方が必要だということでしょうか。時には、お子さまにとっては厳しい指導もしないわけにはいきませんし、その過程で学校と学生がぶつかりあうこともあるでしょう。裏を返せば、寮生とは学校にとっても、非常に濃密な時間を共有する学生である、ということです。そういう意味では、通学の学生とは異なる存在であると考えています。
寮の新設にあたって、我々がもっとも重要だと考えたのは「親御さんと学生が、安心できる環境であること」。寮生活は保護者の方々や受験生の皆様にとっては、どうしても不安が残るものですから、それを払拭できるサポート体制を、なによりも重要視しました。せっかく入寮したのに、学業半ばで退寮なんてことになれば、誰よりも学生にとって、大きな不利益になりますから。
当校は早稲田大学の系属校として、長年培われた早稲田の教育メソッドを活かしつつ、新しい時代を担う人材を育成する独自の教育プログラムを中高一貫で構築しています。具体的には、学生個々人に合わせて作成する「個人カルテ」を用い、一人一人に合わせた科学的な学習支援を行う、ということですが、学生寮を新設するにあたっても根底にある考え方は同様です。
常に寮生の一人一人と真摯に向き合っていくこと。それが、中高六年間、または高校三年間、という、多感な時期を共有する寮生に対して、学校が決して怠ってはならないことだと考えています。



寮生活は不安なことが多い反面、よくいわれるように学生の自立性を育てる、親しい友人が多くできるなど利点も多く、学生自身にとって「輝かしい青春時代」になりえる、非常によい経験となるものだと、個人的には思います。興味がある方はぜひ一度、当校にもお問い合わせをいただければ幸いです。

早稲田大学学生寮のノウハウを活かし、学生がお互いに高めあう「協同生活」の支援をコンセプトにしています。寮生活に関心のある保護者の方なら、一度は「部屋が汚い」「食事がおいしくない」などのデメリットを耳にされたことがあるかと思いますが、当校の寮では新設の強みを活かし、従来、寮の課題とされがちだった設備・環境面にも力を入れています。

寮の仲間同士が互いに切磋琢磨しあう自学自習は、寮生活の最も大きな利点のひとつです。当校の寮では学習室に問題集や参考書を常備し、インターネットTV電話による学習システムも利用可能に。また、専門スタッフの指導の下、定期的に少人数の夜間学習会を行うことで、より効率的な学力アップを支援します。

部屋は中学生は4人部屋、高校生は1人部屋と、生徒の発達段階にあわせて設定。もちろん、相部屋でも個人用のベッドや本棚、学習机を完備しています。
さらに、生徒同士の密なコミュニケーションの場として、談話室や中庭などの共用空間にも力を入れています。
生活の基本となる食事面では、栄養バランスに配慮したメニューを充実させています。

 説明会・相談会日程
 ●中学入試説明会 11月28日(土)
 ●高校入試説明会・吹奏楽コース(女子)入試説明会 11月21日(土)/ 12月12日(土)

 中学/高校 個別相談会のお知らせ
 ●12月5日(土) 10:00から16:00
 ●12月19日(土) 10:00から16:00
 場所:本校
 ご希望の方は、下記までご連絡をください。
 072(640)5570  



今回の「中高生の寮生活」に関する保護者と学校の本音、いかがでしたでしょうか。ピックアップした書き込みのなかで、どなたもが口をそろえるように、「中高生の寮生活」は決してよいことだけではありません。しかし一方でその特性を活かすことができれば、お子さまにとって大きなプラスを生み出すこともできるもの。そして、学校側も寮生に対して細心のサポートを考えていることがお分かりになったかと思います。
もし、「中高生のうちに寮生活を体験させたい」とお考えなら、ぜひ一度、ご検討されてはいかがでしょうか。その際には早稲田摂陵中学校・高等学校の藁谷先生がおっしゃるように、親として、またお子さま自身として「寮生活に安心できるかどうか」をお考えいただくのがよいかと思います。




取材協力・素材提供:早稲田摂陵中学校高等学校
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