日本大学理工学部物理学科の先生方によって2つの講義とそれに関連する実験が行われた。
最初に、新興国(中国、インド等)の人口増加や現在の発電における問題点(環境破壊、原子力発電の危険性など)が指摘され、今はエネルギーの問題を考える大切な時期であり、環境にやさしく無尽蔵なエネルギーの開発し、安定供給することが求められていることが、まず強調された。
そうした中で、核融合反応によって放出されるエネルギーを利用し発電する核融合炉、いわゆる人工太陽を造る研究が進んでいる。人工太陽の実現のためには、高温プラズマを地上でどのように保持するかが重要な課題のひとつだという。
人工太陽の原理・仕組みについては難しい部分が多いが、その原理の中でも重要となる「プラズマ現象」については、中学生の理科で習う原子の構造や物質の三態とのつながりの中で説明された。プラズマとは、原子をつくっている原子核と電子がバラバラにされた状態で物質の第4状態と呼ばれているという。
超伝導という現象について、電気抵抗がゼロになること、マイスナー効果といった特徴を押さえながら、モニターを使って丁寧な説明がなされた。超伝導はすでに医療分野でのMRIやリニアモーターカーなどの技術に応用されているほか、電力貯蔵などエネルギー分野への応用研究も進んでいる。しかし、現在発見されている超伝導物質は臨界温度が低いため、冷却のためにコストがかかる点で問題があるという。今後、室温でも機能する実用的な超伝導物質の発見が期待されてるといった話もされ、物理学の研究は、難しい理論を考えるばかりでなく、現実とそれほどかけ離れたものではないことが印象づけられた。