朝9時40分より、中学生、保護者ともに多目的ホールでの開会式に出席し、学校長からあいさつと日程説明を受けた。
学校長からは、日本大学明誠高等学校の自然環境の良さ、日本大学直属の付属校ならではの日大への進学の上での有利さが強調され、充実した同校HPについても紹介された。
開会式の後、50名の生徒達はA、Bの2つのグループに分かれ、それぞれ体験をした。
◆物理学、最先端の研究に触れる!
中学理科での学習と関連させた講義と知的好奇心を刺激する実験
「プラズマと超伝導の世界」と題された講義と実験が、日本大学理工学部物理学科の先生方によって行われた。まず、高野教授から「低温と超伝導」というテーマでの講義がされる。
超伝導は、すでに医療分野のMRIやリニアモーターカーなどの技術に応用されているほか、電力貯蔵などのエネルギー分野への応用研究も進んでおり、医療や産業の進歩において最先端の研究分野のひとつだ。
先生は、物理学の研究における低温の必要性や液体窒素の性質などに触れながら、超伝導について説明された。かなり高度な内容であったが、中学理科の第1分野の内容に関連させながら説明がなされ、生徒達は真剣に耳を傾けていた。
今年は、超伝導が発見されて100年で、ロンドンで国際的な学会があるとのこと。
研究室からは大学院生も参加予定だそうで、明誠高校から日本大学に進み、こうした研究に取り組めば、8年後には国際舞台で研究成果を発表するといった機会を得られるかも知れないと、参加している中学生に語られていた。今後は、さらに一般的な環境や室温で機能する実用的な超伝導体の発見が期待されており、そうした発見ができれば、ノーベル賞も夢ではないという。
また、浅井専任講師からは、「プラズマとは何だろう?」というテーマで、様々なプラズマ現象やその原理、実例などが説明された。プラズマとは、原子をつくっている原子核と電子がバラバラにされた状態で物質の第4状態と呼ばれているといったことを中学の理科で習う物質の3態との関連の中で説明された。
プラズマ現象としては、オーロラ、太陽のコロナ、稲妻など自然界のものに加え、ネオンサインなどが紹介された。炎の高温部分もプラズマだという。プラズマは天文学や宇宙物理学の研究に応用されるほか、核融合の研究にもつながっている。
水素やヘリウムのように軽い小さな原子核同士が融合する核融合反応によって放出されるエネルギーを利用し発電する核融合炉は、地上に「太陽」を作るようなものだという。原発事故以来、さらに将来のエネルギー問題が危惧される中で、注目される研究分野のひとつだろう。
日本大学は、プラズマ物理学研究をリードする日本で有数の大学。参加している中学生に浅井先生は、明誠高校から日大に進めば、最先端の研究に携わることができると、語りかけられていた。
2人の先生の講義の後、いくつかの実験が行われた。液体窒素、超伝導については、低温状態にしておいたレールの上をリニアモーターカーのように走る磁石や、風船で作った犬のおもちゃを液体窒素の中に入れ収縮を確認し、常温の中で元に戻っていく様子を観察するといったものなど、数種類の実験が行われた。
プラズマに関しては、プラズマボールの発光する様子を見たり、アルミ缶を使ったプラズマのピンチ効果の実験などが行われた。
原理的に難しいものもあり、実験結果を予想させる先生からの質問に、戸惑いつつ答える生徒の姿も見られた。そうした中でも、先生方は中学生の知識と関連させながら、実験について丁寧に説明されたので、生徒達は興味深く話を聞くことができたようで、みな熱心に実験に見入っていた。
参加者達は、大学での最先端の研究も、自分達が学校で勉強している理科とつながっていることを理解したのではないだろうか。こうしたことを実感できる機会は、そう多くはないはずだ。
付属校ならではの大学との連携のメリットをあらためて感じさせられた。