前回の国語につづき、今回は数学科についてインタビューさせていただいた。担当の赤間隆志先生に、先取り学習やフォローアップ体制、学習の中で重視されている点など、幅広くお話をうかがうことができた。
高校の内容を3年間でやることが窮屈。
「置いてけぼり」にしない、余裕のカリキュラム。
八王子学園では、数学について先取り学習を行い、中学校の3年分カリキュラムを2年で終了する。
「高校と中学のカリキュラムを比べた時、高校の方が量も質も内容も重いんです。高校の内容を3年間でやることが窮屈で、中学の方に余裕がある。そこで、その分先取りして、高校の数学の内容を充実させるというのが基本的な考え方です」と赤間先生。高校2年までには高校のカリキュラムも終え、高校3年では大学入試の問題演習にあてる。さらに、同校では、授業時間数を増やしているので、その分さらに余裕が生まれてくる。
その余裕は授業内容にも表れており、先取りとはいっても、生徒を置いてけぼりにして急ぎ足で進んでいくようなものにはなっていない。
「数学という教科を通じて、論理的な思考力を養っていきたい」と先生は指導の中で重視しているポイントを話される。数学の答えは基本的にひとつだが、その導き出し方は幾通りもあり、その一つひとつは論理的に成り立っている。生徒がそれぞれの解き方をした時、論理的に正しいものであれば、正しい答えにたどりついた過程を確かめ、間違っていれば、それを正して論理的にどこが間違っているのかきちんと指摘する。そういった繰り返しで、論理的な思考が養えるという。
算数から数学。グループ活動で深まる理解も。
「算数から数学に変わったところで、もう一度一つひとつ、何で? どうして? とその答えが出る理由を、生徒を困らせるぐらいに考えさせたい」と赤間先生。算数では比較的、答えが出れば良いと部分や、つるかめ算・流水算・時間の計算など、解法を覚えればできるという部分がある。しかし、考える力をつけさせるためには、適当な計算で答えを出して終わりにせず、授業の中でも、どうしてそうなるのかという発問を繰り返し確認することが大切。そうすることでより興味がわくし、きちんと論理で構成されていることを理解することができる。
そういった意味で、グループ活動も取り入れているそうだ。
ひとりだと「全然わからない」となってしまうところを、お互いに対話しながら考えていくことができる。間違えていた時もどこが違っていたのか、話し合わせる。多数決になってしまうこともあるし、6人の班で5対1になって1の子が正解の場合もある。正解しているのに、強く主張できない子もいるという。今はまだ対話という面で浅いが、自分の論理に自信が持てるようになったり、間違いに気づくようになれば、少しずつ会話も深くなり、その中で互いに理解を深め、論理的に考える力をつけることができるという考えだ。「教員と生徒、生徒同士で、会話のキャッチボールをすることで全体の理解を深めたり、一人ひとりに深く考えるようにさせたい」と先生は話される。
『先生、宿題ないの?』
積極的な生徒が多い八王子学園八王子中学校。
数学では、学んだことの定着のために復習や反復練習にも時間をかける。
10分間ドリルでは、前の時間に勉強したことの中から問題を解かせて、その後すぐ答え合わせ、確認をして授業に入る。宿題は、教科書の練習問題や問題集から番号を指定して出す。生徒達は非常にまじめで、勉強に対してモチベーションの高い生徒が多く、宿題がないと、生徒側から宿題はないのかと尋ねてくるし、10分間ドリルの時間が短いと指摘してくる。積極的に発言する生徒も多く、教員の問いかけに対して驚くほど答えが返ってくるという。
「生徒達は明るくリアクションが良い。高校生とは全く違って新鮮で、我々教員も楽しく授業をしています」と赤間先生は笑顔を見せる。
『マル』の喜び。数学を苦手にしない工夫。
高校生になると特に、数学は苦手科目として挙げられがちな科目。
今の時点でも、数学自体が本当に好きな子と苦手な子が、どうしても分かれてしまうという。好きな子については、数学の本質、論理的に成り立っている部分をきちんと伝えていき、より数学を好きになってほしいと考える。逆に、どこかで苦手意識を持ってしまっている生徒については、まず『マル』をもらうことで喜びを感じて数学を好きになってもらうように工夫する。「よくできているねと褒め、数学、そんなに苦手じゃないんじゃないのと話したりし、特に中学段階では、数学嫌いを減らしていきたい」と先生は話される。
つまずきがある生徒へのフォローも大事にしている。
「中学の計算といったところは非常に大切なので、理解が不十分で気になる生徒については、夏休みに呼び出して補習をします」と赤間先生。また全教科共通で、1学期の成績が40点未満の子には課題を出し、それを学校に来て先生に教わったり、自宅で行ったりという形でフォローしているという。夏休みに行う希望講習は、より難しい問題をやりたいと希望する生徒に対して行う、いわばハイレベル講習だ。中学1年生では、3分の2以上が希望講習をとっているといい、ここにも意識の高さ、勉強に対してまじめな生徒の特徴が表れている。
学校としては、塾や予備校に行かないで受験対策ができるカリキュラム、体制をとっている。中学1年生の段階から、このような形でサポート、フォローしているところにも、その姿勢がはっきり表れている。
勉強や趣味のためのスキルとして。
日常生活の中できちんと話ができるようになってほしい。
最後に、中学受験に臨む子どもとその保護者の方にメッセージをいただいた。
「八王子学園は、中高特進で勉強を一生懸命やる一方で、部活にもとても力を入れている学校。いろいろな人が集まっているのが一番良いところだと思います。教員の側も、教えていて十人十色の生徒に出会えることが楽しいです」と赤間先生は笑顔で話される。「ぜひ一度、学校に来て雰囲気などを見てほしい」とした上で、「入学してもらえれえば、きっと満足してもらえると思います。ホントに楽しい先生、わかりやすい授業をする先生もたくさんいますので、お待ちしています」と学校としての自信をのぞかせた。
説明会名 | 日時 | 詳細 | 定員 | 予約 |
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Premium 説明会 | 11月 9日(金) 10:00~11:30 | 教育方針・学習指導・入試要項の説明後には、少人数グループでのフランクな雰囲気の中、座談会形式で中学生の様子をご説明いたします。 | 30組 | ご予約はこちら |
入試問題ガイダンス&説明会 | 11月 24日(土) 10:00~11:30 1月 12日(土) 10:00~11:30 |
入試問題の出題傾向について、各教科の出題者よりご説明します。教育方針・入試要項の説明と個別質問コーナーあり。 | 100組 | |
入試模擬問題体験&説明会 | 12月 16日(日) 10:00~11:30 12月 16日(日) 13:00~14:30 |
入試模擬問題を体験していただけます。出題担当者より解法などの説明あり。 保護者の方には、教育方針・入試要項の説明と出願や入試当日の注意をご説明します。個別質問コーナーなどあり。 |
100組 |
生徒一人ひとりの特性や学びのペースを理解し、伸ばそうとされている先生の思いと様々な工夫が伝わってくるインタビューとなった。生徒の明るさ、積極性を生かし、楽しく授業が展開されている様子が目に浮かぶようだ。今の時期のモチベーションを大切に、より深い理解、興味に導いていくことができれば、大学受験のみならず、将来に向けて学ぶ姿勢の基礎を築くことができるに違いない。