教科担当インタビュー・1「先取り学習で抵抗感なく古典に親しんで。アウトプット重視の授業で、幅広い国語力を養う!」

今年度1期生を迎え、中高一貫校としてのスタートを切った八王子学園中学校・高等学校では、先取り学習やフォローアップのプログラムを取り入れた独自の教育プログラムで、学力向上を目指し、難関大学受験に対応できる学力を養成する。 その実際の様子について、各教科担当の先生方にお話をうかがっていく。今回は、国語を担当されている谷口明博先生にお話をうかがった。

現代文法と古典文法をつながりの中で理解
早めに古典に触れて、まず身体で覚える!

白衣がキリリとした国語担当 谷口先生

現代文法を2年の中頃までに行い、
それがしっかり残って忘れないうちに古典文法へ。

八王子学園の国語の先取り学習は、主に古典と文法を早めに学習することが中心となっている。
現代文法を2年の中頃までに行い、それがしっかり残って忘れないうちに古典文法に入っていく。
「中高が別だと、中学で現代文法を学び、高校受験で勉強し、高校に入ったところでリセットされてしまう。このやり方だと現代文法を勉強して、今話している言葉の仕組みはわかったけれど古典文法は…、となってしまいがちです。先取り学習では、昔はちょっと変わってこうだったんだと理解しやすく、現代文法と古典文法をつなげやすいと考えています」と谷口先生は話される。
また、同時並行で古典の文章にも1年生の2学期から入っていくという。
早めにやっていおけば、古典の文章への敷居も低い。頭のやわらかいうちに、できれば、ある程度丸暗記させておくと高校の学習もしやすくなる。たとえば、活用なら活用表をまず丸暗記させてしまう、とにかく覚えろ、理屈は後でいいよと。百人一首や有名な古典の序文をとにかく覚えることも効果的だという。古文は語学、私達が自然に言葉を話すことができるように、まずは身体で覚えていくのが近道という考えだ。

アウトプット重視で、書く力、話す力を伸ばす!
要約文を書くことで、論理的に読み解く力をつける

同じ敷地内で学ぶ高校生たち。中高一貫だからできる教育方法とは?

インプットで終わらせない。
1・2年では定期的に作文を書かせ、懸賞論文にも応募。

中高一貫を生かし余裕を持って生徒を育てる姿勢が、様々な指導の中から伝わってくる。
国語に限らず、どの教科でも、高校になると、先生が言ったことを聞いて、理解しておきなさい、覚えておきなさいで終わりになってしまいがちだ。それに対して谷口先生は、アウトプットを重視する姿勢を示す。
「せっかく6年間という時間でやっていますので、中学生のうちから受験テクニックを押しつけていく必要はないと思います。インプットはインプットで必要ですが、アウトプットの部分を大事にし、書かせる、話させるということをやっていきたい」と。そうした考えから、中学1・2年では定期的に作文を書かせ、懸賞論文にも年に何回か応募させる。1学期は、JICAが主催するエッセイのコンテストのために、全員が作文を書いた。

班での活動も多く取り入れている。テーマは、答えが決まっているものとそうでないものの2本立て。ひとつは説明文を意味段落で分けるといったもの、ひとつは小説の文章の解釈などだ。自分の考えを発表するには、班が6人なら、まず他の5人を説得しなければならないし、その後はクラスみんなの前で話さなければならない。「答えそのものではなく、なぜその答えが出てきたかというプロセスの部分で異なる考え方もあるんだと、周りの人間に思わせることができるかどうかが大切です」と谷口先生。今後は、スピーチなども取り入れることを考えているという。

国語は、英数よりも体育や芸術に近い科目。

論理的に読み解く訓練のために行っているのは、ひたすら要約を書かせることだという。 「国語は、英数よりも体育や芸術に近い科目という部分がある。走り込みのようなもの、楽器でロングトーンを練習するように、作業的なもので、ある程度基本をつくっていかざるを得ないところがあります」と谷口先生。それが要約を書くということになるのだろう。

桃太郎の話を、10文字に要約すると…?

1年の初めに取り組んだのは、桃太郎の話をまず30字以内で、次は20字以内で、10字以内でとしだいに短く要約すること。そうしていくと、要するに「桃太郎が鬼を倒す」というだけの話になる。このレベルのものならば、苦手な子でも書くことができるという。「書かれていることがわかっているかどうかは、出してみて、つまり自分で要約するといった形で書いてみて初めてわかる。その練習をしているうちに、筆者がどういう理屈で書いているかがわかってきます」と先生は言う。
今の時点では、国語ができる子でも、なんとなく読めてしまうというだけの子が多い。それでは、文章や問題自体が難しくなった時には通用しない可能性が高い。簡単な文章でもなんとなく読むのではなく、どのように答えを導き出すことができたかを押さえ、基礎的なところで自分なりの論理構成をしていくことが重要であるという。

生徒たちが足しげく通う図書室

朝読書で、一日のウォーミングアップ!

読書も積極的に勧めている。毎日10分間の朝読書もそのひとつだ。
朝読書は、みんなが集中して本を読む貴重な時間。一日の初めに心を落ち着けるウォーミングアップの役割も果たし、朝礼や1時間目の授業に入りやすいという。
また、学年ごとに100冊を選抜し、その中から選んで読んだものをノートに記入させている。「好きに読ませると、それだけになってしまいがちです。それはそれで良い面もありますが、実はもっと興味のあるもの、もっと好きなものが見つかる可能性もある。できるだけ、いろいろなものを見てもらいたいと思います」と先生はその意図を話された。

コミュニケーション力育成も国語の重要な役割
6年間で大学入試に備えることには、大きな意味がある!

意思疎通力を鍛えるのも国語の役割。

勉強や趣味のためのスキルとして。
日常生活の中できちんと話ができるようになってほしい。

国語科の目的には、人とのコミュニケーション、他の勉強や趣味のためのスキルを身につける、という面もあるようだ。
「子ども達には、コミュニケーション能力が不足しているところがあって、つまらない勘違いからケンカになったり、意思の疎通ができなかったりすることが度々あります。言葉が貧相で、語彙が減っていますね」と谷口先生。「お互いに単語を投げかけるだけの言葉のやりとりでは、大人になってからコミュニケーションや議論が難しくなる。今のうちから、日常生活の中できちんと話ができるように、しっかりと指導することが必要だと考えています」と、国語という教科を通じて生徒に伝えていきたいことを話された。

受験生へのメッセージ

最後に受験生にメッセージをお願いした。
「本校では面接を実施していないので、その子の人となりはわかりませんが、乱雑な字を書いていると、そういう子なのかなと我々は見てしまいます。また、句点が打たれているかや、漢字のトメ、ハネ、はらいなど、入試でもそうですが、定期考査でも採点対象になります。人に読んでもらうものなので、それ相応に丁寧に書いてほしいですね」と、まず答案作成における注意点を話してくれた。
さらに、「先取り、中高特進という形なので、課題の量は多く大変だと思いますが、その分だけ、確実に自分の力となります。その意味で大学入試は、人生最後の公平な競争だと思います。社会に出てからは、自分の力だけでは解決できないこともあり、残念ながら、努力が100%実ることが少なくなってしまいます。そういった社会にあって大学入試は、やればやっただけの成果が自分にそのまま返ってきます。中高6カ年でしっかり頑張れば、その結果は必ず出ると思います」と入学後の学習にも触れられ、八王子学園での中高6年間の意味を強調された。

説明会名 日時 詳細 定員 予約
Premium 説明会 11月 9日(金) 10:00~11:30 教育方針・学習指導・入試要項の説明後には、少人数グループでのフランクな雰囲気の中、座談会形式で中学生の様子をご説明いたします。 30組 ご予約はこちら
入試問題ガイダンス&説明会 11月 24日(土) 10:00~11:30
1月 12日(土) 10:00~11:30
入試問題の出題傾向について、各教科の出題者よりご説明します。教育方針・入試要項の説明と個別質問コーナーあり。 100組
入試模擬問題体験&説明会 12月 16日(日) 10:00~11:30
12月 16日(日) 13:00~14:30
入試模擬問題を体験していただけます。出題担当者より解法などの説明あり。
保護者の方には、教育方針・入試要項の説明と出願や入試当日の注意をご説明します。個別質問コーナーなどあり。
100組

国語という科目の特性をつかみ、生徒の力を伸ばしていこうとする指導法に感心するとともに、日常生活の中でのコミュニケーション力にもつながる国語の力について、あらためて考えさせられた。また、大学受験を前向きにとらえる先生の考え方にも共感した。きっと、生徒の皆さんも大学受験を大きなチャンスと考え、努力されていくことだろう。