「敬神奉仕」の心を育み、優しさと強さを備えた女性に!積極的に学ぶ姿勢と国際社会への関心が、将来につながる力を育てる

東洋英和女学院中学部・高等部は、キリスト教精神に基づく教育を建学の理念とする伝統校である。都心にありながら、緑豊かで閑静な文教地区に立地し、落ち着いて学習できる環境を整えている。同校の理念とも大きく関わる国際教育、英語教育に焦点をあて、今年度、中学部長に就任された露木美奈子先生にお話をうかがった。また、国際理解を目的としたスタディツアーに参加されたり、英会話の課外授業を受けている生徒さんにもインタビューさせていただいた。着実に培われている思いやりの心や国際社会への関心、英語学習への意欲を強く感じる取材となった。

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中学部長インタビュー「新しい時代に求められる力をつける教育を!英語教育の伝統を受け継ぎ、着実に積み重ねて使える英語力を養成」

露木美奈子先生

お話をうかがった先生

露木美奈子先生

東洋英和女学院卒業生。
大学卒業の1年後から教員として母校に4年間勤務後、出産を機に退職。長女の中学部入学で保護者として関わるようになり、中3の時に講師に。
長女の卒業後、専任となり、今年度、中学部長に就任された。

先生も付けていたイングリッシュデーバッジ

インターエデュ(以下、エデュ):
新部長になられての目標をお聞かせください。

露木美奈子中学部長(以下、部長):新しい時代に必要とされている力、時代の求めている力を生徒達につけたいと考えています。基礎的な学力をしっかりつけなければならないのはもちろんですが、プラスして、考える力や他の人と協調する力、課題に対して自分なりの答えを出していく力が、今、求められていると思いますね。

エデュ:英語教育に関して教えてください。

部長:カナダの宣教師が創った学校ですから、基本的に午前中は英語で授業をして、午後が日本語の授業という時代が長く続いていました。その伝統は、今も残っていると思います。英語は少人数教育で、それは今も変わりません。
現在、英語は日本人の教師が教えるのが4時間、それにネイティブの教師の教える会話が中1は2時間、中2・3は1時間が加わります。英語科会ではネイティブの専任教師3名も一緒に、授業内容等を決めています。(ネイティブは他に講師3名)
今日(10月31日・ハロウィーン)は「イングリッシュ・デー」で廊下にクイズが貼り出されたりしています。バッジをつけている先生(おもに英語科の先生方)とは、朝の挨拶から英語で話をする日です。
「イングリッシュルーム」というのもあって、昼休みにネイティブの先生と一緒に食事ができますから、英語が楽しくて仕方がない中1などでは、毎日のように通っている生徒もいますね。その他に放課後に行う英会話科があり、ネイティブの先生と話ができます。

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露木美奈子先生
国際教育

エデュ:英語の授業テキストを紹介してください。

部長:会話のテキストは東洋英和のオリジナルです。自分たちの生活がそのまま話題になっているので、違和感がないのが利点です。『Progress in English』Book1〜3を高1の初めで終らせる形で使っています。副読本や文法の副教材、英作文の教科書など必要に応じて使っています。

エデュ:英語が苦手な生徒さんもいらっしゃいますよね。どのような取り組みをされていますか。

部長:大きく遅れる前に呼び出して、小テストを行ったり、春・夏休みには補習もします。優秀な卒業生をそろえ、マンツーマンでわかるまでみてもらうチューター制度もあります。中2ぐらいで遅れてしまうと後が大変ですから、その時期を大事にしています。
中3の夏休み後に、まだ不安な生徒には、放課後に補習を行い、高校までになんとか基礎力をつけてあげたいと考えています。

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エデュ:国際教育について教えてください。

部長:バングラデシュに寺子屋をつくる活動を創立125周年の時から始め、毎年、数名が生徒会の代表として、アジアキリスト教教育基金(ACEF)のツアーに参加しています。バングラデシュで2週間、現地の子ども達と一緒に過ごす経験をしています。帰国後は、礼拝やロングホームルームの時に、全校生徒にその経験を話す時間を作っています。
強烈な印象を受け、成長して帰ってきます。また行きたいと言いますね。価値観が変わり、豊かさの中で見失っていたことを再発見したり、子ども達が生き生きと目を輝かせて授業を受けているのを見て、学ぶことの本来の意味や楽しさに気づくようです。

エデュ:バングラデシュへの支援は続けられているのですか。

部長:最初に生徒会が募金を集めて、学校を一つ建てて以来、今も継続しています。「敬神奉仕」、「世界中の人を隣人として考えましょう」という考えは学校の教育の根本です。特に国際教育をしているつもりはないですが、毎日の礼拝の中でそういう気持ちは生徒の中に育っていると思います。

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エデュ:留学制度・海外研修に関して教えてください。

認定留学制度

部長:1年留学した後に自分の学年に戻れる制度です。高1の夏から高2にかけて行く人が多くて、今、高1で7人いますが、年々多くなりますね。ほとんどの人が成長して、自信をつけて帰ってきます。

カナダ研修

部長:夏休みに3週間、前半は寮生活をしながら、大学で英語の研修を行い、後半はホームステイで観光や現地の方との交流をします。
(現在は高1・2の希望者。来年度からは中3~高2の希望者)

アメリカ研修

部長:春休みの2週間で実施しています。普通の高校生に混じって授業に出たり、小学校を訪ねて日本文化を紹介するプログラムもあります。
(高1・高2の希望者)

部長:研修では特に、自分がいかに英語ができないかを自覚して、これから頑張ろうという気持ちになるようです。
入学時から、海外で仕事をしたいと言う生徒も多く、卒業後、大学での留学や仕事を持ってから海外に行く生徒もすごく多いですね。

生徒インタビュー英会話科(課外教室)「ネイティブの先生と仲良く、楽しく英会話を学べるクラス」

生徒インタビュー

エデュ:英会話科に参加しようと思った理由を教えてください。

Aさん(高2):学外の英会話のクラスと違って、普段の授業でわからない表現があった時など、教えていただけますし、仲の良い子と同じクラスにしてくださるので、クラスの中で遠慮したり、恥ずかしいと思うこともなく話ができるのが良いと思いました。

エデュ:どんな活動をしていますか?

Aさん(高2):基本的にネイティブの先生と話をするクラスで、3~6人位のグループでゲームをしたり、英語で書かれた本を先生と一緒に読んだりしています。だいたい週1回で、私は中3から参加していますが、ネイティブの先生方と仲良くなることができて、日頃から話しかけていただけるのがうれしいです。先生の話すことも、だいぶ聞き取れるようになってきました。

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東洋英和女学院の魅力

ACEFスタディツアー(バングラデシュ寺子屋訪問)「学ぶことの本当の意味、教育支援の大切さを実感!」

先生による実演授業
先生による実演授業

エデュ:バングラデシュのスタディツアーに参加しようと思ったきっかけを教えて下さい。

Eさん(高2):以前から人を助けることに興味があったのですが、漠然としていて何をしていいのかわかりませんでした。『僕たちは世界を変えることができない』というカンボジアに学校を建てる映画を観て、私もこういうことに少しでも関わってみたいという気持ちになっていた時、先輩のバングラデシュの報告を聞き、私に与えられているチャンスはこれしかない!と決意しました。

Sさん(高2):母から、フィリピンで見たスラム街の状況を聞いたことがあったのと、先輩のバングラデシュの報告を聞いて、私も発展途上国に行って、その現状を自分の目で見てみたいと思って希望しました。

Oさん(高1):以前、ケニアに住んでいたことがあるのですが、現地の方の家やスラムに行く機会もなかったので、行っておけばよかったと思っていました。今回、きちんとそういう国を見つめるチャンスだと思って希望しました。すごく将来について悩んでいて、これが1つの転機になるんじゃないかとも思いました。

エデュ:参加するにあたって、事前にどのようなことに取り組みましたか。

Eさん:バングラデシュに関する基本的な知識を頭に入れていきました。独立戦争や貧困問題は街を見ただけではわからないですし。小さなことでも現地で関連づけて考えることができたりして、何も知らないで行くよりも自分の実になったと、今になって感じています。

Sさん:私も基本情報や衛生状態も心配だったのでいろいろ調べました。東洋英和はキリスト教の学校ですが、バングラデシュの人達はほとんどがイスラム教なので、考え方の違いとか、女性の服の着方など、文化の違いなども知っておいた方が良いと思って調べました。

Oさん:ほとんど2人と同じですが、前もってこんな本を読むと良いというリストをいただき、私は本を読むのがすごく好きなので、その中から図書館でたくさん本を借りて読みました。

エデュ:印象に残ったことはどんなことですか。

Eさん:6歳の女の子との出会い
毎日、私達のいる宿舎に遊びに来ていた6歳の女の子の家に、遊びに行ったときのことです。5人家族で4畳半の部屋に暮らし、食べるものも十分にない貧しい生活で、その子の3人の姉は学校に行っている途中で働きに出され、その先で暮らしているそうです。その子もあと何年かすれば、学校を辞めさせられて働きに出されるだろうと聞いて…。教育支援の大切さを、自分の目で見て感じて考えることができました。家が貧しいから学校に通わせられないと言われると、部外者である私達は何もできなくて、何も言えない、そういう無力さもすごく感じた出来事でした。

Sさん:学校で学ぶことの大切さ
私達の車が渋滞に巻き込まれた時に、窓が少し開いていたら子どもが物乞いに来たんです。バングラデシュに着いてすぐのことで、すごく衝撃を受けました。その後、職業訓練学校を訪問し、学校を中途退学した人でもほぼ100%就職できると聞いて、学校で学ぶことの大切さを知りました。私達はすごく恵まれた環境にいるので、勉強をサボってしまうこともありますが、農村の子ども達はみんな一生懸命楽しそうに勉強していて、見習わなければと思いました。

Oさん:少数民族の女の子との交流
バングラデシュでは100人に1人しか大学に進学できないのですが、少数民族の村で出会った女の子が大学に行けることを、すごくうれしそうに話してくれました。バングラデシュはほとんど英語が通じない国ですが、その子は英語がペラペラで「あなた達の言葉でこれは何て言うの?」とたくさん質問をしてくれて、私達もできる限りの英語を駆使して楽しく会話しました。お互いの言葉で「さよなら」を言って別れましたが、また会いたい気持ちが通じあったと感じます。その子に「勉強好き?」って聞いた時、すぐに「大好き!」と答えてくれた、その笑顔がすごく印象的でした。

英語について「積極性が求められる英語の授業。将来グローバルに活躍できる人に!」

「副読本」のテキストは英語で書かれた物語
インタビューありがとうございました!

エデュ:英語だけを使って行われる授業があるとうかがいましたが、どのような授業ですか。

Eさん:「英会話」と、1冊の洋書をネイティブの先生と一緒に1年間かけて読む「副読本」という授業があります。クループでディスカッションをしたり、エッセイを書いたりもしますが、受け身ではなく、自分が積極的に参加しなければならない授業ですし、英語自体の難しさというより、自分の思考能力を日本語以外でも発揮できるかというところが難しいと感じます。英語は知識をインプットすれば覚えられますが、そこでは英語でアウトプットすることが求められていると思います。

Sさん:英会話の授業では、先生がみんなが楽しめるように考えてくださいます。高校生になってからは、英語で日記を書く宿題が出て、表現力や文章力がついたと思います。副読本は、話がわかるとすごく楽しく読めて、達成感があります。

Oさん:海外経験もあるので英語は多少話せたのですが、中2でこの学校に入り、授業を重ねるごとに上達したと感じます。周りの友だちも先生と会話する時、単語だけで頑張って話している感じだったのが、今は文章でしゃべれるようになってきています。

エデュ:今後、英語力をどのようなところで活かしていきたいですか。

Eさん:私は弁護士になりたいのですが、日本の裁判に関わるだけでなく国際的に活躍できるようになりたいと思っています。国際弁護士になりたいわけではないですが、英語が話せないと解決できないトラブルもあると思うので、英語が自分の強みになればと思います。

Sさん:大学受験でも英語が必要ですし、英語が使えると職業の選択の幅も広がると思います。バングラデシュに行って、人と関わる仕事がしたいと思うようになったので、世界の発展も考えて、英語だけでなく中国語とかいろいろな言葉も勉強して、それを仕事に活かしてみたいと思っています。

Oさん:私は理系に決めたのですが、理系の分野は世界共通です。英語が使えたら、アメリカの論文を読めたり、海外で研究している人と会話ができたりして、より自分の目的に近づけると思うので、そのために使いたいと思っています。

【今後のイベント情報】

第2回 キリスト教学校合同フェア
日時 2013年3月20日(水) 13:00 ~ 16:40
場所 上智大学 【予約不要・入場無料】
注目ポイント! キリスト教学校38校が参加 および 資料参加16校。
各界の著名人による対談、学校説明会、個別相談コーナーがあります。
イベント詳細