東京都立 小石川中等教育学校

基本情報

東京都立 小石川中等教育学校

学校紹介

都立小石川高校を設置母体として平成18年に中等教育学校として開校。前身の府立五中は大正7年(1918年)に創立。2018年に100周年を迎える伝統校。

住所

文京区本駒込2丁目29番29号

電話番号

03-3946-7171

過去の入試データ

※一般枠の数値

募集人員

年度 2018 2019 2020 2021
79 80 80 79
80 79 77 80
159 159 157 159

応募者数

年度 2018 2019 2020 2021
553 506 434 390
486 526 448 402
1039 1032 882 792

受検者数

年度 2018 2019 2020 2021
512 461 403 372
434 473 398 366
946 934 801 738

合格者数

年度 2018 2019 2020 2021
79 80 80 79
80 79 77 80
159 159 157 159

実質倍率

年度 2018 2019 2020 2021
6.48 5.76 5.04 4.71
5.43 5.99 5.17 4.58
5.95 5.87 5.1 4.64

適性検査分析

  • 2021年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      【出典】
      文章1:河合隼雄「『出会い』の不思議」による
      文章2:村田沙耶香「となりの脳世界」による

      【出題形式】
      例年の出題から大きな変更はありません。文章1と文章2を読み、それについての読解問題が2題、作文問題が1題という構成です。作文の文字数も400字以上440字以内という例年通りの指定でした。
      問題1は、いわゆる「文章横断型」の問題です。傍線が引かれている文章2において「個性」がどのような意味合いで用いられているかをまずは整理し、そのうえで文章1から適切な箇所を探すという基本動作ができていれば、決して難しい問題ではなかったはずです。正答としては「自分らしい音」「生徒によって違う音」など複数考えられます。読解問題で正答が複数考えられるという出題の方針も例年通りと言えるでしょう。
      問題2も文章横断型の問いです。ただし「文章1の表現も用いること」という指示に注意しましょう。「も」ですから、文章1と文章2どちらの表現も使いつつ、解答を作成する必要があるということです。思考方法は問題1と同じで、まずは傍線が引かれている文章2から情報を整理し、解答の大枠を作成します。すると「もっと鳴らそうと欲張ったから」「もっと鳴らそうと力が入ったから」というような内容になるとわかります。それと同じ内容を文章1から読み取ります。最終段落に「『好む』は積極的だが、下手をすると気負いすぎになる。」とあります。もっと鳴らそうと力を入れすぎたことは、文章1における「気負いすぎ」に当てはまるとわかるでしょう。
      読解問題は2題とも基本的なレベルの出題でしたので、どちらも正解したいところです。
      問題3は文章内容をふまえて作文を書く問題です。
      ここ2年の作文問題では、「ひかるさん」という人物と友だちのやりとりを読んだ上で作文を書くという出題でしたが、2021年度はそうしたやりとりはなく、2018年度までと同様の形式での出題となりました。各段落に書くべき内容が細かく指示されていますので、それに従って作文を構成します。
      まず、第一段落です。文章2の「お稽古」の場面では、文章1における「知る」「好む」「楽しむ」のどの段階まで表されているかを示す必要があります。問題2がヒントとなります。問題2から、「お稽古」の場面では、もっと鳴らそうと気負いすぎたために「変な音」が出たと考えられます。文章1からは「好む」段階では「気負いすぎ」になるということが読み取れますから、この段階まで表されていると考えるのが自然でしょう。自分の意見は第一段落に書き、上述の「根拠」は第二段落に書きます。
      難しかったのは、第三段落ではないでしょうか。第一段落で示したものとは違う段階だと考える人にも、わかってもらえるように説明する必要があります。なおかつ、自分とは意見が違う人たちがどのように考えたのかも想像しなければなりません。難易度も高いうえ、文字数もこの段落に最も多く割く必要があるでしょう。たとえば「知る」の段階でとどまっていると考える人は、どのように考えてそう判断するのでしょうか。「知る」の段階は「主体的」「積極的」ではない受け身の段階のことです。文章2の「お稽古」の場面では、「とにかく素直に、素直に」「身体の全部を先生の言葉に任せるような感覚で」などとあるので、そうしたところから受け身な姿勢であると読み取ることもできます。「たしかに〇〇という部分から、『知る』の段階だと読み取ることもできるかもしれない。しかし△△」というような形で書くと書きやすかったのではないでしょうか。あるいは、「楽しむ」段階だと考えている人は、どのように考えたのでしょうか。「楽しむ」段階とは、「客体の中に入ってあるいはそれを一体化して安住する」「安らぎ」がある段階だと書かれています。文章2では、たしかに気負いすぎてしまったところはありますが、その手前で一度「とても素直な音」を出すことに成功しています。そのときの音の感覚が、お稽古の後にも「今も身体に残っている」と述べられていますから、「客体」と「一体化」したと読み取ることもできるでしょう。そうした部分を根拠にとれば、「楽しむ」という段階まで表れていると考える人もいるかもしれません。
      さて、ここまで読み解いてみると、どの段階を選ぶにしても、ある程度根拠を持って書くことができるかと思います。したがって、第一段落では三つのうちどの段階を選んでもよく、それについて予想される反論を第三段落で述べ、さらにそれについての反論を展開できていれば点数がもらえる作文問題だったのではないでしょうか。
      適性検査Ⅱも含め「客観的に採点が可能で、かつ答えが一通りにはしぼられない」という出題の傾向が2021年度も色濃く残ったと言えるのではないでしょうか。

      適性検査Ⅱ

      【大問1】
      大問1は、倍数・約数の決まりを使い、整数の成り立ちについて考えさせる問題でした。
      問題1は、規則的に並んでいる整数の和を工夫して求める問題でした。九九の表の中から、ある決まった和になる範囲を見つける問題です。6つの数をそれぞれA~Fの記号に変え、その記号を使って解法を説明しなければなりません。ただ答えを求めるだけでなく、その求める過程を分かりやすく説明することが大切です。適性検査の問題を解きなれている生徒にとっては、それほど難しい作業ではないと言えるでしょう。
      問題2は、かけ算の式に必要な数を、サイコロの面に当てはめる問題でした。九九の表の中にある数を、かけ算の式で表し、さらにそれらをサイコロの面に書く問題です。1~7までの数を式に必要なだけ取り出せるように、6つのサイコロに分けて書かなければなりません。また、その数を書くときの向きも正しくする必要があります。立方体についてたくさん練習してきたかが問われたと言えるでしょう。

      【大問2】
      大問2は「買い物」と「情報通信技術」がテーマに出題されました。
      問題1はPOSシステムを使うと、どのような仕事にどのようなよいことがあるか、自分の考えを書くことが求められました。問題2は、割合の計算(4桁÷6桁)とそれをもとにしたグラフ作成、そして変化の特徴の記述、さらにその変化の理由の考察が求められました。問題3は現代社会がかかえる具体的な課題を一つ挙げ、「情報化が進んだ新しい社会」ではその課題をどのように解決することができるかを121字以上150字以内で記述することが求められた、課題発見・課題解決型の問題でした。小問数の合計は6題、形式的にも大きな変化はなく例年通りの出題でした。

      【大問3】
      大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
      問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3㎝以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。

      適性検査Ⅲ

      小石川中独自作成問題です。大問2題、小問7題の構成でした。大問1が理科分野からの出題で、大問2が算数分野からの出題となっており、出題形式は例年通りでした。

      【大問1】
      大問1は、ものの表面積と効率性に関する問題です。氷の大きさを変えたり、大根を煮るのに工夫をしたりなど、ものの表面積を変えることによって効率が良くなるものが題材になっています。2020年度と同様に、問題2では実験計画をたてる問題が出題されています。

      【大問2】
      大問2は、整数問題でした。ある規則にしたがって整数を操作していきますが、連続してその規則を当てはめていくなかで、一定の法則性を見出すものです。シンプルな規則なので題意をつかむのは難しくないと思いますが、すべての小問で理由の記述を求められていますので、ここで得点の差がつきそうです。

  • 2020年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      【出典】
      文章1:三浦しをん「愛なき世界」による
      文章2:日高敏隆「世界を、こんなふうに見てごらん」による

      【出題形式】
      例年通り、二つの文章が与えられたうえで問題1、問題2の読解問題と問題3の作文問題を解く形式です。都立中の出題としては珍しく、文章1が物語文の引用です。これに驚いた受検生も多かったかと思われますが、論説文、随筆文と同様に文章を通じて伝えたいことが明快に書かれているものでした。
      問題1は物語の中で「藤丸」「藤丸さん」と同一人物に対して呼び方が書き分けられている理由を問うものでした。文章を通じて登場人物を客観的に「本村」「藤丸」と書いていますが、傍線㋑は「それにしても、藤丸さんはすごい。と本村は思った」という表現から「本村」の内面の声が書かれていることがわかっていれば難しくない問いでした。落ち着いて、確実に得点したい問題です。
      問題2は昨年度の出題と同様、文章横断型の読解問題でした。つまり、文章2中の傍線㋒「いろんないきものの生き方をたくさん勉強するといいと思う」について、筆者がそう思う理由が問われていますが、その際に文章1の表現を用いるように指示があります。気を付けたいのは、「筆者がそう思うのは」といった場合の「筆者」とはあくまでも文章2の筆者であるということです。ですから、一度文章2において答えを考えたうえで、同じ内容を文章1から探すというステップをふまなくてはなりません。その発想があると、文章2の傍線㋒の直後「そうすることで、不思議に広く深く、静かなものの見方ができる」を言い換えた内容を文章1から探せばよいのだとわかります。
      問題3は作文問題です。昨年度は「ひかるさん」と「友だち」のやりとりを読んだあとに「ひかるさん」になりきって作文を書くというスタイルでした。今回も同様に「ひかるさん」と「かおるさん」のやりとりがあります。ただ、そのやりとりを読んだうえで「あなたの考え」が求められているところは昨年度と異なるところであり、いわば「オーソドックスな作文問題」だったと言えるでしょう。例年の共同作成問題と同様に、段落ごとにどういった内容を書くべきかの指定があります。その指示に確実に従い、かつ文章内容をふまえつつ第二段落、第三段落で自分の意見を展開するという問題です。

      適性検査Ⅱ

      【大問1】
      大問1は割り算の余りに注意しながら、約束・ルールに従って作業する問題です。
      問題1は縦50cm横40cmの画用紙6枚を、縦2m横1.4mのパネルに規則的に貼るときの、はしと画用紙、画用紙と画用紙の間の長さを答える問題です。
      問題2は横向きの画用紙38枚と縦向きの画用紙21枚をパネルの両面に約束通りに貼ったときに必要なパネルの枚数を答える問題です。
      問題3は正八面体の辺上をさいころの目と〔ルール〕に従って進み、ゲームが終わったときの点数を答えさせたり、ある得点になったときの目の出方を答えさせたりする問題です。
      特別な解法や知識は必要ありませんが、問題をよく読み、決まりに従えるかがポイントになります。

      【大問2】
      大問2は「貿易」がテーマとなり、「円高・円安」について考えていく問題でした。出題内容は「けた数の多い計算」「円グラフの作成」「作成したグラフの分析」「問題点と解決策の記述」といった例年通りの出題形式でした。記述問題で自分の考えを選択し理由を121字以上150字以内で記述するパターンは例年同様です。オーソドックスなテーマだったため、日頃の復習がどれだけできていたかが鍵になります。

      【大問3】
      大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
      問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
      問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
      問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。

      適性検査Ⅲ

      独自作成問題です。大問2題、小問7題の構成で、大問1が理科分野からの出題、大問2が算数分野からの出題というのは例年通りでした。
      大問1は「お茶の色や味の変化」に関する問題です。今年度は、実験方法とその結果について考察する問題が問題1と問題3で2題出題されましたが、仕組みを想像して図示する問題は出題されませんでした。問題4では食品以外で色などの変化を防ぐ工夫を例示させる問題で、例示する力が求められる問題でした。出題傾向はおおよそ例年通りと言えるでしょう。
      大問2は「カードゲーム」を題材にした問題です。2人のうちで有利な方を考察する問題や確実に勝利する場合のカードの取り方を考察する問題など、大問1に比べると比較的解きやすい問題という印象でした。

  • 2019年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 かこさとし[談] 林公代[聞き手]「科学の本のつくりかた」による
      文章2 かこさとし「地球」解説による

      出題形式:例年通り2つの文章を読む問題形式です。問題1・2が読解問題、問題3が文章をふまえて400字以上~440字以内の作文問題です。

      問題1は本を読んで「面白さ」に触れると子どもはどうなるかを問う問題です。文章1に傍線が引かれますが、該当箇所を文章2から探しぬき出すという「文章を横断する問題」であることに注意する必要がありますが、解答の箇所は比較的容易に見つけられる問題です。
      問題2は「かこさんはどのような態度で本を書いているのか」を答える問題です。こちらも文章を横断して該当箇所を探し、ぬき出す問題でした。どのような内容を探すべきか、文章2の内容からある程度考えた上で文章1を読み返すという手順を踏めば難しくない問題です。
      昨年度同様、読解問題は比較的平易なものでした。
      作文は、文章1と文章2を読んだあとの「ひかるさん」と「友だち」のやりとりを読み、ひかるさんがその後示したと思われる考えを書くという形式でした。この形式に驚いた受検生も多かったかと思われます。ただ、結局のところ文章1と文章2の内容をふまえると書くべき内容がほとんど一通りに決まるタイプの作文でした。したがって形式は変わったものの、内容的には昨年度同様だと言えるでしょう。とにかく文章の流れに合わせて作文を書く練習をしてきた受検生にとっては取り組みやすいものだったはずです。

      適性検査Ⅱ

      大問1は、会話文中のさまざまな条件を読み取り、作業する問題でした。
      問題1は、1枚の紙を折ってしおりを作成する際、紙を折る前後で各ページの位置と各ページに書かれる文字の種類と向きを問う問題でした。
      問題2は8×8のマス目に模様を書いた際、模様の表現の仕方についての約束を読み取り、条件に当てはめる問題でした。
      問題3は、立方体にかかれたマス目の上を、すごろくのようにおもちゃを動かす手順を考える問題でした。各小問の難易度は高くありませんが、それぞれの小問の問題文が長く、条件を速く正確に読み取った上で、丁寧に作業する処理能力を問われた問題でした。

      大問2は「東京都の人口」に関する問題でした。例年の隠れテーマである「世界の中の日本」とは異なったテーマでしたが、出題内容は、「桁数の計算」「グラフの作成」「資料の読み取り」「記述」と例年通りでした。記述問題で複数のことに言及する必要があるパターンも昨年同様です。計算がハードであるのも相変わらずです。過去問をしっかりと研究し対策をたてることが有効です。

      大問3は「紙の性質」についての問題でした。
      問題1が「和紙とその他の紙の吸った水の重さを比較」をする問題で、昨年度と同様に単量当たりの数字を求めて比較します。
      問題2は「紙のせんいの向き」を実験結果から推察する問題です。実験結果をどのように判断すれば良いか会話文で説明されていました。
      問題3は「のりを作成する最適な水の重さ」について考察する問題です。すでに行った実験の結果から、次に行う実験の結果の仮定を考えて、目的とする水の重さを考察します。いずれも実験結果を読み取る力を必要とする問題でした。

      適性検査Ⅲ

      今年度も構成は大問2題であり、大問1が理科系で大問2が算数系というのは昨年度と同様でした。

      大問1は「服のしわ」に関する問題で、具体例の例示や仕組みを想像して図示する問題、「水がしわをのばす役割をしている」という仮説に基づいて、正しいことを確かめる方法や水以外の他の要因を考えた上で、確かめるための実験方法と結果を考察する問題、「便利な布」について性質や欠点を考察する問題が出題されました。出題傾向は例年通りでしたが、問題3、問題4で記述の書き方に指定があったのが昨年度との違いでした。

      大問2は「デジタル数字の書かれたカードと折り曲げの対称性」に関する問題で、図形の折り曲げは昨年度から2年連続で出題されました。カードを折っていったときの文字の見え方から規則を導いて考察する問題、折り曲げて重ねたカードに切れこみを入れて元に戻したときの状態を考察する問題、条件に沿って「わく」を塗りつぶす問題が出題されました。大問1に比べて比較的解きやすい問題でした。

  • 2018年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 串田孫一「考えることについて」による
      文章2 出口治明「人生を面白くする 本物の教養」による

      出題形式:例年通り、2つの文章を読む問題形式です。問題3までありますが、問題1が(1)・(2)とあるので、文章読解の問題が計3問、最後の1問が作文問題です。
      内容:文章1・文章2ともに、「ものの考え方」について書かれています。
      問題1の(1)は「知ること」の出発点にある気持ち、(2)は、「知ることができた」ときの気持ちを答えるものでした。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすいものでした。問題2は、理由説明問題ですので、因果関係を読み取るだけです。必ず正解したいところです。問題3は、例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも「これから学校生活や日常生活の中で、何を大事にし、どのように行動していくか」という頻出のものでしたので、取り組みやすかったことでしょう。

      適性検査Ⅱ

      大問1はさいころを扱った問題でした。受検生にとってはなじみ深い題材です。
      問題1は展開図を書く問題で、実際にさいころの面のスケッチを描くものです。問題2はさいころの目を使って式を立てる問題でしたが、ルールに従うことができれば答えることは簡単です。問題3は鏡に映したさいころについて考える問題です。6の目以外が4個ずつ映ることに気が付けば正解にたどり着ける問題です。
      大問2は「食料の輸入」を題材とした問題でした。
      小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題・グラフの作成や字数の多い記述問題が出されました。今年の120字以上150字以下の記述は、3つのことに言及しなければならず、上手にまとめるのに苦労した受検生も多かったことでしょう。
      大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
      問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。

      適性検査Ⅲ

      大問2つの構成で、傾向も例年通りでしたが図示をする問題がはじめに2題出てきたので戸惑った受験生も多かったことでしょう。
      大問1は「泡」に関する問題です。
      「石けんの混ざった水でできた泡」の構造、「石けん液が細かい泡になる容器」の構造を書くという問題、それを踏まえて「泡の形が変化する理由」を考え確かめる実験方法を考える問題、「泡がたくさん出ると困ってしまう場面」の例示、考察と例示に対する工夫を問う問題が出されました。身近な現象から理由を考え実験により証明していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
      大問2は「図形の折り曲げ、対称性と規則性」に関する問題です。
      長方形の紙を折るという単純な作業に関する問題。指定された折り方に沿って折る場合に折り目がどう変わるか、ルールの理解と規則を発見して解く力を問うような問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

  • 2017年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 木皿泉「木皿食堂2 6粒と半分のお米」による
      文章2 武田双雲「伝わる技術」による

      出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
      内容:問題3の問題文にも書かれているように、文章1・文章2ともに、「自由」についての考え方について書かれています。問題1、2は、どちらも「具体例を一つ、本文中から探して書きなさい」というものでした。2題とも具体例を探すという問題になったのは、これが初めてです。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすく、とくに問題2は、「何のためにそうするのかがはっきり分かるように」という指示まで出されていますので、必ず正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも特別なものではないので、取り組みやすかったことでしょう。

      適性検査Ⅱ

      大問3つの構成でした。大問1は「図形」がテーマで、立体の見方・対称性・規則性を見つける問題です。簡単な例を具体的に書き出して、作業をする中で解答を導き出していけるとよいでしょう。特に問題1は必ず得点したいところですが、同じ大きさの正三角形を答えるというようなミスは禁物です。問題2は、Aグループの枚数が(3の倍数+1)、Bグループが(3の倍数)になっていることに注目し、その差の1は3本の対角線の交点がある「き」の三角形であることに気が付ければスピーディーに解答にたどりつけます。問題3は問題文の誘導に従って規則性を検証する問題です。
      大問2は「世界の水資源」を題材とした問題でした。小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題や字数の多い記述問題が出されていました。今年の計算はなかなか骨の折れるものでした。単位の換算も含めて、計算に時間をかけてしまった受検生が多かったことでしょう。
      大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。

      適性検査Ⅲ

      大問2つの構成で、傾向も例年通りでした。
      大問1は「もののあたたまりやすさ、熱の伝わりやすさ」に関する問題です。「木より金属の方があたたまりにくい」という仮説が正しいとしたらその根拠は何か、金属のベンチが夏に熱くなる理由、実験結果の共通点とその考察について答え、「金属で作ると良い道具」を挙げる問題でした。身近な現象から仮説を考え実験により修正していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
      大問2は「円や球を並べたときの面積、対称性と規則性」に関する問題です。複合図形の面積や倍率や、敷き詰めた円の大きさ、ルールの完全理解と決断力などを問う問題、また、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

  • 2016年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 菊田まりこ「本は心の友だち」による
      文章2 茂木健一郎「ある時脳ははばたく」による
      出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
      内容:文章A・文章Bともに、読書をすることのメリットが書かれています。どちらも読書をするべきだという立場で書かれているので、問題3の作文テーマ「読書が与えてくれるもの」につながる文章でした。内容としては、どちらも平易な文章でした。問題1、2は読解問題です。問題1は、解答の仕方に指定が多くあるので、書きやすいはずです。問題2も筆者の考えを読み取る問題なので、正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも頻出のものなので、取り組みやすかったことでしょう。

      適性検査Ⅱ

      大問3つの構成でした。大問1は「渋滞」を題材にした作業中心の問題で、ルールと条件に従い作業を行えば平易に解答を導き出すことができました。必ず得点しなければならない問題です。
      大問2は「日本の小売業」を題材とした問題でした。例年通り、「世界の中の日本」というテーマや、計算力が必要な問題が含まれていました。割合を計算する問題に手間取ってしまった受検生も多かったかもしれません。
      大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。

      適性検査Ⅲ

      例年通り大問2つの構成でした。
      大問1は「もののすべりやすさ」に関する問題です。円と割合に関する計算問題以外は、すべりやすい所、すべりやすくなる原因と検証実験、すべりにくくする工夫など、身近な現象への興味関心や理科実験のやり方を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
      大問2は「規則性と展開図」に関する問題です。立体の展開図や、模型を作るため工作用紙に切る線と折り曲げる線を書き込む問題、及び、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も問われており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

  • 2015年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 木下是雄「理科系の作文技術」より
      文章2 養老孟司「メッセージのメッセージ」より
      出題形式:小石川中・武蔵中・富士中・大泉中の共通問題は、公開されたサンプル問題(小石川中・武蔵中の過去問題)とほぼ同様の形式で、「メッセージ」について書くものでした。大きな形式上の変更はありませんが、総計の文字数は最大500字以下と、心もち少なくなっています。
      内容:文章1・文章2に共通するのは「コミュニケーション」、「人間同士の伝達」です。問題1・問題2は部分要約の問題で、問いのキーワードから内容をしぼっていけますが、どの言葉を利用し、どこを削るか、つめて考える必要があります。問題3の課題「人が何かを伝えあうときには、どのようなことが重要か」というテーマはこれまでの都立中でもよく出題されてきたものです。

      適性検査Ⅱ

      大問3つの構成でした。大問1は「うるう年」を題材にした計算中心の問題でした。うるう年の計算法がきちんと説明されていたので、受検生は得点しやすかったはずです。
      大問2は余暇の使い方を題材とした問題でした。例年通り、計算力が必要な問題が含まれていました。
      大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。

      適性検査Ⅲ

      例年通り大問2つの構成でした。 大問1は「ボールのはずみ方」に関する問題です。割合の計算問題以外は、実験結果に影響を与えると考えられる要素を挙げていく、理科実験への興味関心を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
      大問2は「カレンダーを題材にした数の性質」に関する問題です。指定条件の通りに具体例の書き出しを行う、法則の理解が試される問題でした。解答に至った理由の説明もあり、こちらも得点差がついていると思われます。

  • 2014年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 毎日新聞コラム
      文章2 鈴木義理「日本語のできない日本人」
      文章3 竹内政明「『編集手帳』の文章術」
      今年は文章が3つになりました。設問は4問。問題1は「こだわる」という言葉が、「否定的な意味合いが強い言葉から、肯定的な意味で使われるようになった」ということを読み取り、実際に「こだわる」という言葉を肯定的な別の表現で言い換えるという問題です。問題2、問題3は記述問題です。これらの問題は「こだわるという言葉について」から、「言葉の変化について」の記述となっており、問題4「言葉の変化について」の作文へと流れを作っています。作文は文章2と文章3の両方の意見をふまえ、401字以上440字以内で書く問題です。例年通りの設問でした。

      適性検査Ⅱ

      例年の出題傾向をふまえた問題でした。外国に関するテーマ、計算を多用する問題、グラフの作成、150字前後の記述、とほぼ変化ありません。よって、小石川中の対策を十分に積んできた受検生は安心して問題に取り組めたはずです。ただし、毎年のことではありますが、計算に時間を取られてしまった諸君は、最後まで終わらないということになってしまったでしょう。

      適性検査Ⅲ

      例年通りの大問2問構成で、問題のレベルも昨年並でした。取り組みやすいため、受検生は手ごたえを感じますが、書けてはいても点は低いことが想定される問題です。
      大問1が理科の内容で、鉛筆の字が消えること、レシートの字がうすくなることが題材となっています。小問は7つで、身近な現象、実験企画、予想結果、便利にする工夫などの説明が出題されています。大問2が算数の内容で、おはじきを線で結ぶことが題材となっています。小問は5つで、ルールを読み取り地道に調べる力と法則を見出し、説明する力を問われました。

      ボーダーライン

      例年の傾向と大きな変化がなく、各受検生が十分に対策を講じてきていると考えると、若干ラインが上昇し、適性検査全体の素点で55%程度と考えられます。

  • 2013年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      出典:
      文章1 柳澤桂子「本を書く」より
      文章2 福岡伸一「鈴木少年の大発見」より
      昨年は、課題文が3つであったり、漢文の書き下し文が出たりと、問題の傾向が少し変わり、やや難しいと思われる問題でした。今年は、文章が2つに戻りました。片方は小説を書くという視点、片方は化石の発掘という視点から、強い思いや情熱が結実することについて語られています。どちらも随筆で読みやすく、昨年よりも楽に感じた受検生が多かったのではないかと思われます。
      設問に関しては、問題1が記述と書き抜き、問題2が記述、問題3が作文です。作文は、2つの文章のそれぞれの筆者の考えに関連づけて書くもので、401字以上440字以内でした。どの設問も標準的なもので、特に難易度が高すぎるものはありません。

      適性検査Ⅱ

      概ね昨年と同じような傾向の問題でした。したがって、きちんと準備をしてきた受検生には取り組みやすかったと思います。ただし、計算を必要とする問題数を考えると、小数の計算がかなり速くて正確でないと、最後まで終えることは難しいでしょう。
      なお、今年は、都道府県の位置がきちんとわかっていないとできない、地図を塗り分ける問題がありました。例年は、知識があったほうが楽という問題はあるものの、知識がないとだめという問題は出題されていませんでした。

      適性検査Ⅲ

      大問1は、サケが自分の生まれた川に戻ってくることについての問題でした。問題1は、仕事算の考え方を使って式と説明を書かせる問題で、それ以外の3問は、調査の方法・実験の方法について自分の考えを書かせる問題でした。
      大問2は、正多角形に関しての問題でした。オイラーの定理を使う問題3の(2)以外は、例年よりもかなり易しいのではないかと思われます。

      ボーダーライン

      例年の傾向と大きくは変わらないものの、解きにくい問題は減っており、合格ラインは60%を超えてくると考えられます。

  • 2012年度 適性検査分析
    • 適性検査Ⅰ

      以前は随筆や論説文が2題出題されており、昨年はそれが小説1題という形式に変わりました。今年は随筆1題と、関連した短い文章が2題という形です。随筆は公立中高一貫校でしばしば見られる、「子供の頃には何のためにやっているかわからずにやらされていたが、いま振り返ると…」という主旨の文章です。それに対して残りの短い文章の2題は、漢文とその書き下し文※、さらにその訳文で、小学生の段階では、多くが初めて触れる文章であると思います。さらに文章3は訳文の状態でもわかりにくい内容です。「漢文」という見慣れない文の形式に戸惑わず、しっかり文章の内容を理解できたかどうかが今年度の問題に取り組む時にポイントになります。(※書き下し文=助詞などを付けたし日本人でも読みやすいようにしたもの)
      設問は昨年度と同様、3問でした。大問1は、指定した条件を満たす1文を抜き出す問題で、私立中入試の形式に近いものです。大問2は、随筆の中の一文について説明する問題で、例年の傾向に近いものです。大問3は、文章1、2、3の「いずれかに関連づけて」書く作文です。

      適性検査Ⅱ

      「資料の分析を通して、パイオニアを目指す意欲をみるとともに、日本や世界のことについて考察する力や、考えを表現する力をみる。」という基本方針のもと、資料を分析する力と、自分の考えを適切に表現させる問題です。作文的な問題も含まれており、新しい何かを生み出す意欲も要求されます。
      難易度や問題の形式は昨年度とほぼ変わりません。資料をもとにして、計算させたり考察させたりする問題が中心です。ただし、一昨年から徐々に小問数が多くなっています。今年度は大問が1題、細かく言えば小問が10問でした(昨年度は大問が1題、小問が8問)。正確で早い計算力が、昨年まで以上に要求されます。
      なお、昨年度は農業に関する出題があり、農業従事者の高齢化や、日本の農業の特徴である集約農業についての知識を持っていると楽に解ける問題でした。今年度は、人口ピラミッド、旅客および貨物輸送などについての出題で、資料だけで充分に理解できる問題ですが、やはり普段から社会情勢や現代日本の問題などについてアンテナを張っておくことが重要です。

      適性検査Ⅲ

      昨年とほぼ同様に大問2題、小問8題の構成でした。大問1は、雲や雨量計に関する問題、大問2は平面と立体のパズルの問題でした。近年の大問1は、「植物」「水の全循環」「乳酸菌」などの生物・地学的内容が出題されています。大問2は、「ゲーム」「パズル」などの算数系の内容が出題されています。
      理系の問題では、自然科学への興味・関心の程度と表現力や論理的思考力を問われますので、普段から身の回りの科学的な事柄に関心を持つことが大切です。単なる文字上の知識だけではなく、理科事典などを使って図や写真を見ながら学習をしましょう。時間があれば、博物館などに足を運び、自分の目で見てじっくり調べたり体験したりするのも良いでしょう。 算数系の問題は数理的な分析と判断力を問うものです。対策として、ゲーム・条件整理・推理などの分野の問題をいくつかこなしておき、パズル的な考え方や情報の分析に慣れておきましょう。また、いずれの分野を解く場合も、正確で素早い計算力と、ことがらの処理能力が前提となります。