実践学園中学・高等学校「真の進学校」を目指す新たな試みに注目!生徒の自主性を重んじた学びの場に込めた思い

実践学園中学・高等学校は「学問の修得をとおして、自己実現をめざし、人類・社会に役立つ人材づくりをする」という建学精神のもと、常に新世代に向けて柔軟性に富んだ教育を展開してきた。今年85周年を迎え、さらに「真の進学校」を目指した教育改革を進めている。
今回は、その両施設を見学させていただき、松本昭彦副校長に教育改革の内容も含めてお話をうかがった。また、生徒さんに実際の利用の様子についてインタビューさせていただいた。

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自分の勉強部屋が学校にある?!
自ら学びたくなる、個性的な学びの館

建築・設計のこだわりを感じる入り口

勉強時間UPの秘密に潜入…

本校舎を出て歩くこと1・2分、何とも不思議な外観の建物が目に入る。それが「自由学習館」だった。斜めの屋根、壁も平坦ではなく、窓の配置も不規則。一部分、壁が突き出したような庇の下部分が入口になっていた。入り口には、しっかりとセキュリティが施してあり、部外者は入館することができない仕組みだ。

広大な吹き抜けの空間。
集中力を高める静けさと、心地よさ。

屋内は広大な吹き抜けの空間。柱がないため、その開放感がさらに際立つ。階段状にフロアが配置されており、変則的な3階建てのような建物と言えるだろうが、もっと高層のような錯覚さえ覚える。
地下階には「Freedom Hall」(多目的ホール)。階段状の座席は移動が可能で、フラットスペースの広さが変えられるようになっているといい、大人数の講義などにも使われているという。この日は、高校合唱部が文化祭の練習に励んでいた。

天井から差し込む自然光と、白い天井に灯りを反射させた間接照明の優しい明るさに館内は満たされている。コンクリートの壁には木目がつけられ、どこか温かなぬくもりを感じさせる。書棚には、科目ごとにわかりやすく分類された参考書・資料などが置かれている。赤本や問題集なども豊富に揃っているようだ。

生徒のアイディアで誕生した棚
本棚の間にもデスクスペース

「自分の部屋」で勉強する感覚。
ときには、ゆったりとした連帯感も結べる場所。

階段式に広々とした机とイスが置かれた「Learning Terrace」の前の窓からは、区立公園の緑が見える。勉強の合間、目に入ってくる風景がホッと心を和ませてくれそうだ。席の後ろには、棚があり、必要な本などが置けるようになっている。これは、事前に設計者と意見交換をするコミュニケーション授業の際、生徒から提案されたものだという。(後に登場する鶴丸さんも、その授業の様子を楽しげに語ってくれた。)これが、「自分の部屋」と感じる所以のひとつだろう。

その他に、30人ほど収容可能な「Learning Room」(普段の選択授業やJ・スクールで使用)、6~10人用の「Study Room」などがある。特に「Study Room」は、友達同士で利用ができるため人気が高く、試験前などは予約待ちになることも多いとか。チューターの方が入って、指導することもあるという。

開放的な中に落ち着きのある空間。勉強は本来、一人ひとりで取り組むものだろうが、ここは、どこかゆったりとした連帯感を結べる場のように思う。ひとりでない安心感が、心を落ち着かせてくれる面もある。こんな場所があったら、学生時代、もっと一生懸命勉強できたのにと羨ましく思う空間だ。

実践学園中学・高等学校学校「自由学習館」

幾通りものアイディア
集中して、効率良く学習できる場に!

先生による実演授業

ここセミナーハウスには、常に生徒たちの活気に満ちている本校舎とは全く違う静けさがある。
清潔感のある館内には、20人ほどが学習できるセミナールームが2室あり、IWBと同様の教材を使用できる液晶モニターが備えられていた。案内してくださった倉田先生が、実際にモニターを使って、授業を組み立てる様子を見せてくださった。音声や映像を駆使して、生徒たちを惹きつける授業を展開されていることが伝わってくる。生徒が目を輝かせて授業を受けている様子が目に浮かぶようだ。
宿泊設備も整い、20人程度の合宿なら十分に対応できる施設であることも大きな特徴だ。生徒たちが、集中して勉強することのできる新たな拠点として、おおいに活用されるに違いない。

時代に即して柔軟に、教育の質を向上
バランスの良い学びで、社会で活躍できる人材育成を!

校門に掲げられた「建学の精神」

松本昭彦副校長に、「自由学習館」「セミナーハウス」といった施設について、教育改革との関連の中でお話をうかがった。

自由学習館は「学びの館」

「自分の勉強部屋が学校にある」というのが「自由学習館」の元々の発想です。生徒たちがリラックスして勉強できるようにという思いは、建物にも反映されていますし、あえて細かな規則は作っていません。最低限のルールを守って、ケジメをもって勉強してくれればと思っています。
自然に『学びの館』としての雰囲気ができあがってきているように感じますね。

夢広がる「セミナーハウス」

自分で勉強する「自由学習館」に対し、「セミナーハウス」は、グループで勉強をするゼミ的なイメージです。今年6月に完成し、すでに夏期講習に利用しました。本校舎と違い、他の部活の声などに煩わされず、気持ちを切り替えて集中して勉強できるというメリットがあると思います。ここ数年、特進コースは外部の施設で勉強合宿を行ってきましたが、「セミナーハウス」には宿泊施設もありますので、今後はここを利用できればと思います。集中して勉強し、互いに刺激し合うとともに、仲間としての連帯感が生まれるような場になればいいですね。

アツい思いを聞かせてくれた松本副校長

「真の進学校」が目標!
将来、社会で活躍できる人材を育てていきたい

2006年度から教育改革をスタートし、まずIWB(インタラクティブ・ホワイトボード)を導入。さらに勉強だけでなく環境面にも目を向けようということで、屋上に「実践の森・農園」を設置し、環境大臣賞をいただくことができました。また、高尾に、スポーツクラスを中心とした授業が行われる校舎を建て、東京でも1・2を争うような人工芝の広いグラウンドを造りました。そうした流れの中、ハードの面での集大成が「自由学習館」。今後は、それらを教育の場でどう利用するのかという段階にきています。本校は、今年で創立85周年になりますが、「真の進学校」を目標に掲げています。「真の進学校」とは、単に進学実績を伸ばすことではなくて、学習と部活を両立させながら、本人の希望に叶うような指導をしていくことだと考えています。時代の変化に柔軟に対応した教育の中で、将来、社会で活躍できる人材を育てていきたいですね。

勉強する意欲がわく「自由学習館」!
IWBを使った楽しくわかりやすい授業も魅力

インタビューありがとうございました!

文化祭の準備の合間を縫ってインタビューに参加してくれたふたり。
鶴丸さんと、小野くんにお話をうかがった。

インターエデュ(以下、エデュ):「自由学習館」は、利用していますか。
鶴丸千波音さん[高1](以下、鶴丸さん):部活のない日は、閉館時間の7時までずっと友達と一緒に勉強しています。広々とした明るい雰囲気で、勉強しやすいです。以前、設計者の方と話し合うコミュニケーション授業があり、意見を言う機会もありました。それを実際使っているので、うれしいですね。
小野怜史[中1](以下、小野くん):パソコンもあるのでいろいろ調べものができて、便利です。部活が休みの月曜日には、友達と一緒に行っています。

日々の充実ぶりを教えてくれた鶴丸さん
小野くんは部活を抜けて駆けつけてくれた

エデュ:どのように勉強していますか。
鶴丸さん:学習館に行くと勉強する意欲が出て、長時間勉強できるようになりました。小テストの勉強や授業の復習などをしています。友達と時間を決めて、何時までは一人ひとりで集中して勉強して、その後、わからないところを一緒に勉強しようという感じでやっています。部活を引退した高3の先輩が受験勉強を一生懸命やっているのを見ると、刺激になりますね。
小野くん:10月に英検があるので、最近はそのための勉強を友達と一緒にやっています。同じテーブルでやっていても、みんなそれぞれ集中して勉強していて、わからないことがある時、小声で教え合ったりする感じです。

エデュ:IWBを使った授業はどうですか?
鶴丸さん:黒板だと先生の陰になって見にくかったり、消されてしまったりしますが、パッと表示されるので授業がわかりやすいし、ノートもとりやすいです。
小野くん:ほとんどの授業で使われていますが、細かい図なども簡単に表示されて見やすいです。

エデュ:受験生に、実践学園のおすすめポイントを教えてください。
鶴丸さん:入学の決め手はニュージーランド語学研修でした。震災の影響で行き先がオーストラリアに変更になりましたが、ホームスティをしたり、現地校の子と会話をすることができてすごく楽しかったです。
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あと、普段学校にいると、当たり前に感じていますが、他の学校の文化祭などを見に行くと、実践には自由学習館やIWBがあって良かったなと思います。先生方も親身になって相談に乗ってくれますし、勉強面でも、わかるまで丁寧に教えてくれます。
小野くん:自由学習館の勉強環境の良さ、IWBを使った授業のわかりやすさをぜひ知ってほしいと思います。
家から学校まで少し遠いのですが、学校生活がとても楽しく、それを思い浮かべると、早起きもつらくなくて、早く学校に行きたいなという気持ちになっています。(キャンパスライフの詳細はこちら»

恵まれた学習環境・設備の中で、のびのびと勉強できる生徒たちを羨ましく思う。生徒の一人ひとりの成長を真摯に考え、教育に取り組んでいる先生方の熱意を強く感じる取材となった。
実践学園が掲げる「真の進学校」に、これからも注目していきたい。