inter-edu's eye

inter-edu's eye

6月3日(日)、品川区にある小野学園女子中学・高等学校では、「サイエンス・オープンキャンパス」が行われ、たくさんの小学生達で賑わった。
理科教育を重視している同校では、生徒達自らが、調査・研究し、理科実験の授業を作り上げて公開した。小学生に楽しみながら理科を学んでもらおうという彼女達の努力の成果でもある「サイエンス・オープンキャンパス」。その先生ぶりは? 当日の様子に密着した。

小野学園女子中学・高等学校のホームページはこちら

「理科好き」をきっかけに、将来につながる力を育てる!

理科主任の小澤良水先生にお話をうかがった。

写真:小野学園女子中学・高等学校の噴水

インターエデュ(以下、エデュ): 小野学園の理科教育についてお話下さい。

小澤先生: 理科好きの生徒は、観察力が鋭かったり、小さな変化に気づきやすいところがあります。そんな生徒は、将来社会に出た時に、女性ならではの気配りができる人になるのではないでしょうか。またお母さんになったら、小さい子どもの変化に気づき、気持ちをわかってあげられるのではないでしょうか。本校では、社会でも家庭でも「どっちもできる女性」を教育目標に掲げていますので、その目標達成のために、理科がとても役立っていると感じています。
小学生は理科が好きな児童が多いですが、中学・高校になると苦手意識を持つ子が増えてきます。また、最初から理科が好きでないという生徒もいます。そんな生徒を「理科好きにする」という観点から、希望者を対象に教科書にない楽しい実験をする「サイエンス・ラボラトリー」を行っています。もちろん、楽しい実験をするだけでなく、仮説を立て検証して、考察し、最後にレポートを書くことをします。このことにより、好奇心から、問題解決力と観察力をつけ、探求心という社会で必要とされる力をつけていくことができると考えています。

エデュ: 今回のサイエンス・オープンキャンパスへの取り組みはいかがだったでしょうか?

小澤先生: 生徒自身も興味のあるテーマのため、やりたいという気持ちから始まりますので、自分達の勉強になりますね。その上、来校する小学生に「楽しんでほしい。わかってほしい。」と考えるので、より一層学習が深まっているのがわかります。5、6年前までは、大学の先生から教わったことを自分達が授業としてやってみることもしていました。それも勉強になるのですが、今回は、女の子の好きそうな香水や入浴剤などが素材なので、それを楽しく教える工夫をしていました。生活に密接しているものほど、考えやすいですし、実際作ってみると、そこから理科の仕組みを考えていくことができます。身の回りに理科はあふれていますので、教えている生徒も来校した小学生にも、そういうことが伝わったのではないでしょうか。

写真:小野学園女子中学・高等学校の小澤先生

エデュ: 生徒さん達の将来の希望という面でも、変化がありますでしょうか?

小澤先生: 実験が好きな子が多いので、実験をやりたいというところから理系の学部への進学や研究職を目指したり、生き物が好きだからと獣医を目指したりと進路選択の幅が広がっています。化粧品開発などで女性が活躍しているのを見て、自分もやりたいという希望が出てくることもあるようです。女性として、結婚して出産しても資格を持っていれば復職もしやすいという点から、薬剤師、看護師や栄養士なども人気が高いです。男性中心であった医師などでも女性が活躍する社会になっているということも進路の選択肢の広がりにつながっているのではないでしょうか。この「オープンキャンパス」もそうですが、図書室にも『Newton』『日経サイエンス』といった科学雑誌も置くなど、興味を持つきっかけづくりも大切にしています。

小野学園女子中学・高等学校ホームページはこちら

「サイエンス・オープンキャンパス」の様子

生徒達が自ら作り上げた理科の授業

小学生のために、小野学園女子中学の生徒達が自ら考え準備して作り上げた理科の授業。
今回は、その中から3つのプログラムを取材した。

1.いい香りの入浴剤を作ろう
1.いい香りの入浴剤を作ろう
  • 写真:いい香りの入浴剤を作ろう

    「クエン酸」と「ナトリウム」の関係も、生徒が原子に扮してわかりやすく説明。

  • 写真:いい香りの入浴剤を作ろう

    「かたくなってきた!」
    と、原料を混ぜ合わせる工程に手ごたえがある様子。

  • 写真:いい香りの入浴剤を作ろう

    自分で選んで決めた色と香り。 型に押し詰める作業は真剣そのもの!

  • 写真:いい香りの入浴剤を作ろう

    実際にお湯に投入する実験に、興味津々の小学生達。
    ワッと上がった歓声も印象的。

aaaaa

重曹とクエン酸、エタノールを混ぜて固めて作る入浴剤。意外に馴染みのある原料だと知り驚くが、それぞれの分量、香料や食紅を入れるタイミングなど、しっかりと確認された上で、実験が行われており、生徒達の研究、努力の成果を感じた。科学の知識をクイズにしたり、入浴剤をお湯に入れた時に発泡する化学反応については、生徒が原子に扮し(原子名を書いたカードを胸につけ)説明したりと、小学生に教えることを意識した工夫がなされる。好きな色や香りを選んで作ることができるので、小学生達も楽しそう。それを優しく見守り、アドバイスをしている生徒の姿も印象的だった。

aaaaa
写真:いい香りの入浴剤を作ろう

入浴剤をきれいな形に仕上げることができるように、実験を何度も行って、エタノールの量を調整しました。小学生がみんな楽しんでくれて良かったです。

2.液体窒素を使ってアイスを作ろう
2.液体窒素を使ってアイスを作ろう
  • 写真:液体窒素を使ってアイスを作ろう

    風船で作ったかわいい帽子をかぶり、実験とクイズを出題。答えは、実験で明らかに。

  • 写真:液体窒素を使ってアイスを作ろう

    牛乳、砂糖、生クリームをボウルに入れて…。ここまでは、ふつうのお菓子作りのよう。

  • 写真:液体窒素を使ってアイスを作ろう

    液体窒素の蒸気に一同圧倒!!その驚きは、保護者の方も、思わず立ち上がってしまうほど。

  • 写真:液体窒素を使ってアイスを作ろう

    実験の後のお楽しみ。
    「おいしい♪」と顔をほころばせていた小学生。

aaaaa

風船で作ったかわいい帽子をかぶった生徒が目にとまる。授業開始までの時間、小学生とコミュニケーションをとっている様子も見られ、雰囲気作りにも配慮。液体窒素の取り扱いについての注意事項をしっかり確認し、安全に実験を行うことも徹底している。アイスを作るだけでなく、うまく分担しながら時間を有効に使い、液体窒素を使った様々な実験も行われた。ぶどう味のカルピスを液体窒素で急激に冷やしてトッピングを作るなど、楽しんでもらう工夫も。マイスナー効果、超電導の実験などレベルの高いものも行われ、彼女達自身がさらに関心を深め、学んでいこうという姿勢を強く感じた。

aaaaa
写真:トッピング作り

・液体窒素について勉強してクイズを考えたのですが、小学生と自分達の知識が違うので、わかってもらえるようなクイズを考えるのが大変でした。小学生が積極的に参加してくれてうれしかったです。

・仕事の分担は、みんなで相談しながら決めていきました。今日は自分達もいっしょになって楽しむことができました。

3.香水を作ろう~香水はなぜ香りが広がるの?~
3.香水を作ろう~香水はなぜ香りが広がるの?~
  • 写真:香水を作ろう

    まずは、練香水作りから取り掛かる。ビーカーの中のミツロウをゆっくり溶かすことから。

  • 写真:香水を作ろう

    先生役の生徒が、優しくサポート。保護者の方も香りを試すなど教室があたたかい雰囲気に。

  • 写真:香水を作ろう

    香りをチェック。どこにつけたらいいかも、実験前の講義で教わったことを試していた。

  • 写真:香水を作ろう

    完成した二つの香水を手にした小学生達の顔には、少し照れたような満足げな笑顔が浮かんでいた。

aaaaa

アイドルグループのような自己紹介で楽しい雰囲気を作りながら、授業が始まる。香水の成分は何か、どこにつけたら香りが広がるか、といったクイズに小学生達が興味津々で臨んでいるのがわかる。その興味をそらさず、答えをきちんと科学的な知識と結びつけて説明していることに感心した。練り香水を作る際、途中で固まってしまったり、香りを入れ忘れてしまう子もいたが、先輩達に手伝ってもらい、やり直したりしながら、自分だけのオリジナルの香水作りを楽しんでいた。香水の豆知識をのせ、かわいいイラストを入れたプリントにも、来た人に喜んでもらえるようにとの心遣いを感じる。

aaaaa
写真:先生役の生徒さん

・実際やってみないとわからないので、不安な部分が多く、何回も練習して本番に臨みました。

・香水の作り方を調べるところから始め、すべてを自分達でやり、考えなければならなかったので、準備が大変でした。説明のプリント作りも、もらった人に喜んでもらえるように工夫しました。学校の授業では実験が多く楽しいので、理科は大好きです。

小野学園女子中学・高等学校ホームページはこちら

大井町自然再生観察園

「都会における自然環境の復元」をテーマに!

写真:ホタルの飼育・観察

小野学園所有の敷地を再整備し、「都会における自然環境の復元」をテーマにホタルが飛翔し、多様な生物が生息する里地環境を目指して作り上げた「大井町自然再生観察園」が、2012年3月に完成した。

小野学園では、2008年から、理科教育を重視し実験・実習を多くした独自のカリキュラムを展開する中で、2009年、「ホタルの飼育を通して環境問題を考える」ホタルプロジェクトを発足。2009年~2010年JST(科学技術振興機構)の支援をうけ、東京農大と連携しホタルを題材に合宿型のSPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)を実施。ホタルの出現する地域で、生徒達が観察実習を行った。合宿後、「品川区にホタルを孵して、地域のみなさんに環境問題について考える場所をつくろう」という目標を掲げ、2010年3月に川の日ワークショップ学会にて、本校近辺の水質調査の結果を発表し、準グランプリを受賞した。2010年度からは、ホタル自生研究室を立ち上げ、毎日交代でホタルの飼育・観察を続けてきた。2011年、大井町自然再生観察園のビオトープデザインを行い、第22回「緑の環境デザイン賞」において「国土交通大臣賞」を受賞している。

敷地内を流れる小川は、井戸から汲み上げたきれいな水を循環させており、ホタルの餌であるカワニナが育ち、めだかも生息しているという。6~7月には「ホタルの夕べ」等のイベントも企画し、地元の人々と連携して緑のある景観を取り戻したいと、ホタルが飛翔する環境作りへの取り組みを続けている。

  • 写真:大井町自然再生観察園
  • 写真:大井町自然再生観察園
  • 写真:大井町自然再生観察園
小野学園女子中学・高等学校ホームページはこちら

今後のイベント・説明会スケジュール

小野学園女子中学・高等学校の魅力に触れる。

学校説明会
中学校説明会
第3回 7月12日(木) 10:00~ ※要予約
「森上 展安 先生の
教育講演会とのコラボレーション」
第4回 8月30日(木) 10:00~
第5回 9月20日(木) 10:00~
第6回 10月13日(土) 14:00~ ※要予約
第7回 11月29日(木) 10:00~
第8回 12月19日(水) 10:00~
第9回 2013年1月12日(土) 10:00~
高等学校説明会
第1回 8月25日(土) 14:00~
第2回 10月27日(土) 13:30~
第3回 11月24日(土) 13:30~
第4回 12月1日(土) 13:30~
第5回 12月2日(日) 13:30~
第6回 12月8日(土) 13:30~
オープンキャンパス

11月10日(土)
9:00~: 中学受験生対象 ※要予約
13:30~: 高校受験生対象 ※要予約

体育祭

6月19日(火)・20日(水)
9:00~15:00

文化祭(志ら梅祭)

10月6日(土)・7日(日) ※予約不要
9:00~16:00

中学入試過去問体験講座

11月17日(土) ※要予約
13:30~

個別見学会(学校説明会にこられない方)

※要予約
日程・予約方法はこちら

小野学園女子中学・高等学校ホームページはこちら