「人間愛」をもって、一人ひとりを大切に育てる教育!子どもの無限の可能性を引き出し、自立への確かな土台を

文教大学付属小学校は、「人間愛」を建学の精神とし、一人ひとりの可能性をひきだす教育を実践している。少人数の温かな環境の中で人間教育を重視する一方、着実に有名私立・国立中学への合格実績を上げていることにも、注目が集まる。
授業の様子を見学させていただくとともに、今年度、就任された小宮山郁子校長にインタビューさせていただいた。一人ひとりに行き届いた細やかな指導のみならず、共に学び、伸びゆく場としての学校の本質を大切にする姿勢を強く感じ、同校の教育のさらなる充実に期待を抱いた。子どもたちの力を大きく伸ばしていく文教大学付属小学校の魅力をここでお伝えしたい。

新校長インタビュー 優しさや思いやりの心を基盤として、社会で活躍できる人に! 自分の可能性を信じて挑戦し、努力できる子どもを育てる

文教大学付属小学校

インターエデュ(以下、エデュ):文教大学付属小学校の教育理念を教えてください。

小宮山郁子校長(以下、校長):本校の建学の精神は、「人間愛」をもって育てるということです。子どもは、一人ひとりがかけがえのない存在で、これからの社会を担う宝だと思いますので、社会を担う存在だという見通しをもって育てなければならないと思っています。子どもたちがそれぞれに持っている無限の可能性を引き出し伸ばすのが、私達の役割だと考えています。優しさや思いやりの心を基盤として、さらに思考力や判断力をもって、正義を貫く強い意志や行動力のある人間を育てたいというのが、本校の一番大きな教育理念です。

エデュ:仏教がベースにある学校とうかがっていますが、学校生活の中で、仏教の考え方は、どのように関わっているのでしょうか?

校長:それぞれの信ずるところはあると思いますが、天地自然の恵みや、家族やそれぞれの人たちの愛情、もっと広く国家社会といったものも含めて、様々な恩恵によって生きていることに感謝するというのが、本質の部分にあります。子どもたちには、自分はひとりで生きているのではないことを理解し、有形無形のものに感謝する心を持ってほしいと思っています。神仏に合掌礼拝し、心を落ち着けて、そのことを振り返って考え、力を発揮することを大切に考えています。
本校では、食事の前に「食法」を唱えていますが、今、子どもたちは満たされていますので、「食法」の中にある「一滴の水も国恩にあらざることなく、一粒の米も同胞の辛苦によらざるなし」の意味を十分に理解することが難しいかも知れません。そういう中にあっても、子どもたちには、他の命をいただいているということをわかってほしいですし、そのことに感謝し、無駄にしないということを実践してほしいと思っています。ただ唱えるだけでなく、意味を実践できるようになるということです。「行学二道」といって、知識を行動に結びつけていくことが、これからの教育の中ではとても大事なことだと思います。 朝の祈りで心を落ち着け、今日一日のことを思い、目標を持って始まり、夕べの祈りで、一日のことやいろいろな人の思いを振り返って終わるという、けじめのある中で生活していますので、大変、落ち着いている学校です。子どもたちは挨拶もきちんとできますし、規律もしっかりしていますね。

エデュ:どのような児童を育てていきたいとお考えでしょうか?

校長:長期的には、社会の中できちんと役割を果たし、活躍できる人間を育てることですね。それを見通した初等教育であるべきで、そのために必要な「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」といったその基盤づくりが、この6年間にかかっていると思っています。33年間子どもとかかわってきましたので、子どもたちが伸びていくところを見るのは大好きですし、できると信じて、私達が向かっていく。私達のやり方次第で、子どものつまずきを解消してあげられることもあると思っています。様々な活動をする中で、指示待ちのような受け身の態度ではなく、自分自身できちんと考え、具体的な目標を持って行動できるようになってほしいですし、それを振り返って、次のステップへ進んでいくことが大切ですね。子ども一人ひとりがそのような形で成長できる、自分の可能性を信じて、挑戦できるようにしていくのが、私達の役割だと思っています。

子どもたちのお弁当の風景

文教大学付属小学校の子どもたちは、お弁当の前に「食法(じきほう)」を唱え、感謝の気持ちを持って「いただきます」で食事を始める。
見せていただいた2年生の教室でも、子どもたちが元気に声をそろえて、「食法」を唱えていた。食事の終わると、「この力を無駄にすることなく、日々の務めに励むことを誓います。ごちそうさまでした」と、みんなで声をそろえる。感謝の気持ちを大切に、けじめを持って学校生活が営まれていることを感じる。

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各学年授業の様子 確かな学力をめざし、ひとつずつ積み重ねて 基礎・基本の知識習得から、活用力(思考力・判断力・表現力)の育成へ

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1、2年生 学ぶ姿勢を身につける

学校生活をスタートしたばかりの1、2年生では、生活と学習の基礎づくりをすることが目標。授業の中では人の話をしっかり聞く習慣や自分の意見や考えを伝える力を養う。また、登下校のマナーや安全指導も行い、社会生活を始める自覚を促す。体験的な学習や経験の拡大が重要なこの時期には、のびのびとした活動、学習の中で学校生活を楽しみながら、学ぶことの楽しさを知り、自学能力を育むことを大切に、将来への土台を築いていく。

「舞踊」の授業

1年生から3年生まで、週に1度専任講師によって行われる「舞踊」のねらいは、「身体作り、リズム感・表現力の育成」である。まずは、身体作りから始める。基本となる柔軟性を目的に、床で足首を動かすことから開脚運動。上体はゆっくりとストレッチング。そこからカエルのポーズで股関節を開く。次は背中の運動へ。学年によって、次のステップの柔軟運動へ移行していく。柔軟運動の後に、表現を自由に考える段階に進んでいくが、そのためにまず、基本の足と腕のポジションを学ぶ。その後、いろいろなエクササイズを反復練習することで、正しいリズム感、表現力を徐々に養っていく。身体を使って表現し、仲間と共に創作し活動することで、連帯感や豊かな表現力を伸ばしていくことができる。

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3、4年生 基礎力を養う

低学年時に身に付けた力を土台として、学習の基礎力を定着させることが目標。ギャングエイジといわれる中学年の特徴を生かして、分担・協力などのグループワークを重視した指導を展開しているほか、成長とともに変化する自己意識や友だち関係にも注意を払い、特に細やかにサポートされている。社会を知ることができるこの時期からは、活用力(思考力・判断力・表現力等)の育成に多くの時間がかけられるようカリキュラムが組まれている。

「英語」の授業見学

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担当するのは、日本人の先生とネイティブの先生の2人。英語の挨拶でテンポ良く授業が始まり、みんなで元気いっぱいに、英語の歌を歌う。英語ばかりではなく、世界の国々の挨拶が次々に登場する歌も。こんなふうに自然に、国際感覚を養うことができる環境を素晴らしいと思う。その歌をきっかけに、子どもたちが知っている国の名前を答えていく。基本的に、先生の指示や質問は英語。時には、2人の先生が互いに英語でコミュニケーションを取りながら、子どもたちを巻き込んで授業が進んでいく。ごく自然に子どもたちは英語を理解し、質問に答えている。答えた国の名前について、正しい発音を先生が行い、子どもたちがそれを繰り返し、アルファベットの綴りも板書される。1つ1つがしっかりと、その場でフォローされているのがわかる。

次はカードを使ったゲームだ。動物や食べ物の絵が描いてあるカードを持った子どもたち。持っているカードについて「Do you have~?」とみんなの前で一人が尋ね、それに対して、その他のクラス全員が「Yes,I do.」「No,I don’t.」で答える。カードの動物や食べ物を「octopus」「snake」「penguin」「candy」「egg」…と発音するのも、実に自然。ゲームの中で、普通の中学生で勉強するような会話を使いこなしながら、子どもたちはみんな本当に楽しそうだ。
プリントが配られ、アルファベットの勉強も行われる。今日は「M」のつく単語を絵の中から探す。「monkey」「mouse」「mountain」「milk」「mushroom」…。子どもの口から次々に単語が出てきて、その語彙の多さに驚かさる。それぞれの単語を先生が発音し、子どもたちがまねて繰り返す。「l」「r」「th」など、発音しにくいものについては特に、先生の口元も注意して見るように細かく指導がされていた。アルファベットの書き方も丁寧に教えられる。
英語を楽しみながら、会話を中心とした授業を展開する中で、単語や会話が自然に身についていくよう段階的に教育が行われていることを感じる。「聞く・話す・読む・書く」をバランス良く伸ばす教育法で、中学高校から本格的に学ぶ英語学習の土台が作られていく。

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5、6年生 発展と応用

付属中学高校以外の国立・私立の中学校に進学する児童も多いため、受験に臨む児童に標準を合わせた指導も行うほか、さらに活用力(思考力・判断力・表現力等)の育成に重点がおいた指導がなされる。
「国語」や「社会」では、論理的思考やコミュニケーション能力を高められるよう、討論形式の授業が取り入れられている。また、新聞記事を教材にし、読んで考え、書いて発表する力を伸ばしていく。

「算数」の授業見学

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今日の単元は「倍と割合」。まず、5年生の時の復習から「割合」の意味について確認。単に計算の仕方を確認するのではなく、子どもたちがきちんとその意味を理解しているか、考え方をしっかり言葉で説明させる。自分が理解していることを他の人にわかるように説明することで、自分自身も確認し、次の段階に進む準備をする。 教科書の問題は、「バスケットのシュート数について、5年生では3試合で20本、6年生では3試合で50本入りました。5年生の時に比べて、6年生では何倍になりましたか?」というもの。丁寧に文章を読みながら、もとにする量(1と置くもの)はどちらか、計算式はどうなるのかと1つ1つを子どもたちに確認していく。子どもたちは積極的に手を上げて、元気に答える。先生が一方的に説明するのではなく、うまく子どもの中から答えを引き出すように授業が工夫されているのがわかる。
クラス全体を2人の先生が担当しているので、子どもたちの間を見て廻りながら、きちんと集中できているか、つまずいているところはないかと、確認しながら丁寧に授業が進んでいく。

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子どものすぐ側で、一人ひとりに声をかけている先生方の温かな表情が印象的だ。最後の15分は、プリントが配られ、各自が問題を解く時間にあてられた。来週の模擬テストに向けてと先生から声がかけられていたが、かなり応用力が必要とされる問題もあるようだ。先生方は様子を見ながら、子どもが自分で考え、解答にたどりつくことができるように、適宜ヒントを与えたりしている。個人差があることを理解した上で、個々が力を伸ばしていけるように配慮された授業の中で、子どもたちが受け身でなく、積極的に学習に取り組んでいることが伝わってきた。今日は、クラス一斉での授業だったが、子どもたちの様子を見たり、アンケートをとったりしながら、習熟度によって分けて授業をすることもあるという。少人数の良さを十分に生かし、きめ細かい指導がされているのを感じた。

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卒業後進学実績 一人ひとりが目指す未来をサポート! 日頃からの細やかな指導に加え、中学受験対策も充実

青山学院 麻布 浦和明の星 大妻中野 お茶の水女子大学付属
海城 開成 学習院女子中等科 神奈川大学附属 共立女子
慶応義塾普通部 駒場東邦 栄東 実践女子学園 品川女子学院
芝 芝浦工業大学付属 渋谷教育学園渋谷 渋谷教育学園幕張
秀光 十文字学園 秀明 頌栄女子 女子学院 女子美術大付属
聖光学院 成城 世田谷学園 千代田女学園 筑波大学付属駒場
桐蔭学園 東海大学付属浦安 東京女学館 東京都市大学付属
豊島岡女子学園 灘 西大和学園 文教大学付属 立教新座

同校では、内部推薦によって文教大学付属中学校に進学できる。3分の1は付属中学に進学するが、他校に進む児童も多いため、私立中学受験を視野に入れた進路指導にも力を入れている。5年生から、進路について個々の希望を聞き、保護者と相談しながら、指導の方針をたてていく。

学習面では、4~6年生は、週4日補習の時間を設け、受験問題対策の指導を行っている。また、先取り授業を実施(算数は6年の1学期、他の教科も2学期までに小学校範囲の学習を終了)し、6年後半では受験向けの教材を使った授業を行い、問題集やプリントなどに取り組み、個々の目的にあった学力向上を図る。志望校決定のための目安とするため、5年生では年3回、6年生では6回の模擬試験も行っている。

学校の様子が知りたいなら、10月10日(祝・水)に行われる学校説明会がおすすめ!
公開授業参観:午前8時50分~ 学校説明会:午前10時30分
※9月15日(土) 個別相談会 午後1時30分~午後3時00分 が追加されました。