初心者を全国大会へしゅつじょうさせる指導力

東京家政学院中学校・高等学校

長尾先生が東京家政学院中学校・高等学校へ来たのは30年前。当時は吹奏楽部がなく、楽器も数少ない中で17名の部員でのスタートだったという。それが10年間で100名の部員数に成長し、全国大会にはこれまで14年間で9回出場を果たし、在校生の1割が吹奏楽部だという。それだけの部員を集め、全国へ行くには上級者だけによる過酷な練習を行っているのかと思いがちであるが、練習は週4日、日曜日は隔週での練習で、9割が初心者だそうだ。

初心者9割をいかに全国レベルにまで伸ばすのか。長尾先生はこう言う。「子どもたちの潜在能力は無限で素晴らしい。教師の指導次第でいくらでも可能性の花を咲かせてくれる」大人は子どもの可能性を決めつけがちであるが、長尾先生のこうした子どもたちへの期待する力が初めて楽器に触るところから全国大会レベルの演奏へと導いているのだろう。

ただ、こういった成果を出すことができるようになるまで長尾先生ご自身にも葛藤はあったという。「生徒たちにとっては何を言うかではなく、誰が言うかが大事である。自分が話をして受け入れてもらえるようになるまで数年の時間がかかった」と長尾先生はふり返る。音楽という教科を指導するにあたり、客観的な指導法を勉強し、日本吹奏楽指導協会の認定指導者資格も取得した。教師としての勉強など様々な経験が現在の成果の裏側にはあったのだ。

吹奏楽部資料室
東京家政学院中学校・高等学校ホームページ

新しく校長として取り組みたい教育ビジョン

東京家政学院中学校・高等学校

そして来年度はいよいよ吹奏楽部顧問から校長へとなっていくにあたり、取り組みたいことも山のようにあるようだ。東京家政学院中学校・高等学校に足を運んだ方はお分かりかと思うが、同校は「ごきげんよう」の挨拶に始まり、先輩と後輩の関係が良く、アットホームな雰囲気の学校だ。それに加えて、長尾ビジョンでは、「もっと積極的で自分から問題解決のために行動できる人材を育てていきたい」というのがあるようだ。

まずは卒業生によるチューター制度。これは、吹奏楽部の指導で効果をあげた「誰が言うか」を、まさに進路指導の分野に活かす取り組みである。先輩から後輩へ進学のことなどを語ることで在校生の将来の目標を立てさせていく。大学生40名の登録があり、5月から始動予定だ。また、生徒の成績状況を教師全体で共有する体制も作る予定だ。それ以外に保護者と教師同士が交流を図れるイベントや地域の方を招いてのイベントなど様々な企画が構想としてある。

昨年3月、吹奏楽部の定期演奏会が、急きょ『震災チャリティーコンサート』として実施された。「長尾組」と書かれたTシャツに身を固めた生徒たちの、日頃の鍛錬を感じさせる演奏に、涙を流す保護者もいた。今後、新校長として東京家政学院中学校・高等学校で、どのようにタクトを振られていくのか、楽しみだ。

フリースペース和室
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受験生メッセージ

東京家政学院中学校・高等学校

最後に受験生へのメッセージをお願いした。
「中学受験をするにしても小学生のころから塾へかよい、必要以上の劣等感を感じてしまっている子どもたちが多い。子どもたちの可能性を信じ、受験も一つの目標としてチャレンジしてほしい。本校に入学していただいた際には、一人ひとりの個性を大切に、責任をもって育てていきたい」と意気込みと合わせて温かい笑顔で答えていただいた。

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