今回は、慶應義塾大学・法学部にAO入試(FIT入試)で現役合格を果たした、早稲田塾OG・谷中麻里衣さんにインタビューします。受験をゴールではなく通過点として、現在、大学生として勉学に励むかたわら、経済番組のキャスター、アカデミー賞レポーターとしてテレビ・雑誌等のメディアで活躍。2011年にはミス日本グランプリに輝き、国際舞台でも活動の場を広げている谷中さんに、高校時代を振り返りつつ、将来の展望を語っていただきました。インタビューを通して、AO入試で問われる“人間力”に迫ります。
父が慶應義塾大学・法学部のOBで、小さい頃から「大学は父と同じところにいく」と決めていました。早稲田塾に入ったのは、AOや論文の講座、他塾にはない英語カリキュラムに興味をもったことと、先輩の日本史のノートを見せていただいたことなどが決め手に。生徒のことを考え、詳細につくってあるプリントに「この講師のもとで勉強したい」と感じました。
AO受験をしたのは、チャンスは一回でも多いほうがいいと思っていたから。私が今まで頑張ってきたことがどう評価されるのか、ということにも興味がありました。父の仕事の関係で小学2年から6年までをアメリカで過ごし、帰国時の英語力は、当然、小学生レベルだったのですが、知人の言葉に触発され、中学2年で英検に、早稲田塾時代には、TOEICにも挑戦しました。(英検1級、TOEIC満点の990点を取得)
早稲田塾の「AO・推薦入試特別講座」慶應義塾大学 法学部FIT特化クラス※1では、常に、自分にできることの数ステップ上を求められる。難関大学に挑戦するからには当然のことなのですが、目標と自分のレベルとがかけ離れていても、講師やTA(ティーチングアシスタント)ほか、ネットワークでサポートしていただいたことによって、着実にステップアップができました。卒塾後に自身もTAとなり、教える側を経験して初めてわかったのが、スタッフは「どうしたら目の前の塾生が、第一志望に現役合格できるのか」を真剣に考え、一人ひとりに最善の教え方を模索しているのだということ。だからこそ、生徒が置いてきぼりにならない。「私もそういう指導を受けていたのだ」と改めて気づきました。
お互いに高めあえる友達の存在は貴重でした。早稲田塾がTIME社の協力のもと開催する、英文プレゼンテーション大会「TIME CUP」※2に参加した際には、出場者同士が客観的な視点で、スピーチを磨きあった。大勢の前で英文のスピーチをしたことは、大きな自信につながりました。
2008年には「スーパー エコノミクス プログラム(SEP)」※3が初開講。「あの竹中平蔵教授が指導!」と驚き、高3の初夏、受験を間近に控えながらも参加しました。郵政民営化について、担当大臣であった方から直接、政策の意図や経緯を伺えたのは大きい。「スゴイことをやり遂げる人は、これだけの覚悟をもち、努力をしなきゃいけないんだ、ただ頭がいいだけではダメなんだ」とリアルに感じられた。「SEP香港特別研修」にも参加し、経済特区などを視察。自分と同じ年なのに働きに出て、将来のために、夜は学校で勉強している中国の若者たち。頑張っているその姿に、かなりの刺激を受けました。
文章力や論理力などの土台は、すべて早稲田塾で培いました。とりわけディスカッション力が身についた。グループの中でどう話を進めていくべきか、相手を説得するために、どう相手の意見を聞いて自分の意見を言うべきか。大学でも、集団で話しあうときに役立っています。
ミス日本の審査では、「宝くじで1000万当たったらどのように使うか」という質問に「それは秘密にします」と答えたことに興味をもっていただけたようですが、それは、正直な気持ちを結論から答えたんです。人前で話すときには、相手に好かれようとか良い評価を得ようと、模範解答をしがち。けれど、思っていないことを言うと、そこを相手に突かれ、自分がどんどん崩れてしまう。塾のディスカッションで学んだことでした。最初に話の“核心”(自分の一番言いたいこと)からお答えしたのも、論文の授業でそうとう鍛えられたから、自然と出てしまった、というか(笑)。
現在までに、お天気キャスターやアカデミー賞の取材のほか、ミス日本として国際交流もしてきました。今後は、英語を生かしてオリンピックなどの取材に携われたら。報道キャスターへの憧れもあります。きっかけは、9.11米同時多発テロを現地で体験したこと。父がワールドトレードセンターの近くで勤務しており、帰りを待つ間、唯一の情報源がテレビだった。報道の重要性を痛切に感じました。
今は、将来を限定せず、どんどん新しいことに挑戦したい。何かを頑張って極めていくと、その分野に秀でている人と出会う機会も増え、国際的に勝負することになる。そこで活躍できるよう、英語力を磨いたり、時事や国際情勢にも通じていたい。メジャーに行った野球選手が、記者会見で堂々とカッコいいのは、たぶん、自分がやってきたことに対する絶対的な自信があるから。世界で活躍するために必要なものは「自信」。私も仕事を楽しみ、内面を磨きながら自信につなげたいです。
※1「AO・推薦入試特別講座」
AO入試・推薦入試で大学受験に挑戦する塾生のための講座。担当スタッフや講師陣、トレーナー、そして受講生同士のディスカッションを通して「将来象」を明確にし、それを表現する力を、多彩なプログラムで育てる。慶應義塾大学 法学部FIT特化クラスでは、同学部での入試で求められる、高いレベルでの「発信力」を育成。
※2「TIME CUP」
早稲田塾がTIME社の協力のもと開催する、英文プレゼンテーション大会。従来型のスピーチコンテストとは大きく異なり、「題材を理解し、自分の想いを伝え、人の心を動かす」という、本質的な言葉の力を獲得するためのもの。プレゼンテーションの研鑽を通じて、本物の英語力の向上を目指す。
※3「スーパープログラム」
先端的な科学技術や、現代の政治経済、国際社会などをテーマに、第一線で活躍する大学教授陣や有識者が、現役高校生を直接指導するプログラム。「スーパー エコノミクス プログラム(SEP)」は、竹中平蔵・慶應義塾大学教授が担当。「高校生による政策立案」を目標に、ものの見方や考え方、行動力を養う。