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学ぶ楽しさが、着実に学力を伸ばす -しなやかに強く! カトリック精神に基づき総合的な人間力を育成-

学ぶ楽しさが、着実に学力を伸ばす -しなやかに強く! カトリック精神に基づき総合的な人間力を育成-

小学校6年間は、将来の基礎をつくる上で非常に大切な時期である。あらゆることを柔軟に吸収していく時期だけに、その環境としての小学校の選びは、どちらのご家庭でも慎重になされていることと思う。

今回紹介する「聖セシリア小学校」はカトリック精神に基づき、知育、徳育、体育のバランスのとれた総合教育を行っている。同校の特色ある授業を見学させていただくとともに、服部啓明校長と各教科の担当の先生方にインタビューさせていただき、子どもの心を豊かに育みながら、学ぶ意欲を高める教育の根底にある先生方の思いに触れることができた。
進学においても、女子は聖セシリア中学校への推薦制度があること、男子は着実に有名私立中学への合格実績を上げていることも含め、同校の教育に注目していただければと思う。

聖セシリア小学校 公式HPはこちら

「信じ 希望し 愛深く」

心の支えとなる大切なキーワードに

お祈り

聖セシリア小学校の朝は、お祈りと聖歌から始まる。
服部啓明校長は「お祈りを毎朝繰り返し、6年間続けていくことの意味は大きい。大人になったとき、心の支えになってくれれば良いと思っています」と語る。

聖セシリア小学校の建学の精神「信じ、希望し、愛深く」は、聖書の中にある言葉であり、子ども達が毎日心の中に刻んでいく心の深いところを支えていく大切なキーワードになる。

様々な機会に卒業生の多くが、「この学校で私達は、本当に信じてもらえたし、愛してもらった。だから、いろいろなことを希望して自分の道を開いていくことができた」と語ってくれるという。
この言葉が、確かに聖セシリア小学校の卒業生達の心の支えになっていることを感じるエピソードである。

「楽しい!」から「わかった!」へ

学び合う姿勢を大切に、問題意識を持って取り組む

同校の教科教育の根底にあるのは、問題意識を持って取り組み、わかったときの喜びを感じさせることが、本当の学力につながるという考え方だ。まず楽しいという思いを経験させることを目指し、独自のカリキュラムが組まれている。取材当日は、水泳(4年生)、算数(応用、6年生)、英語(4年生)の授業を見学させていただいた。

◆水泳 4年生

聖セシリア小学校では、校内の温水プール(25m×6コースのプールと小プール)で、年間通して水泳の授業が行われている。3年生まではクラスごと、4年生からは学年ごとで、週1回授業がある。
指導しているのは体育専任の先生と水泳の先生。担任の先生は見学している生徒を含めた全体への目配りといった役割を担っている。ビート板を使ったバタ足練習、クロールの練習、背泳ぎの練習と、子ども達は整然と並んでコースを泳ぐ。子ども達の泳力は様々だが、先生はひとりひとりに声をかけ、指導している。

4年生の目標は、全員がクロールと背泳ぎで25m。夏は屋外のプールも使用し、水泳の授業が増えることもあり、夏過ぎには7~8割の生徒が目標を達成できるという。一見するとスイミングスクールの1コマのようだが、子ども達の明るい表情が印象的だ。
授業最後の自由に水遊びをする時間には、先生にまとわりつくようにして、遊んでもらっている子どもの姿も見られ、水泳の時間を楽しんでいる様子がうかがえる。

水泳の授業風景水泳の授業風景水泳の授業風景

水泳の指導について体育担当の野田真也先生は、「子ども達に泳げるという自信をつけさせてあげたい。技術ばかりにとらわれて、本当のおもしろさがわからなくならないように注意しています」と語る。
また、将来、手軽に体力を維持する手段として続けられる運動になるよう、水泳が身近なものになればという思いもある。
得意不得意はあるが、卒業するときに全く泳げない子はいないという。泳げる子には、その力をどんどん伸ばしてあげたいといい、4泳法で泳ぐことができるようになる子どもが7割以上にのぼる。
昨年度参加した神奈川県私立小学校水泳記録会でも、25mバタフライ・50m平泳ぎ・50m自由形・100m自由形・100mリレーの5種目で優勝している。

◆算数(応用) 6年生

算数の授業風景

折り紙を使った図形の授業が行われていた。
折り紙をまず斜めに折り、次にそれを直角に折る。開いて折り目の線にそって切る。1枚の折り紙が4枚のパーツに分かれることになる。「4つのパーツを元の正方形に戻してみよう!」というのが最初の問題だ。

正方形の特徴である4辺が同じ長さ、すべての角が直角ということは既習の内容。それを活用してできる問題だが、実際にやってみると大人でも難しい。

「できた人?」と先生が尋ねると、初めのうちは数人の児童しか手が挙がらない。手を動かして作業することで図形感覚を養おうというのがねらい。
半数以上の子ができるようになると、「どうしたらできるか、教えてあげて」と、できた子にみんなの前でやり方を説明させる。「隣同士で相談してもいいよ」と他の子と一緒に考える時間も持つ。

算数の授業風景
算数の授業風景

次は「4つのパーツを使って他にどんな図形ができるか?」という問題。これも既習の等積変形や線対称、点対称の考え方を応用しての授業展開。

まず、子ども達に予想させる。平行四辺形、台形、ひし形、五角形。出た意見を黒板に書いた後、実際に子ども達がそれぞれに作業する。考えるプロセスを大事にした授業だ。

算数担当の吉村智美先生は、算数(応用)の時間の目的として、「算数は高学年になるにしたがって苦手意識が出てきがちな教科。活動を通して算数のおもしろさに気づき、子ども達自身が発見し、学ぶ意欲を持ってほしい」と語る。

児童ひとりひとりを大切にしたいという思いから、生徒の発言を黒板に書き、そこに発言した児童のネームプレートを貼る。学び合う姿勢を大切にし、友達に自分の考えを説明する、その考えを理解するといったステップを踏む。

自分だけがわかればいいという姿勢でなく、他の人にわかるように説明することで表現力、思考力を育てていく授業だ。

◆英語 4年生

英語の授業風景

英語のあいさつで、テンポ良く授業が始まる。先生は日本語を一切使わず、子ども達はリズムにのるように先生が話す英語をまねて繰り返す。
英語の歌は、まず先生が歌詞を読み、それに続いて子ども達が読んだ後、歌を歌う。照れることもなく、みんなが本当に楽しそうに歌っている。

今日歌った「エーデルワイス」は音楽の授業でも歌った曲で、音楽ではカタカナで歌詞が書かれているという。それを英語の時間では、英語の発音としてきちんと教える。

「子ども達は日本語と英語の違いをおもしろく感じる時期でもあり、積極的に英語の発音をしてみようとする面もある」と担当の岩沢奈緒先生(アメリカで育ったバイリンガルの女性)は言う。

英語の授業風景

次は英語の早口言葉。先生の発音をまねて、子ども達が繰り返す。何度か繰り返した後、チャレンジしてくれる子を尋ねると、ひとりの男子児童が手を挙げて、早口言葉を発音する。残念ながら完璧ではないが、それを聞いても、誰も笑ったり、否定したりしない。そればかりか、次々に多くの生徒が元気に手を挙げ、みんなの前で早口言葉を披露する。他人の発言を否定したりしない雰囲気があるからこそ、子ども達は元気に手を挙げることができるのだろう。

黒板に絵やカードを貼って状況の設定をし、生徒と先生の間で英語での会話がなされる。
ユーモアのある設定に、子ども達から笑い声があがる。とはいってもレベルは高く、おそらく普通の中学生が勉強しているのと同程度の会話が飛び交う。その中で「always=100%」「usually=80%」「sometimes=40%」「never=0%」といったカードも用意され、使い分けも示される。子ども達を自然に会話にのせ、わかりやすく伝える授業の工夫に感心させられた。

英語の授業風景

生徒の使っているテキストはとてもカラフルだ。
実際にイギリスやアメリカで使用されているテキストを用いているという。今日は「G」のつく単語を絵の中から探すというページ。garden、girl、gate、green ball、gloves…。
子どもの口から次々に単語が出てきて、その語彙の多さに驚かされる。1年生からの英語の授業の中で、自然に覚えてきた単語だという。

英語の授業について岩沢先生は、
「英語を楽しいと思ってほしい。ひとつひとつの単語の意味を教えるのでなく、状況設定をして流れの中で、子どもが英語表現を理解できるように工夫しています」と語る。

小学校の段階では、意味を十分に理解するというよりも、英語を楽しいと思ってくれるように進めているという。
子ども達が先生の発音をまね、元気よく英語を発音している様子を見ると、その思いが十分に伝わっているのを感じる。

確かな学力を育む少人数、専科制

学校生活を存分に楽しむとともに、「本物の学習力」も育む

同校では、子どもが教師とコミュニケーションを取りやすく、学習しやすい環境として少人数制(1クラス30名程度)がとられている。また、音楽・図工・体育・英語・宗教は1年生、理科・社会は3年生、国語・算数は5年生から専科制による授業が行われている。きめ細かな指導の中で、子ども達は着実に学力を身につけているようだ。

男子は私立中学校を受験するが、神奈川、東京のカトリック校を中心に難関校に合格する児童も多い。また、女子のほとんどは学校長から推薦を受け、聖セシリア女子中学校へ進学する。

男子生徒の割合は少ないが、縦のつながりが強い。学年間の隔たりなく、一緒に遊び、まるで兄弟のような関係。上級生は、よく下級生の面倒を見るし、低学年の子ども達の中には、休み時間に上級生が校庭に出てきて遊んでくれるのを楽しみにする子も多いという。

「荒々しくはないが、弱々しくはない」と男子児童を評するのは体育担当の野田先生。サッカーの試合などでも、決してラフなプレーはせずフェアプレー。けれども気持ちで負けることはない。少人数ながら、神奈川県の小学校のサッカー大会でも上位入賞することが多いという。「男女問わず、しなやかに強い!」という校長の言葉に、先生方がみな大きくうなずく。

小学校を受験される保護者へのメッセージ

小学校を受験される保護者の方に、先生方からメッセージをいただいた。

服部校長は、「ひとりひとりを大事にお育てし、子ども達に本当の意味で幸せになってほしいと考えています。幸せな人づくりということを考え続けてきた学校です」と語る。
「体育の中で、できない子がいても、先生よりも早く励ましの言葉をかけるような子ども達を育てる校風が魅力」と野田先生。
吉村先生は、「ひとりひとりを大切に育てたいという思いを持ってやっています。思いやりがあって優しい子ども達が多いと感じますね」と。岩沢先生もまた、「まわりの人を大切にする子どもが育つ学校だと思っています」と言う。

授業の中で間違った発言をする子がいても、それを否定するのではなく、その子を理解しようとする。心豊かな優しい子どもが育つ学校というのが先生方の共通認識だ。
そういう子どもに育ってほしいと願う保護者の方々はぜひ、学校見学会、学校説明会等の機会に、聖セシリア小学校に足を運んでいただければと思う。