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Z会東大マスターコース 海城中学校・海城高等学校 教頭インタビュー

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海城の建学精神とは

建学の精神から、現代社会のニーズに応える人間の育成に向けて

リベラルでフェアな精神を持った「新しい紳士」の育成

海城中学・高等学校は、「国家・社会に有為な人材を育成する」という建学の精神のもと、現在はリベラルでフェアな精神を持った「新しい紳士」の育成に取り組んでいます。

本校は、1991年に創立100周年を迎え、翌年の1992年、新しい世紀の始まりを「改革元年」と位置付け、「もう一度建学の精神に立ち戻ろう」「初心に帰ろう」という考えのもと、教育改革を始めました。新しい時代に適応できる文字通り「国家・社会に有為な人材を育成」したいと考えたわけです。

我々は、時代が求める有為な人材とは「人間力と学力のバランスのとれた人間」だと考えました。しかも、ここで言う「人間力」「学力」は新しい時代が要請する「新しい人間力」「新しい学力」でなくてはなりません。

新しい人間力とは?

グローバル化した社会で求められるコミュニケーション能力、コラボレーション力

我々が生きる新しい時代は、人や物、資本、情報が国境を越えて行き交うグローバル化した社会です。
国内においても、高度成長期を過ぎ社会が成熟化するのに伴い、人々の価値観が多様化してきました。
こうした多文化共生の中で必要とされるのは、対話的、ダイアローグ的なコミュニケーションの能力です。

同時に、もうひとつの大切な要件は、協働、コラボレーションの力です。
同質の者同士が集まると、以心伝心でわかり合うことができ、事がスムーズに運びます。その点で言うと異質であることは一見マイナスに思えます。しかし、異質なもの同士がともに互いの良いところを引き出し合い、それらを上手く組み合わせれば、1+1+1は4にも5にも成りえます。

こうした創発やシナジー効果を可能にするコラボレーションの力が、時代が求める新しい人間力の第二要件であると考えます。

新しい学力とは?

自ら課題設定し、調査、熟考、価値判断をし、表現するクリティカル・シンキングの力

従来型の学力は、知識を獲得し、正確に速くアウトプットする記憶系の力であり、それを養う学習形態として教科書で覚える系統学習が重視されました。
しかし、グローバル化し複雑化した社会では、問題の正解は必ずしも自明ではなく、複雑な問題を解決していく能力が求められ、探求型の総合学習、アクティブラーニング、共同学習といった学習・授業形態が出てきたわけです。

我々はそうした能力のことを仮に「クリティカル・シンキングの力」と呼び、新しい学力の中心に位置付けています。

授業での実践

新しい人間力を培うために

体験学習を通して、コミュニケーション力、人間関係力を育んでいく

本校では、中学1・2年で、アメリカで開発されたPA(プロジェクトアドベンチャー)という体験プログラムを実施しています。仲間とともに、身体を動かして課題を含むアクティビティにのぞむ中で、コミュニケーション力、コラボレーションの力を身につけていこうというものです。

課題に取り組む中で、子ども達は互いに協力し、それぞれの存在に意味があること、また、人間が勇気を持って何かにチャレンジするときは、必ず仲間のサポートが必要であり、信頼があってこそ、果敢に挑んでいけるということを学んでいきます。最後に必ず振り返りを行い、相互の信頼に基づいた自分たちのルールを作ることも重視しています。

DE(ドラマエデュケーション)という、演劇の手法を利用したコミュニケーション能力向上のための体験学習も取り入れています。
例えば、小説の中の複数の場面を演じて、静止画としてデジタルカメラで撮り、互いに批評することで、登場人物の内面を感じ取ったり、人と人との距離や人の視線の意味を身をもって理解していくといったものです。

こうした取り組みは、昨年今年と2年続けて文部科学省が実施する「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」に採択されています。

こうした体験学習に取り組む以前の学校改革の段階においては、生徒会を中心とした学校行事、クラブ活動を整備・活性化する中で、コミュニケーション力、人間力を養うことを考えてきました。
ところが、この第一段階の10年あまりの間で、子ども達のコミュニケーション能力が極端に衰えていきました。
たとえば、体育祭での応援合戦のために、各学年の生徒を集めて応援の練習をする時間を与えれば、自然にできた。
しかし、10年前くらいからは、いつまでたっても学年間で打ち解けることが出来ず、一緒にやろうということになっていかない状況が生じました。他学年、異質な者と関わることができない。そのため、試行錯誤の末、PA、DEといった体験学習を導入することになったのです。

新しい学力を培うために

社会科総合学習、理科の実験を中心とした生徒参加型学習

新しい学力の養成という面では、社会科の総合的学習、探求型の総合学習に、文科省が提唱するより早くから取り組み、成功させてきています。

中1~中3まで週2時間、課題を設定して必ず取材に行かせ、文献等を調べ、自分の頭で考え、ディスカッションをし、最後に価値評価してレポートにまとめさせる授業を行っています。
中1の最初には、取材のために大人の職場にアポイントをとる電話のかけ方から指導し、取材にもひとりで行く。大変な勇気が必要になりますが、必ず行います。自分が関心を持った問題に、実際に大人が現場でどんな苦労をしているかを知ることは、将来の仕事を考える重要なきっかけにもなり、キャリア教育にもつながっていくからです。

中2の終わりの時点で、卒論のテーマを自分で設定し、中3では30~50枚の卒業論文を各自執筆し、年度末に論文発表会を行います。これらの論文は社会的にも高い評価を得ていて、大手メディアでも多く取り上げられています。

生徒達の論文のテーマは「2学期制導入について学校は何をすべきか?」「マクドナルドの商業戦略」「保育環境~理想の保育園とは」「地方議会における議会ウォッチング活動」…と様々ですが、必ずいくつかの役所、企業、病院、弁護士事務所などへ取材し、論文は章・節仕立てで、末尾には参考文献、キャプション等もつけたしっかりとした形式のものとして書き上げます。

また、理科では生徒参加型学習への取り組みとして、中学生の化学では20回もの実験が行われます。生物では豚の眼の解剖、ウニの生殖を調べるといったかなり高度な実験が実施されますし、物理ではコンピュータ制御のロボットの作成なども行っています。

2011年度からの制度変更・大学入試に向けて

現役合格に向けたカリキュラムの再編とグローバル人材の育成

完全中高一貫化、帰国生教育

学校を囲む競争的環境は、厳しくなってきています。
大学全入化の時代を迎え、浪人生の数が減る中、現役生をターゲットにして、予備校の現役校化が起こってきている。
都立高校の改革もあり、公立高校が大学入試実績を上げてくる。
その中で、私立高校が自分達の存在を示すためには、現役で合格させないとなかなか評価されない。

そうした中で本校も、カリキュラムの再編をしなければならないということで、今年の入試から高校募集を停止し、完全中高一貫化してカリキュラムの能率化・効率化を高め、現役合格をねらうという形になってきました。

けれども、我々がこの20年間取り組んできた人間力を高めて社会で有為な人材を輩出していくという流れはより促進していかなければならない。そこで、グローバル人材を育成する学習環境を設定するべく、今年度から、海外で貴重な生活体験、学習体験をしてきた子ども達を中学で一学年30人受け入れることにしました。

本校としては、あくまで進学校としてインターナショナルスクールでもなく、アイビー認定校でもない第三の道を進みながら、グローバル人材の育成を果たしていきたいと考えています。

高いレベルの医学部講習

深い問題意識、使命感をもって医学部へ進学

本校では、毎年、国公立大の医学部に30~40名、私立大学の医学部には70~80人が合格しています。
高校2年~3年生の医学部志望の生徒に対して行っている、放課後の医学部講習は、かなりレベルの高いことをやっているという自負があります。様々な医療問題や医師のコミュニケーション能力のなさといった問題に対して、医学部ほど真摯に取り組み、入試において論文入試、面接を行ってきている学部は他にはありません。
そういうことを逆手にとって、「本当に医師になるとはどういうことなのか?」「地域医療にはどんな問題があるのか?」といったことについて、かなり深く踏み込んだ授業をやっています。

テーマが非常に専門科していますので、総合的なスタッフで対応しています(昨年の例では、社会科2人、理科1人 国語2人の教員でのチームティーチング)。最新医療のIPS細胞、ES細胞の違い、問題点といったことになれば、生物の先生になるし、地域医療におけるプライマリーケアと二次医療機関、三次医療機関の間における問題点とはといったら、社会科の教員がある程度解説しないとわかりませんよね。さらに、それを表現するとなると、国語の教員が指導していかなければならないということになります。

1年間、これに取り組んで医学部を目指す生徒は、かなり深い問題意識、使命感を持って、医学部に進んでいきます。単に医学部に入ればいいというような子ども達は育てていないという自負があります。医学部に進ませる以上は、社会に貢献できるような医師の卵を送り出したいという思いが強いですね。
海城では、ただ大学受験を指導しているだけではないということが、おわかりいただけると思います。

2011年度Z会東大マスターコース学校別在籍者数

学校名人数
開成 284
麻布 252
海城 217
女子学院 184
筑波大附属 182
豊島岡女子 180
早稲田 176
白百合学園 167
桜蔭 156
雙葉 134
筑波大駒場 132
学校名人数
駒場東邦 117
攻玉社 107
光塩女子学院 101
頌栄女子学院 99
私立城北 99
私立武蔵 94
93
暁星 89
フェリス女学院 87
浅野 86
横浜雙葉 85

※中1生~受験生までの合計在籍者数です。(抜粋)