開校3年目!大学付属のメリットを生かし、広大なフィールドで行う独自の“体験型学習”

 

i n t e r - e d u’s e y e

学校独自に展開される特色ある教育は、子どもを私立中学に通学させるメリットのひとつであろう。
子どもから大人に成長する過渡期、多感な中学・高校生時代に経験したことは、将来に大きな影響を与えるに違いない。

日本大学藤沢中学校は、湘南の豊かな自然の中、日本大学生物資源科学部に隣接した素晴らしい環境にある。
文字通り“大学水準”の施設がズラリと並ぶ。同校では、大学と連携できる利点を生かした独自の学習活動として、大規模なフィールドワーク(体験学習)が行われている。開校以来、入学者が増えている当校。そこで行われている独自の教育がどのようなものか、様子を取材させていただいた。

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大学付属ならでは!関東一のフィールドがある中学校

土に触れ、自分で育てた野菜を家に帰って食べる喜びと学習効果日本大学藤沢中学校は、日本大学生物資源科学部に隣接する場所にある。広大な畑で作物を育て、畜舎で牛や豚を飼育、研究をしている大学校舎がそろう。これだけのフィールドを持ち、本格的な農地や畜舎を持っている学校は関東では日本大学生物資源科学部だけしかない。日本大学藤沢中学校では、この環境を生かし、大学の農場や施設を借りて、野菜を育てたり、豚や牛をソーセージに加工したりするなどのフィールドワーク(体験学習)を授業で行っている。

今年の1年生は134人(4クラス)。中学生用の敷地は1500㎡。フィールドワークの授業は学年全体で一緒に行う。1班13~14人のクラスの枠を超えた班編成で、いろいろな子と交流できるようにしているという。各班にはそれぞれ2~3名の大学生がアシスタントとしてつき、活動をサポートする。

今日の活動の中心はサツマイモの植えつけだ。
根の中でも土の表面に近い部分にイモが多くできるので、根の部分をU字にカーブさせたような形で植えることで、地表に近い部分を多くする船底植えという植え方をする、といった説明が先生からなされる。
植物としての特性を理解した上で作業することで、頭で知っていただけの理科の知識が実践と結びつき、より深い学習につながるに違いない。

くわなどの農具を使う際は、ケガのないように大学生が使い方について注意し、目を配ることも怠らない。大学生に質問する子も多く、広い空の下、のびのびとした明るい表情が輝く。

サツマイモ以外にも、トマト、里芋、ピーマン、ナス、ジャガイモなど様々な野菜を育てる。
収穫された野菜は、かなりの量で、小柄な1年生とっては、持ち帰るのが大変に思えるほどの重さになるという。

家に持ち帰って、自分達が育てた野菜を家族とともに食べるときは、どんな会話がされるのだろう。楽しそうな食卓の風景が目に浮かぶようだ。

日大藤沢が第一志望!一番の魅力は、フィールドワーク!

授業後の中学1年生インタビュー畑での作業が終わった中学1年生にフィールドワークについて尋ねると「あまり経験することのない作物を育てる体験ができるのがうれしい」「家庭菜園とは違い、みんなで一緒に作物を育てるのは楽しい」「成長する作物を見るのは楽しい」と口々にその楽しさを語ってくれた。

中学1年生では、フィールドワークの時間が週1回あり、毎週、作物の成長を見ることができる。1週間前に植えたナスに小さな実ができているのを見て、歓声を上げる子もいた。

大学生の先輩方にいろいろと教えてもらえることについても喜んでいて、次のような声が返ってきた。
「大学生が親切に教えてくれるのがうれしい」「大学生は優しく教えてくれるし、おもしろい!」
インタビューをした4人は、入学以前に学校を訪れた時からフィールドワークに興味を持っており、全員が第一志望だったという。「きれいな校舎や設備が整った広々とした環境で、のびのびと過ごせそう」「他ではできない農業体験ができる」と、同校を志望したきっかけを語ってくれた。

フィールドワークを指導されている岩永先生(日本大学生物資源科学部、技手)は、活動の目的について、「実際に自分達で作った野菜を食べるという貴重な経験に加え、普段は接点がない中学生と大学生が関わる場になればと考えた」と語られる。アシスタントの大学生の中でも「中学生といっしょに活動するのは楽しく、コミュニケーションの取り方や教え方など工夫が必要で、自分にとっても勉強になる」と話してくれたのは、教員志望だという国際地域開発学科4年の男子学生。
大学の方でも畑で作物を育てており、そちらでの失敗が中学生の畑での作物栽培の成功につながることも多いという。
植物資源科学科4年の女子学生は「みんなが一生懸命やっているのを見ると楽しく、野菜に興味を持って、いろいろ質問してくれるのはうれしい」と話す。

大学側では、中学生に向けてフィールドワーク体験前後の意識の違い等をアンケート調査し、自分で育てたことによって、今まで嫌いだった野菜が食べられるようになったという声もあるという。自分達で汗を流し、育てた野菜のおいしさは格別に違いない。

“命”をいただく意味を理解。2年時はソーセージ作りに挑戦

自然と人間との関わり、命を支える食について学び考える日大藤沢中学校の1期生は、今年中学3年生となった。畑以外にも、2年時は畜産の実習や食品加工センターでのソーセージ作りの実習も行う。

豚の世話をした経験について、女子生徒は印象に残っているのは、子豚の歯やしっぽを実際に切ったことだという。
仲間同士で噛み合ったりしないように歯を切り、自分のしっぽを食べたりしないようにしっぽを短くするのだそうだ。大学の先生の指導のもとで行ったというが、「実際に切るときは緊張しました」と話してくれた。

こうした経験をする中学生は多くないだろうし、豚を育てる時、歯やしっぽを切るといったことを知る人も少ないに違いない。貴重な経験だ。

2年時の冬には豚を解体し、ソーセージを作る。男子生徒は「豚の飼育に携わっているとき、この豚もいつかは解体され、食べられてしまうのだろう…」と感じることもあったという。

感じ方、とらえ方は生徒によって様々だろうが、自分達が実際に食べる物が、どのように作られ、食卓に並ぶのか、体験を通じて学ぶことの意味は大きい。
自然と人間の関わりや命について、深く考えるチャンスにもなったようだ。

他にも当校では広い敷地内でのトラクターの運転も体験授業の一環として行っているそうだ。

来年度にはさらに新校舎も完成し、より整った環境の中での学校生活が期待される。 日本大学藤沢中学校の魅力を生き生きと語ってくれた中学生の皆さんは、受験生に向けて、「受験勉強は大変だけど、中学に入ると小学生の時とは違った経験がたくさんできるので、がんばってほしい!」「将来の夢や可能性が広がるので、ぜひ入学してほしい!」とメッセージを送ってくれた。

記事を通じて日大藤沢中学校の魅力の一端を知っていただければ幸いだが、今後行われる文化祭やオープンスクールなどの機会に、ぜひ学校を訪れ、素晴らしい環境を直に感じていただきたい。