まずは塾を選ぶ理由について考えてみましょう。
①講師 ②環境 ③情報 ④相談 ⑤実績 ⑥距離 ⑦月謝
などに大きく分類されるのではないでしょうか?
このうちポイントになることを確認します。

まずは⑦の月謝。
パンフレットやチラシを見て、この塾は月謝が高い・安いと比較するのが親です。
特に世界同時不況が起きてからは家計費は苦しくなり、教育費にも影響が出ているのは明らかです。通塾開始時期は明らかに遅れています。
また、全国88校を数える公立中高一貫校の人気は留まるところを知らず、千葉中のように倍率20倍を超える学校も珍しくありません。
でも、待ってください。別の視点で見てほしいのです。
現在日本全国で学習塾のダンピング戦争が起きています。「0円戦争」「月謝3000円」「年間授業料10万円」なんて言葉が飛び交っています。
さて、自宅の近くに月謝3000円の中学受験塾ができたら、すぐに転塾しますか?
答えはおそらくNOでしょう。「条件次第」「調べてから」「まずは体験させる」というご家庭さえも少ないと推測します。
結局「月謝」は塾を決める大きな要素ではないと思うのです。(確かに高い買い物ですから、よく調べるし慎重にはなりますが、決定打ではないということです。)
月謝が高くても「よくやってくれる塾」なら家計費を捻出する価値がありますよね。
ちなみに私の感覚では「時間単価1000円~1200円」が平均的な月謝という感覚があります。SAPIX・四谷・早稲アカなどはこの範囲内です。日能研は安い。
お暇な時に、お通いの塾の月謝を月間指導時間で割ってみてください。

次に⑤の実績。
あなたの志望校に100名以上合格させている塾があるとします。でも実は入試応援の様子を見ていると、その3倍以上の受験生を送り込んでいる。入試会場で先生たちは子どもたちと握手をしているが、誰が誰だかわかっていない。
一方でたった3名しか受からせていない塾。でもその塾は受験させたのが6人。入試でも塾の皆が集まるまで会場の隅っこに集まり、談笑している。全員が集まったところで円陣を組み、気持を高めていざ出陣!
どちらの塾がいい塾なのか、答えはありません。
でも数字に振り回されてはいけない!
例えばSAPIXの合格実績には大きな数字の魅力(魔力?)がありあます。
でも、我が子を合格させてくれる確率が高いこととはイコールではないのです。
人間は不思議ですね。
「当たる確率が1割のクジ」と聞けばきっと自分は外れる(残りの9割になる)と思い、「成人の1割がかかる病気」と聞けば自分かも知れない(1割になる)と不安になる。数字は人間を惑わせる魔力を持っています。
参考までに1教室から御三家に合格させる人数は(アバウトな概数で言うと)
SAPIX28名、日能研3名、早稲アカ3名、市進0.5名、栄光0.1名くらいです。
それを見るとSAPIX恐るべしですね。
でも、塾全体の実績と我が子の合否はそのままリンクはしない。
要は数字を冷静に分析するということです。振り回されるなということです。
(私はこの文章でSAPIXを否定するつもりは全くありません。誤解のないように。)


最後に①の講師。
よく「早稲アカの先生は…」とか「日能研の教え方は…」とか言います。
これって、違うんです!!

塾の先生は結構他塾に移る。思っているより移る。独立も多い。
かく言う私もルームに書いてある通り、いくつかの塾で勤務してきました。赤羽にあった偏差値20台~30台の子が多かった塾⇒板橋区の塾⇒早稲アカという流れです。
でも実は早稲アカに移る前にSAPIXから内定を頂き、数日間体験勤務したのです。
ある理由があって辞退させて頂きましたが、その時SAPIXと契約していたら、今頃私は「SAPIXのおざポン」なのです。
カリキュラムは存在するし、最低限の研修は会社がしますから社風はある程度身につけさせられます。
でも、(頭では理解はしていても)心が理解していない講師が多い。
結局その塾が掲げている教育理念とは全く別の“個人の考え”で動いている講師が多いのです。そう、最後の最後は先生個人なのです。

先生の力量は「愛」で決まります。愛がない人は合格させることはできません。
動いてくれないんですよ、どんなにお願いしても!
ご家庭のために全く動かないふんぞり返った講師が「オレはこんな実績がある」とうそぶいていることがありますが、彼は「入試は4科で決まる」ことを理解していないのです。
別にあなたの力で合格したとは限らないでしょ?って言ってやりたいですよね。

皆さんもご指摘の通り、講師に求められるのは「合格という結果」だけはありません。
むしろ
「合格するためにしてくれる動き」なのです。


【よい講師の条件】
①夢を語る。「この子をこうしたい!」「この教室をこうしたい!」
②自分の科目だけで合否を占わない。
③こちらの言ったことに対し、とにかく動いてくれる。
④5W1Hで“約束”してくれる。

この章のイイタイコト。
塾の看板と講師の質は違うと考えよ!

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さて、お題の「どんなときに塾を替えるか?」です。
ゴールから逆算して考えましょう。

●いい受験だったね、と我が子に心から言える受験がしたい。
 
●そのためには“後悔”が残らないようにしたい。

●不満・不安をいつでも聞き入れてくれ、動いてくれる塾であってほしい。

●現状から判断すると、今の塾はこの先そう動いてくれるかしら?

(私だったら上のように逆算します。皆さんなりにアレンジして考えてください。)
塾替えには大きな負担がかかります。
ストレスが大きくなるだけでなく、先生との相性や友人関係などの心配もあります。
金銭的にも少なからず負担がかかるでしょう。
一番のリスクはカリキュラムですよね。
違う路線の塾に移る場合は既習・未習部分が全く異なります。
転塾を3度、4度と繰り返せば、子どもはカリキュラムの溝に埋もれ、受験の犠牲者になっていくかも知れません。
だから、転塾はよっぽどの事がなければしたくない。
もう一度同じことを言います。
塾を選んだ時、①講師②環境③情報④相談⑤実績⑥距離⑦月謝など、様々な要素を考慮し、決定したことでしょう。

でも現状は“期待”が“不安・不満”に変わりつつある。

私の結論はひとつ。
この先、塾は我が子のために動いて動いてくれるか否かで判断するという結論です。
いま悩んでいる方は、安易に他塾のパンフレットを集めたり、お知り合いに口コミ情報を聞く前に、ぜひ上記の観点で現在の塾を見つめてください。

最後に私がよく講師研修で言う言葉を。
面倒臭いことを言う親は、一生懸命な親である。

それを排除するのはプロではない。誠心誠意対応せよ!