初めて名前を聞かれた時は驚かれたかもしれない。普連土(ふれんど)学園中学校・高等学校は、キリスト教フレンド派の精神を基本方針に建てられた120年以上の伝統を持つ学校だ。インターエデュの掲示板にも「フレンド派とは?」「クエーカー教は普通のキリスト教と違うの?」という書き込みも多くみられる。そこでインターエデュでは普連土学園の浜野校長と生徒さんに取材をお願いし、学園の様子に迫ってみた。
東京タワーが見え、最寄りの田町駅には慶応義塾大学三田キャンパスの学生や品川・浜松町からのビジネスマンが集う場所に立地する普連土学園中学校・高等学校。駅前のにぎやかさとは一転、学園内は木を基調とした落ち着きある校舎となっている。まずは今年、校長に就任された浜野能男先生にインタビューをお願いした。
インターエデュ(以下エデュ):普連土学園で基本方針とされているフレンド派とはどのような宗教的特色を持つのでしょうか?
浜野校長(以下校長):17世紀の半ばにイギリスで始まった宗教で、クエーカーとも呼ばれています。十字架やイエス像がなく全世界で160万人、日本には160人しか信者はいない宗派です。沈黙の内にお祈りをすることを大切にし、すべて人は平等で「神の種」「内なる光」を持っているということを信じることが特徴です。
エデュ:学校生活の中ではフレンド派にちなんだ取り組みがあるのでしょうか?
校長:学校では朝の礼拝から学校生活が始まります。週1回が沈黙の礼拝、週4回がお話の礼拝です。お話の礼拝では20分間の中で自分が日頃考え感じたことを話します。話ができるというのは、聞いている側に対する信頼感があってこそ。「仲がよく、アットホーム」な雰囲気の学校はここから出来上がっています。
エデュ:礼拝以外にも宗教行事はあるのですか?
校長:他には「宗教講演」として、ゲストを招いてお話を聞く機会など設けています。これはさまざまな分野の方にお話を伺います。最近では看護学専門の方を招いて小さいうちに亡くなってしまう子どもの看護の話を聞きました。他にも奉仕活動などを通して思いやりの心を育てる取り組みなどを行っています。
エデュ:心の面を育てる一方、進学のための指導についてはどのような取り組みをなされているのでしょうか?
校長:人間教育と進学は両立できないものと考えられる方もいらっしゃるようですが、一人ひとりにはタレント(能力)にもとづいた可能性が与えられています。ですから、それを育み開花させる手助けをするのは大切なことと私たちは考えています。その土台作りとして中学生のうちから「SFSプロジェクト」と言って「進路設計プログラム」を組んでいます。
エデュ:「SFSプロジェクト」とはどのようなものなのでしょうか?
校長:「SFS」とは「Self Family Society」。Familyが中に入っていることが特徴です。中学生では自分のご両親の13歳の時の夢を取材したり、自分のルーツを探って作文を書いたり、保護者の方の職場へ訪問したりしています。普連土学園では「家族」とよく話しあえる土台があってこそ、その先の進学へとつながるような段階を踏んでいます。高校2年生からは選択科目を取り入れ、個々の進路を実現しています。
エデュ:生徒はどのようにして大学入試に向けて準備していますか?
校長:昨年度の統計では生徒一人あたり高校3年生では、週、平均で2.5講座学校の補習を利用しています。夏期には4.8講座、受講しており、学校の授業と補習を中心に学習していることが分かります。
エデュ:保護者の方からの評価なども気になるところですが…。
校長:普連土学園でも外部評価制度を取り入れ、保護者の方からの評価を受けております。その中でも「情操教育や宗教教育を大切にしてほしい」という回答が「進学指導」と同じくらい高いことが分かりました。またその成果についても8割の保護者の方から「奉仕や思いやりの心が育った」と回答をいただいたことも嬉しいことでした。
エデュ:浜野校長、ありがとうございました。続いて生徒さんにもメッセージをいただきます。
初めて学校に来た時に在校生の温かさがいいなと思いました。友だちもたくさんできて、充実した学校生活が過ごせます。「奉仕の時間」に身体障害者のことを学べたことがとてもよかったです。ぜひ、一度、学校に来てみてください。 |
最初は「沈黙の礼拝20分に耐えられるかな…」なんて思ってたこともありましたが、今ではテストの時も静かな時をもって心を落ち着かせてから取り組むようにしています。英語の授業も少人数で楽しいです。 |
朝が早いのが想定外(笑)でしたが、がんばって登校するだけの価値ある学校だと思います。中学受験は一生に1回しかないので、後悔のないようにがんばってください。私も「学校体験日」にきて、この学校のよさを知りました。一度、来てみて雰囲気を感じてください。 |
普連土学園は、入試問題も独特です。難しいと感じるかもしれないですが、最後まであきらめずに問題に取り組めば、必ず先生方はその意欲を感じてくれる学校です。がんばって普連土学園に入学して、一緒に学園生活を楽しみましょう。 |
取材協力・資料提供:普連土学園中学校・高等学校
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