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応用問題が解けないという状況は同じでも、その理由は様々です。基礎力は万全なのに応用問題を解く力が弱い、ということはもちろん可能性としてはあります。しかし、私が見たところ「基礎力があるように見えて、実は理解が浅く、基礎も万全には仕上がっていないケース」が少なくありません。 例えば、11月の模試で偏差値が40~45程度の子が2名いたとします。それぞれ、偏差値60以上の学校を目指している子で、塾では当然そのレベルのクラスには所属できずにいました。二人とも、第一志望の学校があきらめきれずに、何とか最後まで頑張りたいとおっしゃっていましたので、合格に必要な学力を養えるようなプログラムを組み対策を取ることになりました。最初は模試の結果だけを見てある程度の学力を測りますが、この2名は見事に同じところを間違えていました。これだけを見れば同じ対策を取ってしまいますが、実はこれが間違いなのです。 一人は、間違えている応用問題を解く力がまだ弱いという状況でした。志望校に出る応用問題を一緒に細かいところまで丁寧に確認することで、応用問題を解く力を引き上げていきました。一方、もう一人の子は実は基礎がボロボロだったのです。正解している問題も、ほとんど問題ごと覚えているような状態で、「なぜ、この図を書くのか」といった理解までは及んでいませんでした。こういう状態で、応用問題をいくら解いても、学力は伸びません。そこで、時間はかかりますが、再度基礎からやり直しをすることになったのです。 深い理解を得るためには、自分自身の脳を一度くぐらせる必要があります。「何で、この場合はこの図を使うのか?」を人に説明してみたり、図でまとめたりすることで達成できます(これを「再構成」と言います)。これを入試に出る単元で徹底的に行ったのです。最終的には、両名とも合格を勝ち取ることができました。このように、伸び悩んでいる原因を正しく見抜き、対策を打つことが大切なのです。 |
先ほども述べましたが、まずは一つ一つの解法に対して深い理解を得ること。そのために、習った問題を自力で解いたりまとめたりといった作業が必要となります。その後、それを何度も反復することによって記憶に定着させて、いつでも使えるように整えます。さらに、その解法を使う別の問題(応用問題)を数多く解いていくことで、よりその解法のことを深く理解することができるようになります。そうした理解を「応用的理解」と呼んでいます。 今の時期にやるべきことは、この応用的理解を試験に出るあらゆる単元において養うことです。そのためには、応用問題の中でも頻出問題を数多く解いていくことが必要です。ですから、宿題として多くの問題を解かせて、その中で理解を深めさせようとしているわけです。ただし、ただ数多く解けば良いわけではありません。 すべての応用問題は基礎理論の組合せで構成されているので「この問題は何がわかっていれば解けるのか?」を一問ごとに丁寧に確認する作業が不可欠になります。ここを雑にやってしまうと理解は深まらないのです。塾側も夜中遅くまで勉強させたくて宿題を出しているわけではなく、単純にその応用問題を解くには学力が足りていないために、一問にかかる時間が倍以上になっているというのが実態です。 そこで、小学生という成長期において夜更かしするデメリットを考えると、自律神経やホルモンバランスが崩れ、次の日の学習に大きな影響が出てしまいますから、基本的には0:00には就寝できるように取り組む問題量を絞り、その代わりに一問から得られることを深く理解させ、量の学習から質の学習への移行するのが良いでしょう。 |