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中学受験をとおして子どもを伸ばしていく方法


中学受験をとおして子どもを伸ばしていく方法

今の子どもたちに失われた自尊感情を高める機会

インターエデュ(以下エデュ):水口先生は著書なども出され、社会状況から「教師としてどうあるべきか」「教育のあり方は」と常に考えられているようにお見受けします。
今の社会を水口先生はどのようにとらえられていらっしゃいますか?

水口洋先生(以下水口):現代社会は2つの大きな課題を抱えていると私は考えています。1つはエゴイズムという「自分さえよければいい」という考え方です。そしてもう1つはニヒリズムという「何も信じられず、他者と自分は関係がない」という考え方です。
こうした考え方は子どもたちにも大きな影響を与えていると思います。

エデュ:現代を取り巻くそういった考え方は、子どもたちにどのような影響を与えていると思われますか?

水口:日本の子どもたちの抱える1番の問題として“自尊感情の欠如”があがると思います。私は「10歳のキズ」と呼んでいるのですが、子どもたちは自分が認められる機会をあまり多くは持てずにいるのではないかと考えています。
地域社会の崩壊によってお年寄りや上級生から多くのことを教えてもらえることなく、学校の中の同学年の競争だけで順位がつき、半数以上の子が「自分はダメなんだ」と悩んでいます。
エリクソンという発達心理学者がいう言葉を引用すれば「勤勉性」が認められることなく「劣等感」に陥りがちで、自尊感情をもてないでいるのです。

中学受験で大切なことは、子どもを評価すること。目的を考えさせること。

エデュ:中学受験も競争ですが、それをどのように生かしていけばよいでしょうか?

水口:そうですね、中学受験も競争ですが、それを保護者の方が“競争”という価値観であおるのではなく、“目的のためのプロセス”としてお子さまを評価してあげることが大切です。
まずはお子さまが本当にいきたいと思う学校を探し、それに向けて努力をすることを学ばせるにはとてもよい機会です。偏差値だけではなく中身をしっかりと見て学校を選び、勉強をするお子さまを「こんな成績なの?…」と傷つけるのではなく、「がんばってるね」と評価することです。
中学受験は自尊感情を高めるためのプロセスとしてお子さまを肯定していくことが大切です。

エデュ:なるほど。大切なことはお子さまを評価し、“かけがえのない存在”として認めてあげることなのですね。
さらに玉川聖学院では『人間学』という授業で、生き方について学ぶ取り組みもあるようですね?

水口:本校ではキリスト教の精神に基づき、1人ひとりをかけがえのない存在として評価します。高校1・2年生で行う『人間学』では「どう生きるか」という人間の誕生から死までのことについて考えます。
考える力を伸ばし、発表などを通じて“素敵な自分”と出会う中で、生徒は自分の将来の可能性ややりたいことを見つけていきます。

大切なことは人から人へしか伝えられない。子どもは大人の「人間性」に学ぶ

エデュ:教師というお仕事を通じて水口先生が感じられている子どもたちとの付き合い方とはどういうものでしょうか?

水口:私は大学を卒業してずっと教師をしていますが、今になっても悩みはつきないものです。ただ心がけていることは、私自身が受けてきた“かけがえのないもの”を伝えていくことが大事だということです。大切なことは“人から人へしか伝わらない”ものです。差別や平等の問題にしても教師がそういうことに敏感でなければならないし、子どもは大人の人間性を見て育っていくことを私はいつも心に刻んでいます。

エデュ:水口先生のお話は、いつも感銘を受けることが多いです。それでは最後にインターエデュをご覧の保護者の方にメッセージをお願いします。

水口:情報だけに流されることなく学校へ足を運び、目で見てお子さまに合った学校選びがまずは大切です。そして「中学受験」という勉強をしなければならない状態というのは、それだけでもお子さまにとっては大変なことです。本当に入りたいと思う学校を一緒に探し、努力する過程で自尊感情を傷つけることなく、かけがえのない存在として評価してあげることでお子さまは伸びていくと思います。

玉川聖学院と明治学院大学との連携
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