インターエデュ

理科力がある女子校

品川区西大井にある小野学園女子中学・高等学校。 理科は女の子にとって苦手な科目だとされがちだが 、女子校には珍しく理科教育に力を入れている。その狙いとは?仮説を立て、実験を通して結論を導き出し、考えることで「問題解決能力」を育てていくためだと長谷教頭は話す。
9月7日(日)、この学校でサイエンス・オープンキャンパスが行われた。大学と協力をして生徒自身が参加者に実験をプレゼンテーションする。小学生から中学生まで170名の参加があり、わくわくする瞳を向ける子どもたちを前に、緊張をしながらも、しっかりと説明をしていく生徒たち。 生徒が創る、実験づくしの小野学園サイエンスオープンキャンパスを取材した。

「責任」を持って小中学生に伝えたい

イメージ 無水フタル酸とレゾルシノールを乳鉢で混ぜて、それを容器に入れてレンジでチンし、 水酸化ナトリウム溶液に漬けると色が変わる実験。「分からないことがあったらお姉さんに聞いてくださいね〜」お茶の水女子大学の先生監修の下、白衣を着た5年生(高校2年生)の生徒たちは参加した子どもたちのそばに行き、丁寧に説明をする。


「よ〜く混ぜないと、色が変わらないからね」 実験成功のために、生徒たちも真剣だ。さてさて、色は何色に変わるのだろうか?

タネを明かせばこの実験、無水フタル酸とレゾルシノールを混ぜ合わせ熱を加えて、水酸化ナトリウム溶液に漬けると蛍光染料ができるというもの。できあがった液体を水酸化ナトリウム溶液に恐る恐る漬け、黄緑色に変わった液体を見て、子どもたちは驚きの声を上げていた。

こちらは水の上に描いたカルマン渦の墨を半紙に写し取る実験。

「できたできた!」「おもしろ〜い!」子どもたちはそれぞれ、自分だけの模様を作り、大喜び。さらに、塩水と真水を使い、「塩水振動子」を見る実験。
真水の入った容器に穴を開けた塩水の容器を入れると、一定のリズムで持って真水 と塩水が穴を通して交互に行き来する。動く水の流れを見て、「ほんとだぁ、見えた!」 などと子どもたちは次々に手を上げる。
教えていた5年生(高校2年生)の生徒に話を聞いてみる。

「小中学生に教えるために大学へ行ったり、何回も準備やリハーサルをしたりしました。相手が小中学生だからって適当な気持ちではなく、責任を持って伝えるようにしたいって思います」「小野学園は、実験がたくさんできて楽しいです。将来は理系に進みたい。公立ではできないことができることや設備が充実しているのがいいです」

こちらは、1年生から6年生(中学1年生から高校3年生)の生徒が所属する理科クラブプレゼンテーションの「イクラ」を作る実験。
東京海洋大学の協力を得て、本物そっくりの人工イクラを作る実験。アルギン酸ナトリウムを水で溶かし食紅で色をつけたものを、塩化カルシウムを溶かした水にピペットで落としていく。それをスプーンでシャーレにすくい取ると、人工イクラの出来上がり。
出来たイクラはお持ち帰り可能。 「食べられますが、食べないでください〜(笑)」 という理科クラブの生徒たち。 子どもたちは、手の上で転がしたりしながら自分の作ったイクラの感触を確かめていた。
東京海洋大学の崎山先生にお話をうかがった。
「主役が小中学生だということで、ガラスではなくプラスティックの容器を使うなど安全 面で気をつけました。理科クラブの生徒たちは、ポイントをしっかりとおさえて説明をしてくれました。 実験が好きな彼女たちは手順を覚えるのも早く、とても頼もしいパートナーたちだと 感じています」


この「本物そっくりの人工イクラを作ろう」は、文化祭(10月4日、5日)でも行われる。

こちらは立教大学の学生の協力を得て、6年生(高校3年生)がプレゼンテーション。ブルーベリーから取り出した試薬を酸性やアルカリ性の水溶液を混ぜると、水溶液の色が変化する実験をおこなった。

プレゼンした生徒たちは「教える」ということを通して、さらに学習し、自分たちの言葉で分かりやすく、小学生に伝えようとしていた。だからこそ、参加した子どもたちも楽しそうで、大人よりも自分たちに年齢の近い中高生のお姉さんの言葉に懸命に耳を傾けていた。

他にもこんな実験が行われた。

生徒たちがしっかりしていて驚いた!参加した保護者の声

何人かの保護者にお話をうかがってみると・・・

インターネットで見つけて初めて参加しました。子どもは小学6年で来年の受験を考えています。今日はとても楽しんでいるようでした。生徒さんがしっかりしていて、驚きました。先生が教えてくれると思っていたのに、生徒さんが教えてくれるとは!

学校合同相談会で知りました。今回初めてで、小学5年と3年の子どもがいます。子どももとても楽しそうで、やっぱり私学には憧れますね。
〈お子さま〉今日は楽しかった。ここに入っていっぱい実験がしたいです。

塾にあったチラシを見て、今日のことを知りました。今はまだ小学2年生ですが、何でもいいから体験できればと思って参加しました。グループの中で、子どもがどう初めて出会った人と接していくかを見てみたかったというのもありました。

生徒たちがしっかりしていて驚いた!参加した保護者の声

小野学園では、理科教育への具体的取り組みを始めた2005年度以降の理系コース選択者の割合推移をみると、開始後2年間は約10%であったが、2007度以降は20%以上に増えている。

生徒たちがしっかりしていて驚いた!参加した保護者の声


生徒たちがしっかりしていて驚いた!参加した保護者の声

小野学園では、特待生入試の1つとして「理科実験入試」という特別な入試を行っている。

2/2(月)
集合時間 15:00
理科実験(80分) 15:15〜16:35
第1部(40分) 40点
第2部(40分) 60点


(第1部)『実験器具を正しく使用することができるかどうか』
問題例 ろ過 顕微鏡操作 上皿天秤の使い方

(第2部)『課題を解決するため、自分で実験を考え、実行できるかどうか』
問題例 温かい缶ジュースを、冷蔵庫や冷凍庫を使用しないで冷やす方法。
同じような液体の中から、水酸化ナトリウムを判別する方法。


取材協力:学校法人小野学園
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