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苦手科目との付き合い方

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はっきりとした統計はなかろうとも、「男子は国語が、女子は算数が苦手な子が多い」ということが定説化しています。果たしてどうなのでしょうか? 
毛嫌いしているだけであったりあるいは言い訳かもしれません。
今回は京華中学校の金井校長先生に国語、京華女子中学校の廣瀬校長先生に算数への取り組み方や中学入試以後に関するアドヴァイスをいただきました。

京華中学校 金井校長先生試験ということを意識しすぎないこと

入学試験というと、とかく“解法”や“テクニック”に頼りがちです。設問を見て、その設問の傍線部分の前後を見ただけですぐに答えを出そうとしていないでしょうか。実はそれは危険な解き方です。たとえば本校の場合ですと、傍線付近だけ読んでいると複数の選択肢がいかにもしっくりいくように作ってあります。ここで誤った選択肢を選んでしまうとその後の全体の流れを誤解することになります。ですから、文章全体の趣旨を把握するために本文をまず読み通して欲しいと思います。読み通しが2度でもいいほどです。小説文などは本文に没入するくらいのほうがかえってすっと問題が解けるのです。共感を呼ぶ場面は問題になりやすいので、思いや考えの部分にラインを引きながら読み進むのもひとつの手でしょう。設問の難易は別にしますと、その文で設問が設定される場所は誰が作っても決まっているものなのです。

国語における“読み取る”という力は大学入試にもつながります。それは文章を読んだときに筋をおさえられるかどうかが重要だからです。出題者の意図(作者や作問者の意図といっても良いと思います)を素早く・正確に読み取り、それに対する自分の考え(試験では答えなり選択肢)をしっかりとまとめられる力が問われるのです。このことは大学入試にとどまらず、就職の際の面接などをはじめとして、社会におけるコミュニケーション能力にも関わることだと思います。さらには、日常の生活面でも大切なことだと言えます。自分の思いを優先するのではなく、まずは相手の考え方や要望を把握すること、あるいは配慮することが大切だからです。

“読み取り”を意識することは苦手意識の払拭に効果があるだけではなく、大学入試や実生活にまで良い影響を及ぼしてくれることです。ご家庭でしていただくと効果的なのが、小学校低学年以下の場合は読み聞かせ(感情を込めて読んであげるとよりいいでしょう)によって、情緒を育ててあげることです。高学年で漢字のドリルをする時には、特に訓を覚えるように意識することです。漢字の日本語としての意味を持っているのは「訓」なのです。知らない漢熟語の意味を把握・類推するために大きな力となります。語彙量や言葉に対する感度を養うために有効な方法です。この感度が“読み取る”力を高めるのです。ご家庭でも早速取り組んでみてはいかがでしょうか。


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京華女子中学校 廣瀬校長先生中学校でリスタートすればいいのです

中学受験の算数の問題を解くのにはつるかめ算とかニュートン算のような特殊な計算方法で答えを出すことが少なくありません。そのため、大人がX(エックス)を使った文字の方程式を使えば簡単に解けてしまうような問題も、小学生は一見何をやっているのか分からないやり方で解いたりしています。

受験算数が得意なお子さんの中には「なぜそうなるのか?」をあまり気にせず、繰り返しの訓練で得た直感の“ノリ”で解いてしまう術を身につけている場合があります。そのようなタイプは中学校に入ってから数学に頭が切り替わらないことがあります。

受験算数ができる=数学も大丈夫、ということわけでもないのです。逆に言いますと、中学の数学からは“別物だ”と考えてしまい取り組んでいくと、思った以上に苦手意識は克服されます。入学試験の算数の得点は低く、実際に苦手意識を持って入学してきたお子さんが数学を克服しているのを普通に見かけます。女子の場合に理論が先にくると敬遠する傾向があるかもしれません。

女のお子さんの特徴ということでもう一つ言っておかなければならない事は、やはり図形、特に立体に対して苦手意識を持ったお子さんが多いことです。頭の中で図形を動かしたり、展開図を立体に戻したりまた逆に展開したりといったものを苦手とするお子さんが多くいます。たとえば変な形の図形の面積を求める問題はどこかを切り取って他の場所に移動して自分の知っている形になんとかならないか理屈抜きで試してみることが大切といえます。このあたりも計算同様ある程度訓練で改善されるものです。(たとえば実際にティッシュペーパーの箱の辺を切って壊して開いてみるなども良いことです)。

小学生で算数はわからないというお子さんは、とにかく計算力を高めて基礎基本をしっかりやることが重要です。多くの学校が問題数の差こそあれ基礎的な問題を必ず出すのはそれだけの理由があるのです。そして1行問題は単元ごとの知識確認のために出題しています。文章を理解して式をたて計算するというプロセスを大切にしてください。日常生活の中での算数にも意識することも大切です。例えば、町を歩いていてバーゲンセールで30% offの表示があったら買い値を計算をさせてみるのもいいでしょう。

中高に入っても結局基礎が生きるのは間違いのないことです。解ける問題を納得しながらていねいに、しっかりと取り組んでいただくことが先につながる勉強になります。あわてることなくひとつひとつていねいにがんばってください。


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取材を終えて

お話の中で幾度か出てきたのが“ゆとり”が重要だということ。もちろん中学受験の段階でより高いレベルに到達していることは悪いことではないでしょう。しかし、大学受験においては高校3年間の勉強量がものを言います。そのためには小中で気持ちが切れないこと、伸びきってしまっていないことが大切です。特に「この子は伸びないと親が思ってしまってはいけません」という校長先生のお言葉は重い。
ここにある数字があります。いわゆるMARCHの一大学に御三家のある学校から80人弱が受験し30人弱、つまり4割以下しか受からなかったデータがあります。その時、京華中からはその大学に21名の合格者を出しています。ゴールは中学ではない。いかに先の進路につなげられるかではないでしょうか。


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