受験国語を乗り越えるための【精密力】が、一生の財産になる。保護者に知ってもらいたい中学受験との向かい合い方、塾との付き合い
受験国語の勉強は文章の読み書きの訓練
国語の力をつけるにはどうしたらよいか
中学受験に取り組むための親の役割
国語専門塾の草分け、かのおゼミナール

受験国語の壁を突破するための秘伝を公開!

中学受験を親子一丸となって乗り越えたい。
でも、国語の教え方で悩んでいる保護者の方は多いのでは?
「なぜ、国語が難しいのか」「国語に“解法”は存在するのか」「どうやって国語を教えるべきなのか」
国語専門塾で多くの生徒を指導する 和(かのお)ゼミナール塾長の武本貴志先生がそんな保護者の疑問にお答えします。

   


中学受験の国語論


中学受験・武本の
塾との上手な付き合い方
若尾直人

大正11(1922)年 山梨県出身。
元陸軍少尉。
東京都練馬区立中学校国語教諭・教頭、日本進学教室国語講師を経て、昭和47年、東京都千代田区に国語塾「和(かのお)ゼミナール」を創設。 平成5年までに約9000人の卒業生を輩出。

武本貴志

昭和37(1962)年東京都出身。 和(かのお)ゼミナール第2回卒業生(昭和48〜53年在籍)。 四谷大塚準拠塾、進学教室SAPIX小学部等の国語講師を経て、平成12年「和ゼミナール」を東京都文京区に再開。


この度『中学受験の国語論』と『中学受験・武本の塾との上手な付き合い方』 を上梓された武本貴志先生に、受験国語について、また中学受験の取り組み方などについてお話を伺いました。


受験国語の勉強は文章の読み書きの訓練
 

文章は伝達の手段ですから、文学作品などを鑑賞する読み方とは別の読み方があります。

それは書かれている内容を正確に読みとるということです。

文章を書くという面から捉えると、伝えたい内容を正確に文章にするということです。
大学では経済学部で公認会計士を目指していたのですが、そのときになって子供の頃に和(かのお)ゼミナールで若尾先生から教わった文章の読み方が役に立ち、それが「こういうための訓練だった」と、はじめて気づかされたのです。

私が学生の頃は「大学の先生から文章の読み方・書き方を教えられた」という人も多かったようです。
最近は、社会人一年生に会社が文章の読み方・書き方を改めて教えなくてはならないという話も聞きます。今回、『中学受験の国語論』の中に書きましたように、受験国語というのはそもそも大学で難しい文章を理解する能力があるかどうかを判定する大学入試から発していて、それが高校、中学校、小学校などの試験問題に反映されたものなのです。
これが国語力の中の【精密力】で、会話力、読み書き力、文学力と並んでとても重要な力です。
ですが、小学校ではこの精密力をつける訓練はほとんどなされていません。
ですから、受験に向けてこの受験国語を勉強するということは、結果として文章の読み書きの訓練につながるのです。

人にはそれぞれ得手不得手があり、国語が得意な人も、算数が得意な人も、理科が得意な人もいます。 訓練を受けなくても国語の問題が解ける人もいますが、どうしても問題が解けなくて苦手意識をもってしまう人もいるのです。
勉強方法にも向き不向きがありますので、和ゼミナールで指導している読解問題の方法がすべての人にあてはまるとは、もちろん考えていません。 ですが、少なくとも文章を感覚的に理解するのではなく、理由づけをもって文章を理解していく方法があるのだということを知ってもらいたいと思っています。

 
   

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国語の力をつけるにはどうしたらよいか
 

文章を読むことは真剣勝負です。

力をつけるための読み方は、楽しんで読書をするのとは違います。 大事なことは、緊張感をもって文章を読んで問題を解くことです。
そのためには家庭学習よりも、塾での学習などがいいと思います。 同じ目的をもつ友達が同じ環境で問題を解くために集中していること、さらに友達との競い合いも励みになり、そこに緊張感が生まれるからです。

もう一つ大切なことは、まずじっくり読むことです。そして読むときに目的意識をもって読むことが大切です。そのために問題が必要なのです。 いい問題は、文章を読んで問題を解いていくうちに、その文章をきちんと理解できるように作られています。
文章を読みながら、問題を考えることで、どこをどのように読んだらよいのかが訓練されるのです。

そして数多くの問題を解くことです。
しかしやみくもにたくさん問題を解いてもだめで、その子のレベルに合った適切な問題を解くことが大切です。 そのためにはどうしても塾などの先生の適切な指導が必要になってきます。

 
   

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中学受験に取り組むための親の役割
 

中学受験に向かう保護者の方々はさまざまな不安を抱えています。
模擬テストの偏差値や塾の成績別クラスの昇降、子供の勉強への意欲のなさなどに一喜一憂します。
しかし、受験を目指して勉強をするのは子供自身です。

たとえば、成績が下がったときに親が神経質になると、子供は敏感にそれを受け止めます。 そういうときに親がどれだけ我慢できるかということがとても大切なのです。 そうは見えなくても、成績が下がって一番傷ついているのは、その子自身だということです。
中学受験に向かう保護者の方々の中には、さまざな誤解をもたれる方もあり、また塾との付き合い方や子供への不適切な対応をとられる方もいらっしゃいます。 小学校五・六年生という年齢で受験に取り組むには、親のサポートがどうしても必要です。
そのときどきで「どう対応するのか、どうやって親子一丸となって取り組んでいくのか」ということについて、今まで保護者の方々の度重なる質問に答えてきました。
そのことを一冊にまとめたのが『中学受験・武本の塾との上手な付き合い方』です。

 
   

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武本貴志先生が現塾長を努める和(かのお)ゼミナールは、国語を専門として多くの子供たちを指導しています。その和ゼミナールの初代塾長でカリスマ的講師の若尾直人先生にお話を伺うことができました。なお、武本先生は和ゼミナールの第二期生として、若尾先生から直接指導を受けられています。


国語専門塾の草分け、かのおゼミナール
 
まず和ゼミナールの指導内容について聞かせてください
若尾

漢字の書き取りから文章の読解・作文までやりました。授業の最初に漢字の書き取りをするのです。問題は先週やった文章から出します。読めたものは書けなくてはいけませんからね。この漢字書き取りで百点をとった生徒には満点鉛筆をあげました。みんなこれをもらいたくて一生懸命やっていたようです。今でも当時の生徒が、「こんなにもらいましたよ」と見せてくれることもありますよ。それから文章の読解問題をやって、最後の15分で作文です。作文の題は教室に生徒が来たときには黒板に題名が書いてあるので、生徒はそれを頭の中で考えていて、最後の15分で400字にぴたりと書くんです。作文は実体験の方がいいですね。このテーマで何があっただろうか、と考えることが大切なんです。そして、この作文は必ず直して批評をつけて翌週返しました。

武本

先生から返ってくる作文には必ず「何でよいのか」が書かれていて、評価には必ず理由があるのだと感じましたね。

若尾

教員時代はいろいろと忙しくて、また生徒の人数も多かったので評価をして返す余裕がなかったのですが、和ゼミナールでは必ずそうしました。それから、生徒には読んだ本の読書表をつけさせました。いつ、何を読んだのか、そしてできれば一言でもいいから感想を書いておくように、と。「あとで見返したときに思い出すから」といって、やらせていましたね。最近の子供は本を読まなくなったといわれていますが、子供たちにはいい文章をもっと読ませなくてはいけないと思います。たとえば文学史上に残っているものなどをね。

武本

先生の授業で何がすごかったかというと、文章の読解でした。これは通った人でないとちょっとわからないかもしれませんが。私の代では特にこの文章の読解を中心に取り上げて指導しています。若尾先生の時には徹底して基礎問題からやっていましたが、現在は子供たちも当時とは少し違うので、その子に合わせた応用問題を増やしたりと、私なりにアレンジはしています。ですが、基本は若尾先生に教わったことを引き継いでいます。子供のときに先生から教わったことが、結局大人になってからずいぶん役に立って、「こういうことだったのだ」と思うことがよくありました。

和ゼミナールは、いつごろ、どのようなきっかけで始められたのですか?
若尾

開設は昭和47年です。元々中学校の国語教師をやっていたのですが、教頭になって現場から離れてしまいまして。「もっと現場で子供たちに国語を教えたい」と思い、日本進学教室の講師になったのですが後押しをしてくれる方も多く、独立して国語専門の和ゼミナールを開いたのです。結果として受験に向かう子供たちが多かったのですが、元々は子供たちの国語力の低下を憂い「もっと国語力をつけさせなくては」という思いから始めたものなのです。

当時から、国語など一教科の単科塾は結構あったのですか?
若尾

その当時、算数の専門塾はありましたが、国語の塾はあまりありませんでした。めずらしさもあってか、新聞や雑誌にずいぶん取り上げられて有名になり、入塾希望の方があまりに多く、入塾をお断りすることもありました。その方々には悪いことをしたと思っています。

最初は1クラス50人ぐらいからはじめ、月曜から金曜までそれぞれ63人のクラスを20年間、合わせて約9000人を教えたことになりますね。私は元陸軍少尉で指導方法もかなりのスパルタでしたが、今でも当時の子供たちやお母さん方からお手紙をいただきます。当時の塾生たちが学んだことを感謝してくれているということは本当にうれしいことです。和ゼミナールを閉じたときには、塾業界の方々が名前を譲ってくれとずいぶんいってきましたが、やはり私の考え方をわかっている人でないと。6年前に武本君が引き継いでくれましたので、また少しでも子供たちに何かを伝えることができるなと思っています。

 
   

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書籍紹介


中学受験の国語論

中学受験の国語論監修:若尾直人
著者:武本貴志
定価:1,470円(税込)
判型:四六判
ページ数:192ページ
発行:座右宝刊行会
発売:株式会社語研
ISBN4-87615-134-2


<内容紹介>
若尾先生が始め、武本先生が受け継いだ和(かのお)ゼミナールの指導法が一冊の本になりました。国語力を測定する受験国語を克服するには、文章を正しく読み解く力、そして正確・精密に答案を作成する【精密力】が必要です。本書は「どうしたら国語の力をつけることができるのか」という多くの小学生の保護者がかかえる悩みに応えます。

<主な内容>

  • 受験国語の国語力とは?
  • 受験国語と国語教育の歴史
  • 課題文について
  • 設問の解き方
  • テストの復習方法

 など

中学受験・武本の塾との上手な付き合い方

塾との上手な付き合い方著者:武本貴志
定価:1,470円(税込)
判型:四六判
ページ数:192ページ
発行:座右宝刊行会
発売:株式会社語研
ISBN4-87615-135-0


<内容紹介>
中学受験は親と子の二人三脚。さらにいえば親と子と塾との三人四脚。けっして塾に任せきりではうまく中学受験を乗り切れない。よい塾に入ったとしても、「何を塾に任せ、親は何をすべきなのか」ということ、さらに小学校四年生までの家庭での国語学習などについて具体的かつ懇切丁寧に解説する。 本書は、これまで切実な悩みを訴える多くの保護者に対して繰り返し応えてきた著者が、国語を中心とした勉強方法を解説する、中学受験を目指す保護者にとって待望の一冊。

<主な内容>

  • 受験勉強は2年間で十分
  • 偏差値と学力について
  • 模擬テストの成績をどう判断するのか
  • 塾の種類と塾を選ぶポイント
  • 塾の合格実績の見方
  • 塾の役割と親の役割
  • 家庭学習の方法と受験生の精神管理
  • 小学校四年生までの国語学習

 など

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